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5. スカイピア
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しばらく雲の道を突き進んだメリー号は……
"ボフンッ"
雲を突き抜ける音と共に、上層の海へ辿り着いた。
「あっ! 島だ! 空島だァ!!」
メリーの頭にしがみついていたルフィが、いち早く目の前の島に気づいて叫ぶ。
ウソップとチョッパーも目を輝かせた。
「「うわぁ~~~~!」」
ロビンは辺りを見渡し、ナミに訊く。
「ねぇ、さっきの看板、スカイピアって……」
「えぇ、ルフィが見つけた地図の名前と同じよ! あのガレオン船は本当にここに来ていたのね! 彼らは200年も前にこの景色を見ていたんだわ! それにティオの話だと、ここが空島の中で一番大きいらしいし!」
メリー号は島へと進み、近場の海岸につけられた。
「うはっ! 冒険の匂いがプンプンすんぞ! いやっほ~い!」
「あっバカお前!」
海に飛び込んでいくルフィを追って、ウソップは救助するつもりで頭から飛び込む。
しかし……
"ポチャッ"
「足着くぞ」
「ブベラッ!」
ウソップは浅い海雲に頭から突き刺さった。
しかし、怪我はしないで済んだ。
「この島、フカフカ雲でできてんのか?」
「ニシシッ、フカフカだなっ!」
「フカフカだぁ!」
「うっし! 上陸だァァァァァっ!」
ルフィとウソップは島へと走っていく。
「おっ、俺も俺も!」
チョッパーも慌てて2人についていった。
「あたしも着替えてこよっと!」
ナミはスキップで船室に入っていく。
「ふふっ、私たちも動きやすい服に着替えましょうか」
「(コクン)」
ロビンとティオも着替えに行った。
「おいルフィ、碇はどうすんだ? 海底がねぇんだろここは」
「んなもんどーでもいいだろ~!」
「……はぁ、ったく」
ゾロはため息をつきながら、碇を浅瀬に落としてみた。
"ボフンッ"
島雲がフカフカすぎるせいで、碇は深く刺さらない。
ゾロは何度も碇を引き上げ、刺し直した。
結局、納得いく深さまで刺さることはなく、ため息をついて周囲を見渡す。
「しっかし、たまげたなこの風景には」
横にサンジがやって来た。
バカ騒ぎするルフィたち3人を眺め、タバコの煙を吹く。
「あぁ。景色もだが、アイツらのはしゃぎようと来たら、しょうがねぇな」
サンジは船の欄干に手を掛けた。そして……
「いやっほぉ~う!」
"バシャ~ンッ!"
三回転ジャンプで飛び込んでいった。
ゾロが半目で見下ろす。
「オメェもだろ……」
その頃、船室では。
"コンッ、コンッ"
「いった! 痛い痛い痛い! ごめんってば!」
ナミがサウスバードに頭をつつかれていた。
ティオが翻訳する。
「『何時間もこんな狭い場所に閉じ込めやがって』だって」
「ふふふっ」
笑うロビンを横目に睨んで、ナミは慌てて船室を開けた。
サウスバードが空へ飛び立っていく。
"ジョ~~~~"
「サウスバード、連れてきちゃってたんだっけ……逃がすの忘れてた……」
つつかれた頭をさするナミに、ゾロが言う。
「ここには人も住んでるみてぇだし、大丈夫だろ。頑張りゃ、下に降りられねぇこともねぇ。鳥なんだし?」
「まぁね……あ、そういえば碇は?」
「一応下に刺さった。例のフカフカ雲だ。そいつがこの島の基盤らしい」
そこに、着替えたロビンとティオがやってくる。
「そうなると、この島は海雲に浮いてることになるけど、流されもせずに、同じところに留まっていられるものなのかしら」
「ま、見たままを信じるしかないわね。ホントに信じられないことばかりだけど、空島がここにあるってのは確かだし……」
"パシャンッ"
ナミは浅瀬へ飛び込んだ。
「あははっ! こうやって自分の体で感じちゃったもの! 疑いようがないわ! アンタも来なさいよ! 足が着くから溺れないでしょ?」
言って、島の方へ走っていってしまった。
ロビンはナミをじっと見てから、ゾロの方を向く。
「あなたは行かないの?」
「ん? あぁ、行くよ」
答えを聞くと、はしゃぎ回るルフィたちへ視線を戻した。
「冒険の匂い、ねぇ……航海や上陸が冒険だなんて、考えたこともなかった」
その言葉は、ティオにも深く染み渡る。
「……」
ティオはちらりとロビンを見上げた。
今まで、仕事で数え切れないほど海や島へ出掛けてきたけれど、こんなにワクワクしているのは、今が初めてだ。
「さぁ、行きましょうか」
「(コクン)」
ティオはロビンの手を取り、一緒に船を降りていった。
「は……ふかふか」
初めて踏んだ雲の感触に、珍しく大きな反応を見せる。
「ふふっ、本当に面白いところね」
ロビンは笑いながら、ティオの手を引いていった。
「……」
ゾロはしばらく2人の背中を見ていたが、やがて自身も、船を降りていった。
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