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40. 六式と覇気とゾオン系
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その後。
元CP9とティオは、養成施設の一部を借りて寝泊まりしながらも、炊事洗濯は自分たちで行い、教官や候補生たちとは、必要以上に接触しないように過ごした。
それが、お互いの身を守るための重要な線引きになる。
つかず離れずで生活を送りながら、元CP9たちが何をするかといえば、
「まず、『覇気』の、きほん」
今日は、ティオ先生による覇気の集中講座。
ティオは、借りたスケッチブックに図を書きながら、覇気についての概要を説明した。
「『覇気』は、すべての、にんげん、もってる、『意志の力』。せいしん、えねるぎー。ふつう、ねむってる。めざめ、させなければ、いっしょう、つかわず、おわる、ちから」
簡単に描いた人間の絵を指しながら、淡々と定義を説明すると、続けて、指を3本立てる。
「はき、おおきく、わけて、3つ。1つめ、『武装色』。みえない、よろい、まとって、ぼうぎょ、も、こうげき、も、つよくなる、いめーじ。2つめ、『見聞色』。あらゆる、けはい、よりつよく、かんじる、いめーじ。3つめ、『覇王色』。あいて、いあつして、ふれずに、くっぷく、させる、いめーじ。これだけ、は、もともとの、ししつ、だいじ。ししつ、なければ、いくら、きたえても、つよくならない」
ひとまず言葉で説明するけれど、フクロウ、クマドリ、ジャブラはポカンとしていて、他の4人も表情が固まっていた。
いくら頭が良くても、こればっかりは言葉では理解しきれないものだ。
「ひゃくぶん、は、いっけんに、しかず」
そう言って、ティオはカクの右手を拾う。
「ちょっと、て、かして」
「うん?」
まるで手を振るように、手の平を自分の方へ向けさせた。
ティオはその手の平を目掛けて、ゆっくり軽くパンチする。
"ポンッ"
本気でも何でもないその一撃は、感覚としてはハイタッチに近い。
「いたくない、でしょ?」
「ん、あぁ……」
「いまの、と、おなじ、そくどで、ぶそうしょく、つかうと……」
"バチンッ"
「!」
まるで、遠くから飛んできた鉛の球をキャッチしたような、重さと力強さ。
拳を思いっきり振りかぶったわけでも、繰り出す速度を速くしたわけでもないのに……
カクは目を見開いて、じーんと軽く痺れている手の平を見つめた。
「これは驚きじゃ……今の一撃は子供の拳の重さではなかったぞ」
ティオとカクのやり取りを、腕を組んで眺めていたルッチが、見下すような視線で訊いてくる。
「その武装色とやらは、鉄塊と何が違う」
青い瞳が、くるりとルッチの方へ振り返った。
「てっかい、からだ、きたえて、できるよう、なる。ぶそうしょく、たいないの、せいしん、えねるぎー、そと、だして、まとう。だから、てぃお、でも、ぱわー、あがる」
外見10歳程度で、腕も細くて筋肉など皆無に見えるティオが、数千万ベリーの賞金首だろうと相手に出来るのは、覇気のおかげだ。
「からだ、きたえるの、げんかい、ある。でも、せいしん、どこまでも、つよくなる」
ルッチは、自分なりに納得したのか、フンと鼻を鳴らして口角を上げる。
「なるほど、だから"六式を極めた先に在る"、か」
体術の極みにある六式をマスターしたとなれば、残るは精神力、すなわち覇気というわけだ。
「(コクン)……ぶそうしょく、しゅぎょう、するには、じぶんの、せいしん、えねるぎー、かんじること、できないと、むり。だから、さき、けんぶんしょく、やる」
カリファが、メガネをスチャッと上げつつ小首を傾げる。
「あなたたち伝承者は、卓越した見聞色を利用して、記録を伝承していると聞いたことがあるわ。見聞色は、気配をより強く感じる力だったわね。それが記録の伝承とどう関わるのかしら?」
「けはい、には、ほうこう・ひろさ・ふかさ、3つのようそ、ある」
ティオは、借りている筆記具の中から鉛筆を選び、スケッチブックに何やら描き始めた。
「いちばん、わかりやすいの、ひろさ。たとえば、このしま、の、にんげん、なんにん、いるか、かんじる、と、そうてい、する」
シャシャシャ、と、横倒しにした鉛筆で色までつけてから、スケッチブックを見せる。
「めのまえ、や、じぶんのまわり、かんじとり、やすい。それを、どんどん、ひろげると、まち、しま、しまのまわり……さいのう、と、きたえたぶんだけ、さぐれる、はんい、ひろがる。そのぶん、むずかしく、なるけど」
「ふうん? あなたは今、どのくらい探れるの?」
ティオは視線を空に投げ、自分の覇気の範囲を測りながら、首を傾げた。
「このしま、ちっちゃい、から……6こぶん、くらい?」
「そ、そう……」
小さいとはいえ、山1つを丸ごと乗せたような島だというのに、それが6個分とは……
ティオはケロっとした顔で、スケッチブックの次のページに再び図を描く。
「3つの、ようそ、2つめ、ふかさ」
「いちばん、かんたん、なの、けはい、よむこと。いちばん、あさい。これも、さいのう、と、きたえたぶん、ふかくなる。ふかいとこ、ほど、むずかしい」
「ちょっと待って、この一番深いところにある"未来"ってどういうことよ。未来予知ができるとでも?」
「(コクン)……これは、きたえる、ほうこう、で、とくいなほう、きまる」
ティオは3枚目の図を描いた。
「ほうこう、が、かこ、みらい、どっち、むいてるか、もともとの、ししつに、よるところ、おおきい。しんせかい、だと、みらい、かたよってるひと、おおい」
「"未来予知"って、具体的にどのくらい先なのよ」
「10びょう、とか」
「……その短さを未来予知と呼んでいいのかしら」
「じゃが、戦いの中で常に10秒先まで見えておれば、敵なしじゃろう?」
「それはそうだけど……」
カクは、ティオが持つスケッチブックの、『かこ』の方をトントンと指さした。
「この見聞色の方向性で見ると、お前さんは過去に特化しているようじゃな」
ティオはカクを見上げ、コクンと頷く。
「でんしょうしゃ、みんな、そう。まず、だいぜんてい、きおくりょく。つぎに、かこ、に、とっかした、けんぶんしょく。あとは、ひろく、ふかく、よみとれるよう、きたえる」
「そして、異例の大出世を遂げたお前さんは、初めからその才能があり、他の候補生をごぼう抜きしたということじゃな?」
「(コクン)」
「わしらにその"才能"とやらはあるのか?」
「それは、しゅぎょう、してみないと、わからない。さいのう、あれば、なにか、きっかけに、きゅうげき、めざめること、ある。なくても、きたえれば、あるていど、つかえるよう、なる」
ティオは最後に、4枚目の図を描いた。
「とにかく、まず、けんぶんしょく、しゅぎょうして、じぶんの、せいしん、えねるぎー、かんじれるよう、なる」
「この、ひだりした、はしっこ。いちばん、かんたんな、せまいはんい、の、けはい、かんじること、から、はじめる。それ、できたら、ちょっとずつ、ひろく、ふかく、していく」
ティオの図で、何となくやることが分かると、ジャブラがフンと鼻を鳴らして、得意げな笑みを浮かべた。
「"気配を感じる"なんざ、日常的にやってるこったろ。ナメんじゃねぇぞ」
見下してくるジャブラを、ティオは無表情の青い瞳で見上げ、用意していた目隠しを差し出す。
「あ? 何だこりゃ」
「めかくし」
「……。……しろってのか?」
「(コクン)」
ティオの意図が分からず、顔をしかめるジャブラだが、他の6人も自分を見ているため、仕方なしに目隠しで視界を塞ぐ。
「そのじょうたい、で、くみて、やって」
「あぁ。……。……はぁ!?」
「かく、あいて、して」
そう言われ、カクはニヤリと口角を上げて、指の関節をパキポキ鳴らした。
「本気でやっていいのか?」
「そこは、ほんにん、と、そうだん、で」
「ちょちょちょちょっと待てやコルァ! 目ェ隠していつも通りに組手なんざ出来るかァ!」
「できる。けはい、かんじる、いつも、やってるんでしょ?」
「や、やってるっつっても……ここまでのレベルじゃ……」
「それが、できたら、けんぶんしょく、れべる1、たっせい」
「~~~っ」
ジャブラは悔しそうに奥歯を噛み締めると、やけくそで目隠しを外した。
「そう言うテメェは出来んのかよ!」
そう言って目隠しをティオに押しつけると、他の6人はジトっとした半目を向ける。
「チャパ……大人げないぞ〜ジャブラ」
「お前、一応 最年長だったはずだな?」
「う、うううるせぇ!」
一方、ティオはすまし顔で目隠しを受け取り、自分の両眼を隠した。
そして、見えないながらもカクの顔を見上げる。
「あいて、してくれる?」
「あぁ、無論じゃ」
「ちから、ちょっとだけ、おさえて。ろくしき、たつじん、あいてする、ぱわー、ない」
「分かった。速度は?」
「えんりょ、なしで」
「了解じゃ」
ザリッと地面を踏みしめ、カクが構えると、ティオも構える。
ティオの型は、海軍で一般的に教えられている格闘術のそれだった。
「……」
「……」
数秒の睨み合いの末、先に動いたのは、カク。
"ヒュッ……パシッ、ガッ、バシンッ"
繰り出される拳や蹴りを、ティオは、まるで見えているかのように受け流したり
それだけでなく、カクの隙をついて反撃も繰り出した。
"ヒュオッ、シュシュッ、ダンッ!"
「ふむ……無駄の少ない
「(コクン)」
力を押さえているとはいえ、2200道力を誇るカクの組手に、ティオは目隠しで完璧に対応している。
そんな信じがたい光景を、6人はじっと眺めていた。
カリファがジトっとした横目で、ジャブラを見る。
「どうやら見聞色のレベル1も、習得は一朝一夕ではいかないようね?」
「う、うるせぇな……」
ガッ、とカクの腕を弾いたティオは、少し距離を取ってから、説明を加える。
「ここまで、が、けはい、よんで、あわせる、れべる1。つぎ、れべる2、あいての、うごき、さきよみ、して、うわまわる」
そう言って、カクの方へ再び踏み込むと、拳を繰り出した。
カクはその拳を受け止めていなし、逆に蹴りを繰り出す。
この蹴りは躱されると分かっているため、わざと躱させて、直後に
しかし……
"シュシュッ……"
フェイントの蹴りからの踵落としを全て躱され、逆に、ティオの拳が
「おっと、こりゃ参ったわい」
カクが両手を挙げて、組手は終わった。
……勿論、今はカクが本気を出していないからこそ、このような結果になったが、カクに本気で来られていたら、一度も受け流せずにふっ飛ばされて終わりだった。
さらに
ティオは目隠しを外し、ジャブラの方へ差し出した。
「れべる2、できるよう、なったら、かく、に、かてるんじゃ、ない?」
ビキキっとジャブラのこめかみに血管が浮く。
「俺がカクに負けてるって言いてェのか? ァア?」
フクロウがあっけらかんとした顔で言った。
「実際、道力はカクの方が上で、頼みの綱だった悪魔の実も、条件が同じになってしまったからな~。どっちが上かは一目瞭「うるっせぇフクロウ! その口 縫っちまうぞ!」
「チャパパ~」
「チャパパじゃねんだよ!」
ジャブラがフクロウの胸ぐらを掴み上げ、激しく揺さぶり始めるが、周囲はそれを無視して見聞色の訓練を始める。
ブルーノが、ティオが差し出していた目隠しを、ジャブラの代わりに受け取った。
「まずは、今のように目隠しをしたまま、組手ができるようになればいいのか?」
「(コクン)」
「そうか……。クマドリ、相手を頼めるか」
「よよいっ、ぁ承知ィ
……こうして、2人1組の目隠し組手が始まった。