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40. 六式と覇気とゾオン系
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それから。
エターナルポースの指す方へと、船を進めること数日。
「着いた~、チャパパ~」
「よよいっ、ぁ変わってねェな~ァ」
元CP9とティオは、政府所有の養成施設・グアンハオに到着した。
グアンハオは、島の9割以上が深い森に覆われ、中央の山の頂に六角柱状の施設が一つ建っているだけの、非常にシンプルな島だ。
政府所有の施設とはいえ、政府関係者がやって来るのは、年に数度、候補生の補充と引き抜きを行うときのみ。
候補生の他に常駐している大人は、教官1人だけだ。
追われている元CP9にとって、この上ない隠れ家になり得る。
ジャブラが、山の頂の施設を見つめ、懐かしそうに目を細めた。
「あのクソ教官、まだ生きてんのかねぇ」
カクが口角を上げ、隣を通り過ぎていく。
「わしがここに
カリファ以外のメンバーは、各々の記憶に従い、吸い込まれるように細い山道を歩き始めた。
この島に初めて入ったカリファとティオは、6人の後をついていく。
「……」
ティオは、6人の背中を見つめ、溢れんばかりの懐かしい気持ちを感じ取っていた。
狂人集団のサイファーポールであっても、郷里を慈しむ心は持っているらしい。
山道は、候補生たちが走り込みで何度も往復しているため、しっかり踏み
ゆっくり歩いていても、20分程度で山頂近くまでやってくる。
「「「いーち! にー! いーち! にー!」」」
元気に揃った掛け声が聞こえてきた。
眼前の視界から徐々に森の木々が消え、広い修練場で正拳突きを繰り返す子供たちが見えてくる。
そして、子供たちの正面には、竹刀を肩に担いだ老人が見えた。
最前列で正拳突きをしていた子供たちが、見知らぬ来訪者に
「ん? 誰か来るぞ!」
「
「ァアン?」
子供たちに言われ、老人は後ろを向いた。
そして、視界に飛び込んできた懐かしい姿に目を見開く。
「お前たち……」
「ご無沙汰してます、教官」
ついさっき"クソ教官"と
そんな彼らの心情を露ほども知らない教官は、懐かしそうで、心配そうな、複雑な眼差しでかつての教え子たちを見つめた。
「……」
エニエス・ロビーの一件は、勿論知っている。
政府に追われているであろう今の状況で、かつての教え子たちがここにやって来た理由は、何となく予想できた。
話したいことも、訊きたいことも沢山あるが、まずは場所を移さなければ始まらない。
教官は、候補生たちに指示を飛ばした。
「わしは少し外すが、いつも通り、しっかりな。
「「「はい!」」」
子供たちは、姿勢をピッと正して返事をすると、正拳突きを再開する。
それを見届け、教官は
「……ついて来い」
ボソっと呟いて、森の中へ入っていく。
元CP9の7人は後を追った。
ティオも勿論、後を追うのだが……
"ブブ……ブゥ~ン"
「!」
突然、顔の右横に飛んできた巨大な蜂に、ぎょっとする。
「~~~っ」
声にならないか細い叫び声を挙げ、ティオは目の前にあった大きな背中に突撃した。
"ぼよんっ"
「チャパ? どうしたお前~、転んだのか~?」
ティオは、追いかけてくる蜂から逃げようと、フクロウの体の周りをくるくる走る。
「チャパ、パ、パ……何してんだ?」
突然 自分の周りを走り回られて、フクロウもタジタジ。
隣を歩いていたジャブラが、ため息混じりに腕を振った。
「ただの蜂じゃねぇか」
グシャリと、大きな手に大きな蜂が握りつぶされると、それはそれで、ティオの顔を青くした。
ジャブラはそれに気づかず、蜂を退治した証拠を見せようと、蜂を握り潰した手をティオの眼前へ差し出す。
「おらよ、もう追っかけてこねぇ」
ティオはぞわぞわと身の毛を逆立てて、フクロウの後ろへ隠れた。
ジャブラのこめかみに血管が浮く。
「ア? ンだテメェ、人がせっかく」
すると、ティオの体がひょいっと宙に浮いた。
「やめんかジャブラ。虫が苦手な子に虫の死骸を見せるとは、凄まじく阿呆じゃな」
「ァア!? 俺はただ親切にだなァ!」
カクはそのまま、ティオを肩車する。
「ほれ、この高さなら虫も
ティオは、ほっと安堵の息をついて、カクの頭にきゅっと掴まった。
「ありがと」
「お安い御用じゃ」
……そんな、幼女1人に振り回される元CP9を、教官は意味深な眼差しでちらりと見る。
やがて、森の中の少し開けた場所に出ると、教官は足を止めた。
その背後に、7人がずらりと整列する。
教官は両手を背後で組み、正面の木々を眺めながら話し始めた。
「エニエス・ロビーの一件は、この島にも知らされておる。お前たちがここに現れた以上、わしは政府に報告せねばならん」
……ピリっと、誰のものとも言えない殺気が奔る。
規定に則り、教官が通報するというのなら、口封じをしなくてはならない。
教官だけでなく、訓練中の子供たちも含めて……
教官は、背中に殺気を感じながらも、微動だにせず空を仰いだ。
「だが、相手は天下のCP9だ。当然、気配を消し潜伏することなど造作もない。わしは気づくことさえ出来んじゃろう」
要するに、気づかなかったフリをしてくれるということだ。
その一言で、殺気がふっと和らぐ。
教官はくるりと振り返り、フンと鼻を鳴らした。
「どうせ、スパンダインの
フクロウが口のチャックをジ~っと開く。
「長官にはしてやられてしまった~、チャパパ~。いつか殴ってやるけどな~」
罪を着せられても逞しいその根性に、教官は口角を上げた。
「フッ、CP9長官を殴るとなれば、その上まで昇らなくては話にならんだろう」
そう口にしてから、自分を見る7人の視線が全く揺らがないことに気付いて、目を見開く。
「まさかお前たち……」
……目指そうと言うのか。
サイファーポールの頂点を……
教官の疑問を察し、ルッチが見下ろすような眼差しで宣言した。
「もう二度と、しくじりませんよ」
教官は呆けたような表情で、再び7人の顔を見る。
逞しくなった教え子たちを眩しそうに見つめると、ようやく、カクに肩車された子供へと目を向けた。
「……ところで、その子供はどうした? 誰かの連れ子か?」
元CP9たちの視線は全て、当然のようにカクに集まる。
カクは口角を上げ、頭上のティオを見上げた。
「連れ子ではありませんが、ちとワケがありまして」
「……ほう?」
カクのことを幼少から知る教官は、その面倒見の良さも知っており、どこぞの
……まさか、その子供がCP0に所属していた特殊記録伝承者だとは、夢にも思っていない。
いくらサイファーポールに連なる機関とはいえ、グアンハオには伝承者に関する情報までは降りていないからだ……
教官は8人に背を向ける。
「この施設の教訓は覚えているな? 自励自鍛。己の心身は己で立たせなさい」
それは、どこに居ても、どんな状況でも、自分で自分を奮い立たせて任務を遂行し、生き抜いていくための、グアンハオの教訓だった。
ここで育った、カリファ以外の6人には、その教えが染みついている。
……要するに、ここに居る間は自己判断で勝手に過ごせ、という教官からのお許しだ。
教官が候補生たちの訓練に戻るべく歩き出すと、7人も互いに目を見合わせてから、後を追った。