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39. 約束
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「まず、しゅぎょう、きかん、2ねん、なの、わざと?」
「まぁ、そうだな。ルフィがロジャーと同じ頂を目指すのなら、それが最善だと私なりに判断した。その点を、君はどう捉える? ……いや、その前に、1つ答え合わせをさせて欲しい」
「?」
「君は、世界政府が秘密裏に抱える、サイファーポール"イージス"ゼロ所属の、特殊記録伝承者だね?」
「(コクン)」
「やはりそうか」
「よく、わかった、ね」
まず、"伝承者"などという役職があること自体、知っている者は ごく僅かだ。
さらにその人物を特定するとなると、政府上層部の関係者以外では困難を極める。
「初めは推測の域だった。ラフテルで世界の真実を知ったとき、世界政府がこのことを把握しているとすれば、歴史を継ぐ者が必ずいると考えたのだよ。文字にしておくにはあまりに危険だが、継承が途絶えることも許されない。となれば、口伝しか方法はあり得ない。……シャッキーの伝手で、世界政府の上層に探りを入れてみれば、"伝承者"の存在は苦も無く見つかった。……とはいえ、語りではなく、記憶を丸ごと受け継いでいるとは、君を実際に見るまで思いもよらなかったがな」
「それだけ、じゃ、てぃお、でんしょうしゃと、はんだん、できない」
「それは、君の顔つきで判断した」
「?」
「世界の真実を知る者は、他とは顔つきが全く違う」
「……」
「その幼い身で世界の真実を知り、"過去"に特化した見聞色の覇気を持っているとなれば……君が何者であるかは、想像に難くない」
「……」
「君は何を目指し、麦わら海賊団に入った?」
「せかい、みるため。きおくでしか、しらない、せかい、このめで、みる。……それと、」
ティオは、頂上戦争の記憶を読んだことで、胸に湧いた思いを口にした。
「てぃおの、もつ、きおく、いつか、せかいに、かえしたい」
2年後にこの世界が大きく動くというのなら、隠されていた真実も還元される。
それはきっと、時の権力者である世界政府から、時代を変える海賊団・麦わら一味に堕ちた自分の、運命……
「やはり来るか、時代の転換は」
「(コクン) …かならず」
「それも、2年後か」
「(コクン) …おう、は、すでに、うまれてる。じょいぼーい、の、やくそくも、はたされる。すべてが、かさなる、2ねんごに」
「ふふ……叶うことなら、ロジャーと共に見届けたかった」
「でも、かいぞくおう、いたから、いま、せかい、うごきだしてる」
「必要な歯車ではあったということか……世界を動かすために」
「(コクン)」
レイリーは、少し遠くで巨大なサイと追いかけっこをしているルフィを、眩しそうに見つめた。
「……世界とは不思議なものだな。麦わら一味の
「てぃお、も、そうおもう」
「君もその1人だがな、ティオ君」
「てぃお、は、べつに……」
「オハラの生き残りと世界政府の伝承者が、同じ船に乗り合わせるなど、運命の
「……てぃお……せかい、かえる、るふぃの、ための、はぐるま?」
「うーん……。そうではないと否定したいが、それでは嘘になってしまうな。済まない」
ティオは首を横に振った。
「……それでも、いい。せかいせいふ、の、はぐるま、より、こんなに、じゆう。……でも、うんめい、て、るふぃ、いやがり、そう」
「ははっ、だろうな。……だが、世界は果てしなく大きい。蚤より小さな我々が幾ら足掻こうとも、それは大いなるモノの掌の上に過ぎんのだろう。それさえ知らなければ、掌の上も自由な世界だ」
「(コクン)」
「さて、そろそろルフィを助けてやらねばな」
先ほどから逃げ回っているルフィは、既に疲労の色が濃く、顔や体に傷が出来ている。
"逃げ回れ"とレイリーに言われた手前、攻撃が出来ない分、躱すのも一苦労なのだろう。
レイリーは、スッとティオの隣から消え、ルフィを追い詰めていた巨大なサイの顔を、ペシンと軽く叩いた。
それだけでも、サイはよろけるほどの大きな一撃をくらい、一目散に森の奥へ逃げ帰っていく。
目の前にレイリーが現れたことに安堵して、ルフィはその場に座り込んだ。
「ハァ~~~……覇気使ってるヒマがねぇ……」
「ふふ、まだまだだな」
そこに、ティオがゆっくり歩いてきた。
「るふぃ」
「ん?」
「てぃお、そろそろ、かえる」
「あー……そっか」
ツン、と針で刺すような寂しさが、ルフィからティオへと飛んでいく。
それを感じたティオは、きゅっと唇を引き結ぶと、ルフィの傍まで来て、崩れるように両膝をついた。
そして、感情のままにルフィの頭を抱き締める。
「……ぜったい、2ねんご、ね?」
ルフィも、ティオをぎゅっと抱き締めて、小さな背中をポンポンと叩いた。
「……あぁ。約束だ。またみんなで、冒険しような」
「(コクン)」
腕を緩め、身を離したとき、2人は笑顔を浮かべていた。
「またね、るふぃ」
「おう!」
小さく手を振るティオに、ルフィは大きく手を振り返して。
ティオはそのまま、ルフィに背を向け走り出した。
一歩踏み込んで宙へ飛び上がると、ボンッと鳥に変わって青空へと羽搏く。
"バササッ……"
1秒ごとにルフィの"声"が遠ざかっていくのが、寂しい。
けれど、これが永遠のお別れではない。
2年の修行の間も、独りになるわけではないのだ。
「……」
ティオは、元CP9のメンバーを思い浮かべた。
上から目線で大胆不遜、エニエスロビーで敗北してちょっと丸くなった、ルッチ。
気さくで面倒見が良くて、何でもそつなくこなせる器用な男、カク。
人を小馬鹿にしては し返される阿呆だけれど、暗殺の腕は確かな、ジャブラ。
喋り方も感情の起伏も揺れっぱなしだけれど、情に厚い、クマドリ。
諜報員になるべきじゃなかった、素直でお調子者なおしゃべりチャック、フクロウ。
気位が高くて、いつも冷静に仲間たちを取りまとめるお姉さん、カリファ。
影からさりげなく仲間たちを支える、無口な縁の下の力持ち、ブルーノ。
……彼らと過ごす時間も、今となっては嫌いではない。
自分がセント・ポプラに帰ったとき、あの7人は、「おかえり」の気持ちを向けてくれるだろうか……
そんなことを思いながら、ティオは、おおよそ海列車が走っている海域の方角へ、翼を傾けた。
→ 40. 六式と覇気とゾオン系
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