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38. 3D2Y
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賞金首を1人捕らえ、1億600万ベリーを手にした元CP9。
彼らは、その翌日には全員仕事を辞め、次の目的地として、美食の町・プッチへと向かうことにした。
セント・ポプラからプッチへ向かうには、海列車に乗らなければならないが、ルッチ、カク、カリファ、ブルーノは、ウォーターセブンの住民に顔を知られている。
顔バレを警戒して、海列車に乗り込む前に、全員、軽く変装することになった。
それは、ウォーターセブンの有名人となった、麦わら一味のティオも同じだ。
「あなたくらいなら、髪型を変えて眼鏡でも掛けておけば、そうそうバレないわね。あまり凝ったことをすると、逆に怪しまれるわ」
「(コクン)」
変装に関しては、変身してしまうティオよりも、元CP9の方が詳しい。
ティオは、カリファに全て任せ、今は髪をツインテールにしてもらっている。
「……」
「……」
2人の間に会話はなく、ティオは髪を結んでもらっている間、手持無沙汰で、折れていない左脚をぷらぷらと揺らしていた。
カリファは、黙ってもくもくと手を動かしていたが、ふと、手を止めて口を開く。
「……2つだけ、謝っておくわ」
「?」
ティオは今、頭を動かせないため、後ろを振り返れない。
小刻みに揺れるカリファの感情を感じながら、上目遣いに天井を見上げ、瞬きをした。
「……1つは、あなたの提案を頭ごなしに否定したこと。……結局、あなたの提案に乗ったおかげで、私たちの道は開けたわ。せっかく協力しようとしてくれたのに、嫌な態度を取ってごめんなさい……」
緊張と葛藤が伝わってくる。
プライドの高いカリファが、こうして素直に謝るなんて、よっぽどそのことを気にしていたのだろう。
「べつに、いい。うたがう、の、だいじ。だれか、ひとり、くらい、きびしいひと、いないと、だめ。うちの、こうかいし、も、いつも、くろう、してる」
「航海士……あぁ、あのオレンジの子……ふふっ、やっぱりどこの集団でも、男って馬鹿なのね」
「(コクン)」
「それから、もう1つ。あなたが脱走を図ったあの日、感情のままに怒鳴ってしまったことを、謝っておくわ。黙って去ろうとしたのを咎めたことは謝らないけど、怒鳴るよりももっといい伝え方があった」
「それも、いい。むしろ、ありがと」
「え?」
「てぃお、いつも、ひとのかんじょう、よんでる。それだけで、ぜんぶ、わかった、き、なる。ちゃんと、むきあって、はなす、の、わすれる。わるいくせ、て、いわれてた。けど、なおって、なかった。……だから、きづかせ、て、くれて、ありがと」
「……。……意外と可愛いとこあるのね」
「?」
「何でもないわよ」
再び、カリファの手が動き始める。
ティオの長い金髪は、瞬く間に綺麗なツインテールにされた。
その後。
元CP9メンバーとティオは、海列車に乗り込んだ。
"シュポオオオォォォ……"
白い蒸気が景気よく吐き出され、海の上の線路を進み始める。
以前と変わらない乗り心地に、帽子を被らずサングラスを掛けたカクが、口角を上げた。
「さすがじゃのう。エニエス・ロビーの一件でボロボロになった海列車を、この短期間で完全に復興させるとは」
正面に座っていたカリファが、掛けていない眼鏡の代わりに、髪をいじる。
「ガレーラなら、この程度は造作もないでしょう。あなたが一番よく分かってるんじゃなくて?」
「ははっ、それもそうじゃなァ。……わしとルッチの代わりに、誰が職長になったのやら……ちと気になるわい」
少し、感傷に浸るような顔をして、カクは窓枠に頬杖をついた。
すると、その膝に、カクの隣に座っていたティオが、身を乗り出すように乗ってきた。
「ん、何じゃ何じゃ、どうした?」
「そと、うみ、みたい」
そう言って、窓枠に手をかけ、慣れないダテ眼鏡のフレーム越しに、外を眺める。
カクは、ティオが膝から転げ落ちないよう支えながら、フッと笑った。
「海を見られんかった期間なんぞ、ほんの1週間ほどじゃろう。それでも海が見たくなるとは、お前さん、生粋の船乗りじゃな」
「(コクン)」
地平線の向こうまで、眼下には深い青色が広がっている。
いつも、サニー号から眺めていたその光景を、再び見ることが出来て、少しだけ寂しさが埋まった。
セント・ポプラからプッチまでは、そう時間はかからなかった。
ほんの数十分程度でプッチの駅に到着し、元CP9メンバーは、思い思いに伸びをしたり首を回したりする。
「チャパ~、いろんなところからウマそうな匂いがするぞ~」
「ギャハハッ! そりゃ美食の町だからなぁ!」
「よよいっ、ぁ腹ごしらえでも~、していくか~ぁ?」
カクが呆れ顔で声を張った。
「メシなら出発前に食うたじゃろう。寄り道しておったら、1億なんぞあっという間になくなるぞ? 遊びたければ、さっさと賞金首を捕らえることじゃ」
「かァ~っ、真面目キリンはこれだからよォ」
「何か言ったか、
「ぁあ!?」
バチバチと、ジャブラとカクの間で火花が散る。
カクの傍らで、松葉杖を使って立っていたティオは、変装用の眼鏡越しに2人を見上げた。
そのレンズの向こうに、一瞬だけ、ゾロとサンジの姿が映る。
……今頃、あの2人はどこで何をしているのだろう。
ぼんやりとそんなことを思うが、頭上に人影が差して、思考は吹き飛ばされた。
"声"が聞こえているから驚くことはないが、ティオはおもむろに後ろを振り向き、人影の主を見上げる。
無表情で、冷たく重たいオーラを纏った、ルッチの顔を。
「……」
「……」
ルッチは、じろりとティオを見下ろしたが、その視線はすぐにカクの背中へと飛んだ。
もちろん、ここまで接近されて、カクがルッチに気づかないわけがない。
「何じゃルッチ、どうかしたか?」
「……コイツをしばらく貸せ」
「?」
ルッチは
カクは真ん丸の目で何度か瞬きをしてから、ティオを見下ろした。
「だそうじゃが、どうする?」
ティオは、カクとルッチ、2人の顔を交互に見上げる。
……ルッチから感じられるのは、何かを求めているような感情。
今の状況でティオに求めるものなど、"情報"以外にあり得ない。
ティオはただ、カクに向かってコクンと頷いてみせた。
そして、松葉杖をカクに預けると、ボンッと音をさせて鳥の姿に変わり、羽搏いてルッチの肩に
右にハットリ、左にティオ、2羽の鳥を肩に乗せたルッチの姿に、カクは思わず笑いそうになった。
しかし、笑えば瞬殺されるため、懸命に堪える。
「くれぐれも、衝動で
「……黙れ」
ルッチはため息混じりにそう言って、どこかへ歩き出した。
カクは肩をすくめ、ルッチの背中を見送る。
その左肩に乗ったティオを見つめ、まぁ大丈夫だろう、と口角を上げた。
ルッチも、現状の自分たちにとって、ティオがどれほど有用な存在かは分かっているはずだ。
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