35. セント・ポプラ

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ティオ~? アンタそろそろ起きないと、目がくっついて開かなくなるわよ?』

おひるまえ、なみちゃん、おこしに、くる。

かんぱん、でると、はれだったり、あめだったり、くもりだったり、ゆきだったり。

『んぉ、ティオ~!』

『やっと起きたか~!』

『もう昼ごはんになるぞ~!』

るふぃ、うそっぷ、ちょっぱー、いつも、3にんいっしょ、あそんでる。

ごはんに、なると、みんな、あつまる。

『んナミすゎん、ロビンちゅわん、ティオちゅわん! お口に合うかな~ぁ?』

『ふふっ、今日も美味しいわ』

『ア~ゥ、サンジ、コーラくれ! コーラ!』

『ヨホホホホホッ! 私、牛乳』

うるさくて、たのしくて、おいしい。

ごはん、たべたら、おひるね。

ますと、てっぺんまで、のぼると、かならずそこに、いる。

てぃおが、くると、なにも、いわなくても、すわって、くれる。

ひざに、あたま、のせると、て、のせて、くれる。

『……』

ぞろは、なにも、いわない。

いわなくて、いい。

あたま、なでる、て、いっぱい、おはなし、してくれるから。





―――そう。


―――こんな、ふうに。





「……?」

暖かい微睡みを、名残惜しく思いながら、ティオは目を開けた。

見知らぬ天井。

そして、視界に影を落としている何か。

この、影を落とす何かは見覚えがある。

頭を撫でるゾロの手が、寝起きにはいつもこんなふうに視界の端に入るからだ。

心地よい暖かさが、額から染み入ってくる。

「お、やっと起きたようじゃな」

「……?」

聞こえた声に、疑問符が湧いた。

いつもの、ゾロの声じゃない。

ぼやけていたティオの思考が、次第に明瞭になっていく。

額に乗っていた手が離れ、見たことのある男の顔が見えた。

「熱は下がったようじゃが、気分はどうじゃ?」

若いのに、老人のような話し方。

ウソップに似ているようで違う、四角くて長い鼻。

シャレたポロシャツとパンツに、黒いニット帽というラフな組み合わせは、CP9の鋭いオーラを欠片も感じさせなかった。

何故、この男が目の前に居るのだろう。

そもそも、ここはどこだろう。

仲間たちはどこにいるんだったか。

眠る前に、何が―――

「!」

一気に記憶が蘇り、ティオは飛び起きた。

途端、体中にビキビキと激痛が走る。

「~~~~っ」

蚊の鳴くような叫び声を上げ、身を縮ませると、大きな手が身体を支え、元通りに寝かせてくれた。

「急に動いては駄目じゃ。何度も生死の境を彷徨さまよったんじゃからな」

ティオは、体に響く痛みを堪えながら、辺りを見回した。

ベッドにサイドテーブル、机、小さなクローゼットがあるだけの、こじんまりとした部屋。

天井や床板、壁を見ると、雨漏りの染みやカビを掃除した跡があり、廃墟と言われても疑わないくらい古そうだ。

ところどころ、真新しい板や鉄板で丁寧に補修がされているが、建物自体の古さも相まって、かなり目立って見える。

……そして何より、CP9の1人であるカクが目の前にいるという事実に、困惑を隠せない。

今のところ、見聞色の覇気で探っても、敵意は感じないが……

ティオが警戒の目を向けていることに気づいたカクは、フッと口角を上げる。

「安心せい。わしはもうCP9ではない。お前さんには危害を加えん。元・伝承者なら、わしの言葉の真偽も分かるじゃろ?」

そう、敵意は感じない。

寧ろ好意的に感じられるほどだ。

……それに、エニエス・ロビーで最後に言葉を交わしたとき、この人は本当は優しい人なのだと感じた。

きちんと、他人ひとの痛みが分かる人だと……

「…………ここ、は……」

口の中がカラカラに乾いていて、上手く声が出ない。

察してくれたのか、カクはティオの体をゆっくりと起こし、背中とヘッドボードの間にクッションを挟んでくれた。

そして、水の入ったコップを渡してくれる。

「ここはセント・ポプラじゃ。春の女王の町と呼ばれ……なんて説明せんでも、寧ろお前さんの方が詳しいくらいじゃな」

ティオはチビチビと水を飲みながら、記憶を辿った。


―――春の女王の町、セント・ポプラ。

ウォーターセブンやエニエス・ロビーと、海列車を介して繋がっている島の一つだ。

島の気候海域は、名前の通り、春。

一年中穏やかな気候に包まれるこの町は、その美しい町並みが自慢で、多くの観光客が訪れる。

また、木材の卸売市場があり、造船業者が多く出入りするため、経済も盛んだ。

悩みの種があるとすれば、その卸売市場を狙って、たまに海賊がやって来るくらい。


―――シャボンディ諸島で、大将・黄猿とパシフィスタに襲われたあの日。

自分はバーソロミュー・くまに、能力で別の場所に飛ばされたはずだ。

……飛ばされた理由は、未だに不明だが。

ニキュニキュの実の能力で飛ばされた者は、三日三晩空を飛び続け、世界のどこかに着地するという。

つまり、あの日から最低でも三日は経っているということだ。

仲間たちはどうなったのだろう。

自分と同じように飛ばされていれば無事だろうが、その前に黄猿や戦桃丸、パシフィスタにやられてしまっていたら……

「……きょう、なんにち?」

掠れた小さな声で訊くと、カクは椅子から立ち上がり、机まで歩いていった。

本や書類が積み上がったその机には、同じように新聞も積み上がっている。

カクは数日分の新聞を鷲掴みにすると、再びティオの元へ戻ってきた。

そして、今朝の朝刊の一面を見せる。



『〇月×日 明らかになる 頂上戦争の真実』



日付と内容。

どちらに驚けばいいのか分からず、ティオは目を見開いて固まった。


 
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