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34. 麦わら一味完全崩壊
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「サン、ジ……サンジッ!」
ルフィはその場に膝をつく。
「何だ……何なんだよ……どうすりゃ……」
絶望的な惨状を、レイリーも、ボルサリーノの相手をしながら横目に窺っていた。
「……向こうの事態が尋常ではないな……。手を貸してやりたいが……歳は取りたくないものだ……」
大将を相手に、だいぶ息が上がっている。
「まったく、海軍大将1人止めといて まだ欲張られちゃァ、わっしの立つ瀬がないでしょう。いい加減にしなさいよ?」
ガキィン、と、2つの剣が互いを弾き合う。
そこへ……
「―――冥王・レイリーだな?」
2人の間を割るように、くまが現れた。
「ん~? くまァ?」
くまはボルサリーノには一切答えず、レイリーにのみ何事か耳打ちした。
手短な言葉に、レイリーは目を細める。
「……。……お前の言うことを、私に信じろと?」
「貴様の自由だ。……俺も、立場を危ぶめている」
海軍大将である自分を無視するくまに、ボルサリーノは眉を顰めた。
「オメェ一体どういうつもりだい? くまァ」
「政府の息の掛からない事例では、我々が海軍と仲良くする義務は無い。質問には答えない」
「言うねぇ……」
ビリリと、ボルサリーノとくまの間で、見えない火花が散る。
そこへ…
「この野郎ォォ! ギア2nd!」
ルフィが最後の力を振り絞って突っ込んだ。
けれど……
"シュッ"
くまはルフィの目の前から消え、ナミとフランキーの前に姿を現した。
「おわっ!? こっちに来やがった!」
フランキーは右手を思い切り振りかぶる。
「そこどきやがれ! ストロングライトォ!」
顔面に向けて拳を放つが、本物のくまも、改造された超硬度の肉体を持つ。
1ミリたりとも、その場から動かすことは出来なかった。
「ダメよフランキー! 逃げなきゃ!」
ナミがフランキーのシャツを引っ張り、逃げようとする。
……守らなければ。
そう思うと同時、ルフィは体から蒸気を立ち昇らせながら、飛び出していた。
ロビンが慌てて叫ぶ。
「待ってルフィ! 敵の思うツボになってしまうわ!」
けれど、ルフィは聞かない。
「ゴムゴムのォ、JET
"ぷにっ"
「んなっ」
"ガシャァンッ!"
くまはルフィをいとも簡単に弾き飛ばし、フランキーに迫った。
「くそっ……」
"――――――パッ"
「が…ぁ……っ、フランキー!!」
6人目。
またしても消えてしまった。
「きゃあああああっ!!」
甲高い叫び声。
ルフィが顔を上げると、ナミが必死に此方へ手を伸ばしていた。
「ナミーっ!」
ルフィも手を伸ばし、向かおうとするが、体が思うように動かない。
「ルフィ! 助け―――
"――――――パッ"
「あ……ぁ……ナミっ…ナミ……っ」
ルフィは怒りだけで体を動かした。
「うああああああああっ!!」
滅茶苦茶に突っ込んでいくが、そんな攻撃が当たるわけもない。
くまは一瞬にして消え、今度はチョッパーの前に姿を現した。
「ウオオオオオッ!」
無差別に攻撃を続けているチョッパーは、勿論くまにも拳を振り下ろす。
くまはそれを受け止めるように、右手を振り抜いた。
"――――――パッ"
「あぁ……っ……チョッパー!」
8人目。
残っている仲間は、1人。
「……っ」
ロビンは、何か手はないかと考えながら、必死に逃げ惑う。
くまは無表情のまま、ゆっくり散歩でもするように追い回した。
「……やめろ……やめろよ……っ」
ルフィはボロボロの体に鞭打って、もう一度だけ拳を握り、飛び出す。
「もうやめてくれぇぇぇ!!」
ギア2ndになる力もなく、ただ全速力でロビンの元に走る。
その姿を目の端に捉え、ロビンも手を伸ばした。
「ルフィ!」
「ロビン!」
あと2m……1m……50cm……
"――――――パッ"
伸ばされたルフィの手は、空振った。
9人目。
ついにすべての仲間が、消えてしまった。
「う……うぅっ……あぁ~~~~っ……」
ルフィは呻きながら、その場にうずくまり、行き場のない怒りを、頭突きで地面にぶつけていく。
「……うぐっ…………何だ……俺は……っ」
怒りの中に、悔しさが込み上げて、滲む涙を止められなかった。
「仲間1人もっ……救えない!!」
地面の尖った石で、額から血が出るほどに、ルフィは頭を地面に叩きつけた。
「うああああああああっ!!」
苦しみに満ちた、叫び。
それを、戦桃丸は冷ややかな目で見ていた。
「……んで? そいつも飛ばして終わりかい? くま公。ちゃんと説明はあんだろうなァ」
「……」
バーソロミュー・くまは、何も答えず、一瞬でルフィの目の前に姿を現した。
ルフィは怒りと哀しみに満ちた眼差しで、くまを見上げる。
くまは無表情を崩さず、ルフィの顔を記憶の奥底に焼き付けた。
「もう、二度と会うことはない。さらばだ」
"――――――パッ"
夕暮れ迫る、シャボンディ諸島。
12番グローブ。
この日、船長 モンキー・D・ルフィ率いる海賊団、"麦わらの一味"は―――
―――完全崩壊を喫した。
バーソロミュー・くまの持つ、ニキュニキュの実の能力。
その能力で飛ばされたものは、生物であれ、無機物であれ、三日三晩、空を飛び続けるという。
そして、世界のどこかに、肉球のクレーターを伴って着地するそうだ。
「何じゃ何じゃ? 肉球型のクレーターとは珍しい。妙な爆発が起こったもんじゃのう」
ここにも、三日三晩 空を飛んだ者が1人。
「うん? よく見れば、見知った顔の子供じゃなぁ。また足が折れとるのか」
懸賞金9600万ベリー。
"麦わら海賊団" 諜報員・ティオ。
三日前、シャボンディ諸島で死闘を繰り広げた彼女は、その傷の深さから、血塗れの姿で気を失っていた。
……そして、彼女を見つけたのは、若い男。
頼まれた買い出しの帰り、ちょっと遠回りをして海岸線を散歩していたら、崖のように隆起したサンゴ礁の上で、肉球型のクレーターを見つけたのだ。
「他の奴らはどうしたんかのう。政府の膝元まで仲間を取り戻しに来た奴らが、この子を置いてどこかに行ったとも考えにくいが……」
眠っているティオの傍にしゃがんだ男は、顔にかかった金髪に、そっと指をくぐらせた。
そのまましばらく、ティオの顔を見つめて、何かを考える。
やがて、男はフッと口角を上げた。
「……運のない子じゃ」
そう呟いて、傷だらけの小さな体躯を軽々と抱き上げる。
「つくづくお前さんは、恵まれん星の元に生まれてきたのかもしれんのう」
そう言って歩き出す男を、沈みかけの夕日が真横から照らした。
地面に伸びる長い影。
その頂点にくっきりと
→ 35. セント・ポプラ
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