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34. 麦わら一味完全崩壊
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回転の加えられた巨大な拳が、パシフィスタを地面に沈めた。
「あわわわ~~っ縮む~~~!」
空気が抜ける風船のように、ルフィは縮み、地面に落ちた。
「だはぁっ、はぁっ……」
パシフィスタが動く気配はない。
麦わら一味は皆、その場に座り込んだ。
フランキーがサングラスを上げる。
「さすがに止まった、よな……?」
ナミは両膝を抱えてパシフィスタを睨んだ。
「さすがに終わりでしょう……。けど、まだ動き出しそうで不気味だわ……」
大の字に寝転がったウソップが、首を横に振る。
「もっかい起きられても、はぁ、俺はもう、動けねぇぞ……」
その隣で、チョッパーも舌を出して息をついていた。
「ゼェ、ゼェ……戦うより、逃げた方が……良かったのかな……」
ロビンが首を横に振る。
「いいえ。倒せるものは倒しておいた方がいいわ。……どの道 追われるんですもの」
まだ体力の残っているティオが、注意深くパシフィスタに近づいた。
膝をついて顔を覗き込み、目の奥のモーターが完全に止まっているのを確認して、ほんの少しだけ安堵する。
しかし、緊張の糸は解けないまま、立ち上がって振り返った。
「みんな、くるしいの、わかる、けど、すぐに、たって。ここ、はなれる」
サンジが近くに歩み寄る。
「敵が近くに居るのかい?」
ティオは首を横に振った。
「まだ、いない。……けど、これだけの、ばくおん、きっと、きづかれてる」
海兵の誰かが気づいて、科学部隊隊長のあの男や、大将に連絡されていたら終わりだ。
特に、今回来ている大将は、ティオの探知範囲など一瞬で移動してくる。
早くみんなを隠さな―――
「!」
突然、広げていた覇気に、猛スピードで此方へ向かってくる気配が引っ掛かった。
大将よりは遅い、ということは、あの男……
「みんなっ、にげて!!」
ティオの声で、仲間たちの緊張の糸が再び張られた。
そこへ……
「逃げられねぇよ、馬鹿どもが」
"ヒュオッ……ドゴォッ!"
何かが遠くの空から飛んできた。
一味は全員、戦闘態勢に入る。
ティオは、間に合わなかったか、と、自分も身構えた。
土煙の中から、
「……オイオイ、なんて無様な姿だ? PX-4」
麦わら一味は全員、血の気が引いていく感覚を覚えた。
「テメェらパシフィスタを1人造るのに、軍艦1隻分の費用を投入してんだぜ? ……まったく、あのパンク野郎になんて報告すりゃいいんだよ」
ウソップとチョッパーが目を飛び出させて叫ぶ。
「うわああああっまだいるぞアイツぅ!」
「もしかして今度こそ本物かぁぁ!?」
サンジが舌打ちをして、新たな敵を睨む。
「本物だろうが偽物だろうが、もうあんなのと戦う体力残ってねぇぞ、こっちは……」
その目の前に、ティオが進み出た。
「……ティオちゃん?」
「みんな、おねがい。とにかく、にげて」
まだ、大将は来ていない。
大将ではなくコイツらなら、何とか逃げる時間くらいは稼げる。
わずかでも体力のあるうちに、みんなに少しでも遠くに逃げてもらわなければ……
「オメェ1人でどう逃がす気だ? 政府の裏切り
「……」
フランキーが戦闘準備とでも言いたげに、肩をコキっと鳴らす。
「おいティオ、そいつァ何者だ。強ェのか」
「……こいつは「喋るんじゃねぇ。それでもテメェは元・諜報員か」
「はァん? 名前ぐれぇいいじゃねぇか、減るもんじゃなし」
「わいに矛先を変えても無駄だ。お前たちに教えることは何一つねぇ。わいは世界一ガードの硬い男。したがって口も固い」
チョッパーがキョトンとまばたきをする。
「……言う割に意外と喋るなぁ」
せめて階級だけでも聞き出せれば、合わせて作戦を練れると、ウソップがビビりつつも訊いた。
「なっ、名前くらい名乗ったらどうだ! 礼儀として!」
「海賊が"礼儀"を口にするな。言ったはずだぜ。わいは世界一 口の堅い男、戦桃丸だ」
「……戦桃丸なんだ」
「あ……。……今のはわいが自発的に教えたんだ。テメェらの質問に答えたワケじゃねぇ」
「……そ、そうか」
「始めるぞ、PX-1」
"ガシャンッ"
「「「「!」」」」
何でもないような会話の中で、いきなり指令が飛び出た。
鉞の男・戦桃丸の横に居た、もう1体のパシフィスタが、腕を動かす。
"キュイイィィン……"
"ピュンッ……ドゴオッ!"
「「うわああああっ!?」」
またしても、悪夢のようなビーム攻撃が始まった。
「ほっ、本物じゃなかったけど!」
「偽物でも嬉しくねぇ!」
泣きじゃくるウソップとチョッパー。
状況を見て、ルフィは決断した。
「……ティオの言う通りだ。ここは逃げよう」
一味全員がルフィを見る。
「一緒じゃダメだ、みんなバラバラに逃げるぞ!」
聞くが早いか、ウソップとチョッパーが真っ先に駆け出した。
「「逃げるの賛成!」」
ルフィはゾロとサンジの方へ振り返る。
「俺たち3人は分かれよう」
「あぁ、分かった。……おいマリモ、テメェ大丈夫か」
「うるせぇよ……」
額に血管を浮き上がらせて耐えているのを見て、サンジは小さなため息と共に後ろを振り返った。
「ティオちゃん、このマリモ頼めるかい?」
ティオは戦桃丸に意識を向けたまま、チラリとだけ振り返る。
「でも、てぃおは「駄目だ。1人で残ることは許さねぇ」
「……」
立ち昇る煙草の煙の後ろから、こちらを見ている双眼は、残るというなら引きずっても連れていくと物語っていた。
「……わかった」
ルフィが力強く頷く。
「よし、行くぞ!」
3人はそれぞれ別の方向に駆け出し、ティオはゾロの後についた。
合わせて他の仲間も散り、3手に別れる。
ルフィの元には、チョッパーとロビン。
サンジの元には、ナミとフランキー。
そしてゾロの元には、ウソップ、ティオ、ブルックがついた。
「うわああんっゾロ君! 俺を全力で守り切りなさいね!? ね!? 頼むよぉぉ!!」
叫びながら、ウソップはゾロの背中にしがみついた。
「ぐっ……ちょっと待て……ウソップ、俺はもう……っ」
1人で走ることすら厳しいのに、さらにウソップまで担いではいけない。
「うそっぷ、おりて」
"ドスッ"
「ぎゃふんっ」
ティオの人差し指が、ウソップの顎を下から狙った。
的確にツボを突かれ、ウソップはゾロの背中から落ちて、泣きながら走り出す。
「何すんだよぉぉティオ~~!」
「まだ、はしれる、でしょ」
「もうムリだってぇ!」
「こども、みたい、なかない。……それより、めくらまし、やって?」
「ぬぁっ、そうだっ、少しでも逃げられる確率上げねぇと!」
ウソップは鞄の中をガサゴソ探り始めた。
ゾロは、さりげなく助けてくれたティオをチラリと見てから、前を向く。
そこに、ブルックがこっそり耳打ちした。
「……ご安心を。私もカバーします。事情は知っていますから」
「……そうか。
うまいこと3方向に纏まったのを見届けて、ルフィが叫んだ。
「みんな! 3日後にサニー号で!」
「「「おう!」」」
なかなかのチームワークで、素早く逃走に手段を切り替えた麦わら一味を、戦桃丸はぐるりと見渡した。
「追え、PX-1。この12番グローブからは出すなよ? 厄介になるからな」
そこに、ウソップが渾身の一撃を打ち込む。
「必殺、超煙星!」
鞄の中にあった全ての煙星を、同時にお見舞いした。
"ボワワワンッ"
「ぶおっ!? 何だこの煙はっ」
目くらましが成功すると、ウソップはゾロたちを追い抜いて、誰よりも速く駆けていく。
「よぉし今の内だァァ!」
「ヨホホホッ、頼りになりますねぇ!」
……しかし、レーダー搭載のパシフィスタに、煙は効かない。
PX-1は、そのまま真っ直ぐ進み、サンジたちの元に現れた。
そして戦桃丸は、覇気で周囲を探り、最も気配の大きいルフィの元へ向かう。
……それを覇気で感じていたティオは、助けに向かいたい気持ちはあるものの、ここはみんなが逃げ切れることを信じて、全力で目の前の仲間たちを守ることにした。
その瞬間……
「!」
覇気が、よく知る気配を感じたのと同時。
目の前で、光が蓄積されるのが見えた。
その照準はゾロの体の中心に―――
「
考えるより先に、体が動いた。
「
"シュッ、ドスッ!"
「ん~?」
とぼけたような声と同時に……
"ピュンッ"
「ぐあっ」
弾け飛んだ光の弾が、ゾロの腹部を
"ドゴオッ"
掠った光はそのまま、マングローブまで飛んでいき、大爆発を起こす。
「へっ? あ、ゾロォ!?」
いきなり倒れたゾロに、ウソップは飛び上がった。
ブルックも両頬を押さえる。
「ゾロさん!? えっ、何ですかっ、今のビームですよね!? 前から!? 何で!?」
後ろからビームが来たなら、パシフィスタだとまだ分かる。
だが、前方からビームが来るなんて、どういう状況なのか全く分からなかった。
ビームが地をこすったことで巻き起こった砂煙が、徐々に晴れていく。
するとそこには、黄色のスーツを着た長身の男が立っていた。
こちらに人差し指を向けていたであろう右腕には、ティオが
彼の気配と攻撃を察知した瞬間、ティオは
「やァ、キミはクザンのとこの嬢ちゃんだねぇ。元気にしてたか~い?」
のんびりと話しかけてくる男。
サングラスを通して見下ろしてくるその双眼を見上げ、ティオは歯を食いしばった。
「……っ」
ついに来てしまった……
大将、黄猿・ボルサリーノ。