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34. 麦わら一味完全崩壊
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「いや~、まさか冥王シルバーズ・レイリーに会えるとはなァ」
「それに、あのクロッカスさんも海賊王の仲間だったなんて……」
13番グローブにて。
レイリーやシャッキー、ハチたちと別れを済ませた麦わら一味は、ゆったりと12番グローブ目指して歩いていた。
先頭は、もちろんティオ。
限界まで見聞色の覇気を広げて、急襲に備えている。
ルフィが、両手を頭の後ろに組んで歩きながら訊いてきた。
「なぁ~ティオ~、これからどこ逃げるんだ~?」
「いったん、50ばんだい、の、ぐろーぶ、めざす。そこから、なんにんか、ずつ、わかれて、みっかかん、にげる」
「ほ~ん。んじゃあ俺、遊園地行ってきていいか!?」
すかさずウソップがその頭をはたく。
「黙ってろこのおトボけキャプテン!」
「何だよォ、木を隠すなら森の中って言うだろ~? だったら、人を隠すのに遊園地は最高じゃねぇか」
「ぐっ……言われてみると確かに……」
こんな非常時にも呑気なキャプテンに、ティオは小さくため息をついた。
そのとき……
"―――ザッ"
麦わら一味の背後で、重い足音が聞こえた。
「「「?」」」
一味は一斉に振り向く。
そして、ルフィ以外は全員、目を見開いた。
ルフィだけは顔をしかめるのみ。
「んぁ? 誰だお前」
呑気に尋ねるルフィに、サンジが叫んだ。
「下がれルフィ! そいつは七武海だ!」
「んなっ、七武海!? ……って、何でみんな知ってんだ?」
ナミがクリマ・タクトを組み立てつつ、チラリとティオを見る。
「どういうこと!? 後ろに立たれるまでアンタが気づかないなん…て……」
ナミの声は、尻すぼみになって消えた。
目に映ったティオの表情が、見たことのない恐怖に染まっていたからだ。
青い瞳は大きく見開かれ、顔色は死んでしまったかのように真っ青になっている。
「ちょ、ちょっと、ティオ……?」
何故こんなに怯えているのだろう。
スリラーバークで遭遇した時には、いつも通り冷静だったのに。
そうしてナミが不思議に思う間、ティオの頭の中は絶望に染まっていた。
(……ぱし、ふぃすた……っ)
世界政府所属の科学者、Dr.ベガパンクが製作中だった、最新鋭の人造科学兵器。
まさかもう実用化されているとは、思ってもみなかった。
パシフィスタが投入されているのなら、その統制に、あの
そして、その男が来ているということは、呼び出されている海軍大将は……
「ちょっとティオ! しっかりしなさいよ! どうしたっていうの!?」
ナミに肩を揺さぶられ、ティオは忘れていた呼吸を再開した。
「っ……けほっ、けほっ」
……最悪だ。
これ以上に最悪のシナリオはない。
寄越されるのが大将1人だけなら、まだ3日間逃げるくらいはどうにかできた。
けれど、複数体のパシフィスタに、その統制役であるあの男も来ているのなら、逃亡は絶望的だ。
ティオの思考が固まっている間に、くまは手袋を外し、掌をルフィに向けていた。
咄嗟にサンジが叫ぶ。
「その攻撃 絶対に受けるな! 衝撃波だ!」
"キュイイィィン……"
"ピュンッ……ドゴオッ!"
マングローブの根元が、一瞬にして燃え上がった。
寸前で攻撃を
「おいおい! あれのどこが衝撃波だ!」
隣に並んだチョッパーも頷いた。
「そうだぞ! アレは……」
「「ビームじゃ~ん!」」
キラキラと目を輝かせる2人に、ウソップが渾身の大声でツッコんだ。
「喜んでる場合かアホ共! 今そのビームに殺されかけただろうが!」
麦わら一味は、くまから距離を取りつつ、一か所に集まっていく。
逃げる様子のなかったティオは、ナミが無理やり引っ張ってきた。
「ちょっともう! アンタ本当にどうしちゃったわけ!?」
その声に逸早く反応したサンジが、ティオの異変に気付いて駆け寄ってくる。
「ティオちゃんっ? 大丈夫かい?」
しかし、ティオは俯いていて、前髪に隠れた表情は分からない。
白い細足は、生まれたての小鹿のように震えていた。
何の前触れもなく、ストンと、その細足が地面に座り込む。
「~~~~っ」
うめき声なのか、泣き声なのか、よく分からない声を出しながら、ティオは両手で自分の両腕を抱き、大きく首を左右に振った。
仲間たちは、今までに見たことのないその姿に困惑する。
ルフィも慌てて駆け寄ってきた。
「どうしたティオっ、腹でも痛てぇのか!」
ウソップが意外にも冷静にツッコむ。
「いや絶対違げぇだろ」
……今のティオに、仲間たちの声は届いていなかった。
まるで水の中に潜ったように、全ての音が遠い。
そんな、絶望で心の折れたティオを、ゾロはじっと見ていた。
やがて、サンジやルフィを押しのけるように、ティオの前に進み出る。
「ンだよマリモ」
「ゾロ?」
一体何をする気なのか、仲間たちが不思議に思っていると…
「立て」
低い声でそう言って、ティオの胸ぐらを掴んで持ち上げた。
ナミが慌てて駆け寄る。
「ちょっ、何して―――
"―――パシンッ"
ティオの頬に、平手打ちが決まった。
固まるナミの横で、サンジが激高する。
「テメっ、レディに何しとんのじゃァァ!」
叫んで掴みかかるが、サンジには目もくれず、ゾロはじっとティオを見下ろしていた。
「前を見ろ。俺たちはまだ、生きてるぞ」
低く轟くような声。
ティオはハッと目を見開いた。
唇を震わせながら顔を上げれば、真っ直ぐに見下ろしているゾロと目が合う。
「……っ」
……そうだ。
ここで下を向いていたって、何もいいことはない。
頑張っても、頑張らなくても、最期には死が待っているのなら、せめて頑張ってから死にたい。
キュっと唇を噛み締め、目尻に滲んでいた涙をぐいっと拭った。
「……ごめん、ありがと」
光の戻った青い瞳に、ゾロは口角を上げ、胸ぐらを掴んでいた手を離す。
唖然としていた仲間たちは、2人の世界がよく分からないまま、呆れ顔をして、バーソロミュー・くまへと顔を向けた。
くまは、のっしのっしと此方へ歩いてくる。
ナミがクリマ・タクトを構えつつ訊いた。
「ティオ、あんたアイツの接近を感知できなかったわよね? どういうことなの?」
ティオは力強い眼差しで、くまを、パシフィスタを見据えた。
「あれ、くま、ちがう」
「えっ、どういうこと?」
「危ねぇっ、
サンジの一言で、全員、その場から飛び去った。
"ヒュッ、ドゴォッ"
再び くまの手から放たれたビームが、地面を燃やす。
ロビンが逃げつつ、ティオの隣に走り寄る。
「さっきの言葉、どういう意味なの? あの姿は確かに、私たちが出会った王下七武海、バーソロミュー・くま よ?」
「あいつから、は、ひとのけはい、かんじない。ひとじゃ、ない、ろぼっと」
「ロボット……?」
……そう。
人どころか、生物でもないから、ティオは気づくことが出来なかった。
「せいしきめいしょう、ぱしふぃすた。せかいせいふ、つくった、へいき」
「どういうことなの?」
「せかいせいふ、くま、の、からだ、もでるに、つよい、ろぼっとへい、つくる、けいかく、してた」
「なら、アレはバーソロミュー・くまの形をしているだけで、全くの別物なのね?」
「(コクン)」
ティオは、散らばった仲間たちに聞こえるよう、最大限に声を張った。
「あいつ、くま、ほんにんじゃ、ない! でも、かたくて、つよい! きをつけて!」
その言葉で、仲間たちはそれぞれ表情を変える。
「……ギア2nd」
ルフィの顔も、この上なく真剣な色に染まっていた。
「強ェと分かってんなら、始めから全開だ」
その場からシュッと消え、パシフィスタ目掛けて飛んでいく。
ゾロとサンジも、以前のくまとは別物という認識の元、攻撃に出た。
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