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33. 超新星と伝説の冥王
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「さて、状況も状況だ。船のコーティングの依頼だったな。私も今の本職を果たすとしよう」
そう言って立ち上がったレイリーに、ハチが訊く。
「ニュ~、そういやコーティングって、すげぇ金かかるんだよな?」
「心配するな、ハチ。お前の友達から金は取らんよ」
「ニュ~、よかった! ありがとうレイリー」
ウソップがはしゃぐ。
「うぉ~~っ! なんか知らねぇがタダでいいんだな!? さっすが太っ腹ァ!」
店を出るべく、歩き出すレイリー。
ロビンは、膝の上で両手をギュっと握った。
……オークション会場で、レイリーの姿を見てから、次々に訊きたいことが湧いて止まらなかった。
この機を逃すと、二度と尋ねる機会はないかもしれない。
その好奇心を抑えきれず、ロビンは勢いよく立ち上がった。
「レイリーさん、質問が」
一度は、自分の目で確かめるとティオに宣言したけれど、止められない。
「"Dの意思"って、一体、何?」
レイリーの眉がピクっと動いた。
ティオも、じっとロビンを見る。
「空島で見たポーネグリフに、古代文字を使ってロジャーの名が刻まれていた。彼はどうして、あの文字を操れたの?」
レイリーを見つめる視界には、ティオの姿も映り込んでいる。
心の隅で、ごめんなさいと呟きながら、ロビンは矢継ぎ早に言葉を続けた。
「あなたたちは、900年前から始まる"空白の100年"に、世界に何が起きたのかを知っているの?」
レイリーは、チラリと、何かを問うような視線をティオに向けた。
ティオは小さく、首を横に振る。
なるほど、と納得したような表情で、レイリーはロビンに言った。
「結論から言うと……知っている。我々は、歴史の全てを知った」
「!」
「だが お嬢さん、キミは同じことを、この子にも訊いたんじゃないのかい?」
言って、ティオの頭に手を乗せる。
「キミが本気で聞きたいと望めば、この子は答えただろう。……だが、この子は答えていない」
ロビンはハッとして、俯いた。
「慌ててはいけないよ、お嬢さん。キミたちの船で、一歩ずつ進みなさい。我々も……オハラも……少々急ぎすぎたのかもしれん」
レイリーは無意識にティオの頭を撫でる。
ティオは心地よさを感じながら、レイリーを見上げた。
「私がキミたちに、今ここで歴史の全てを話しても、この子がキミたちに、歴史の記憶を全て見せても、今のキミらには何も出来やしない。……ゆっくりと世界を見渡して、そのあとに導き出す答えが、我々と同じとも限らない。……さぁ、どうする?」
ロビンは数秒押し黙った。
「……」
やがて、ふっと笑みを浮かべる。
「……やめておくわ。旅を続ける」
レイリーは目を閉じ、頷いた。
「いずれ、全てが見えてくるだろう。……キミの故郷、オハラの一件は気の毒だった。……歴史の歯牙に絡めとられたこの子も……。ロジャーはな、あの文字を解読できたわけではないのだよ」
「え……」
「我々は海賊だ。天才クローバーや、オハラの学者の頭脳に適うはずがない」
レイリーの視線は、ティオを見下ろす。
「アイツはな、万物の声を聞けた。それだけのことなのだよ」
「万物の……声……」
ロビンは、ティオと出会った頃のことを思い出した。
『こえ、きく、ちから、もってる、から』
(ティオも持っているという、声を聞く力……一体何なのかしら……)
ロビンが立ち尽くしていると、ウソップがそわそわしながら立ち上がった。
「な、何だよいいのかロビン! 今なんか、すげぇチャンスを逃したんじゃねぇか!? あ、あのさ おっさん! 俺も1コだけ訊きてぇんだけど! ひとつなぎの大秘宝、ワンピースってのは、本当に「ウソップ!」
響いたルフィの声で、ウソップは反射的に口を噤んだ。
ルフィはカウンターに立ち、珍しく怒りに満ちた顔でまくし立てる。
「宝がどこにあるかなんて聞きたくねぇ! 宝があるかないかだって聞きたくねぇ! 何も分かんねぇけど、みんなそうやって命懸けで海へ出てんだよ! ここでおっさんから何か教えて貰うんなら、俺は海賊をやめる!」
「んなっ……」
「つまらねぇ冒険なら、俺はしねぇ!」
きっちり言い切ったルフィに、ウソップは慌てて弁解する。
「わ、わわ、悪かった! 分かってたんだけどよ、口が勝手に滑って……お、俺だって聞きたくねぇよ! お、おっさん! 何も喋んじゃねぇぞ!」
そのやり取りに、シャッキーは満足げに笑みを浮かべた。
レイリーも口角を上げ、ルフィに訊く。
「やれるか? キミに。
すると、ルフィは笑った。
「ははっ、支配なんかしねぇよ」
「?」
「この海で一番自由な奴が、海賊王だ」
「……」
レイリーは少しだけ目を見開き、数秒固まった。
しかしやがて、目を伏せて頬を緩める。
「……そうか」
そんなレイリーをチラリと見て、シャッキーはルフィに笑みを向けた。
「やっぱり私、モンキーちゃんたちのファンだわ」
レイリーは今度こそ、店の外へと歩き出す。
「船は41番グローブだったか。私が勝手に行ってこよう。……キミらはどうする? 島には大将が到着していると思うが」
そう言われ、一味の視線は、真っ直ぐにティオへと向いた。
ティオは、ずっと広げている覇気の情報を伝える。
「いま、てぃおの、たんち、はんい、8ばんから、22ばんぐろーぶ、まで。そこに、たいしょうの、けはい、ない。おそらく、まだ、27ばんぐろーぶ、しゅうへん、いる」
ナミが顎に手を当てた。
「ん~……ここにいても迷惑がかかるから……じゃあどこかで、ショッピングでもする?」
ウソップがベシっとツッコむ。
「ほのぼの
フランキーも頷いた。
「そうだな。俺たちが一緒にいたら、そこに追手が来るかもしれねぇ。スムーズに作業してもらうためには、俺たちは町で逃げ回ってた方がいい」
ゾロがあくび混じりに言う。
「んじゃ、俺たちは適当にバラけて、仕上がりの時間にそこへ集合する、ってことでいいんじゃねぇか?」
サンジが呆れ顔で見下ろした。
「計画的に集合とかテメェ、どの口が言ってんだよ……。ティオちゃん、悪いがこのマリモのこと頼んだぜ?」
「(コクン)」
「誰がマリモだエロコック!」
「ァアン!?」
……2人の喧嘩はいつものことなのでさておき。
ティオはシャッキーの方を見た。
「ちず、ある?」
シャッキーは もちろん と頷く。
カウンターの棚を探り、シャボンディの簡易地図を出してくれた。
それを一瞥して、ティオは仲間たちを手招きする。
ナミやウソップが寄ってきた。
「いま、ここ、13ばん、いる。たいしょう、たぶん、このへん。だから、はんたいの、50ばんだいの、ぐろーぶ、めざす、べき」
「なるほど、一旦全員で50番台へ逃げて、そこからバラけるってわけね?」
「(コクン)」
どうやら、逃げる方向で意見が固まってきたようだ。
レイリーが思い出したように、シャッキーに訊く。
「そういえば、あれがまだ1枚残っていたはずだな」
「えぇ、あるわよ」
シャッキーはもう一度、地図が入っていた棚を探り、1枚の紙を取り出した。
それを、人数分に切り分けていく。
「私もフダツキの身なのでな。41番グローブからどこかへ移動して作業する予定だ。ティオ君がいれば、私を見つけることなど造作もないだろうが、この広いシャボンディ諸島では効率が悪いだろう」
ナミがシャッキーの手元を見て、呟いた。
「これって、ビブルカード?」
「ほう、知っているなら話は早い」
小さな正方形が、10枚出来上がった。
それを1枚貰ったチョッパーは、トテトテとゾロの元へ駆け寄る。
「あのな、ゾロ。ティオとはぐれたときは、このカードを使って、ひとまずレイリーのとこに戻るんだぞ。使い方は……「知ってるよ うるせぇな!」
ティオがチョッパーの肩をポンと叩いた。
「だいじょぶ。みうしなわない、から」
チョッパーは、呆れ顔のティオと、こめかみに血管を浮かせたゾロを、交互に見る。
「そうだな。ティオなら見失わねぇな」
「……何で俺よりそいつを信用してんだ」
とりあえず全員、店の外に出た。
レイリーは、店の倉庫から、コーティングに必要な道具を引っ張り出してくる。
「よし……。ルフィ君、コーティング作業には3日貰うからな」
「んぇっ、3日!? そんなにかかるのか!」
「命を預かる作業だからな。それが最速だ」
ブルックが骨をカタカタ鳴らした。
「では、3日間はサバイバルになるわけですね、ヨホホホホッ! コワ~!」
「……お前が怖ぇよ」
レイリーが顎に手を当てる。
「……そうだな、3日後の夕刻と決めようか。私はそのとき何番グローブにいるか分からんが、その時刻までにはコーティングを済ませて、キミたちを待っている。キミたちはそれまでに、魚人島への海中航海に備えて、必要な物を買っておくといいだろう」
「よしっ、分かった! 肉500個買うよ!」
ベシっとウソップがルフィの頭をはたいた。
「テメェは たまには食いモン以外のことも考えやがれ!」
一旦分かれることになり、ケイミーたちが見送りに出てきた。
「ルフィちんたち、ほんっっっとうにありがとね!」
「ありがとなぁオメェら~~~!」
「ニュ~、俺のために、大変なことになっちまってごめんなァっ……お前らには感謝しっぱなしだ……。けど、魚人島へは俺たちが案内するから安心しろ! 3日間、海軍に捕まらねぇようにな!」
「頑張ってね、モンキーちゃんたち。見送りに行くから、3日後に会いましょう」
出発を前に、ルフィがいつものように拳を振り上げた。
「ぃよ~し! 海軍から逃げ回るぞ! オメェら! 相手は大将だからな、誰か死なねぇようにしねぇと、にっしっしっしっ!」
ウソップがその頭をはたく。
「馬鹿ルフィ! 縁起でもねぇこと言うんじゃねぇよ!」
ブルックは何か思いついたようで、ポンと手を叩いた。
「あ、そうだ。私 死んだフリしてましょう、ヨホホホホッ!」
どこか気楽な、いつもの出航前のような雰囲気。
……けれど、ティオだけは身を固くして、レイリーのビブルカードを懐にしまい込んだ。
「……」
限界まで広げた覇気の端、20番台のマングローブの方から、恐怖の感情がいくつも伝わってくる。
きっと、近くに大将がいるのだ。
海軍大将は、生物としてもはや別格の存在。
出会ってしまったら最後だ。
自分にできることは、仲間たちが大将に出くわさないよう、海軍の情報を捉えて伝えること……
"―――ポン"
突然、頭に手が乗った。
誰の手かなんて、見上げなくても、頭に伝わる絶妙な感触で分かる。
「ンなに
「……」
ティオは小さく、頷いた。
―――いよいよ、
麦わら一味史上最大の死闘が始まる―――
→ 34. 麦わら一味完全崩壊
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