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33. 超新星と伝説の冥王
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"ガタンッ、ガチャ"
「「「!?」」」
聞こえた音に、麦わら一味はステージへと目を向けた。
ケイミーの水槽の傍に
ディスコが慌てて諭した。
「ぁ、5億ベリーっ……しゃ、シャルリア宮! 一旦落ち着いてください! その商品はまだお支払いが……」
「うるさいアマス!」
"パァンッ"
ディスコは撃たれ、その場に倒れた。
ケイミーは震えながら、水槽の中にうずくまる。
「くそっ、しまった! ケイミーちゃんが!」
「ダメっ、間に合わない!」
シャルリア宮の指が、引き金に掛かる。
「さぁ、魚! 死ぬアマス!」
そして力が籠められた、次の瞬間―――
"ズンッ"
「……か、ぁ……」
誰も何もしていないというのに、シャルリア宮は倒れた。
"パタ……ッ"
同時に……
"ガラガラガラ"
ステージの壁が崩れ、銀髪の老人と、巨人の男が、ゆったりと歩み出てくる。
会場にいた人々は、敵も味方も固まった。
「ほら見ろ、巨人君。会場は大混乱。オークションは中止だな。……客たちから金は盗んだし、さて、ギャンブル場へ戻るとするか」
「タチの
「あわよくば、私を買った者からも奪うつもりだったが、まぁ無理な話だ。こんな老いぼれ、私なら奴隷になど絶対に要らん。ふははははははははっ!」
老人は高らかに笑った。
彼の周りだけ、空気が違う。
「おや、少し注目を浴びたかな」
老人の姿を見て、ハチが呟いた。
「れ、レイリー……」
治療していたチョッパーが目を見開く。
「えっ、レイリーって、知り合いだって言ってたコーティング屋か!?」
「ん? おぉ! ハチじゃないか! 久しぶりだなァ! どうしたんだこんなところで! ……その傷はどうした」
「あ、これは「あぁいやいや、言わんでいいぞ」
老人は数秒、会場内を見渡した。
それだけで、何があったのかを察する。
「……なるほど、事情は分かった。まったく、酷い目に遭ったな、ハチ」
老人の視線は、ルフィに移る。
「お前たちが助けてくれたのか。礼を言う。ありがとう」
ルフィは眉を顰めて首をかしげた。
「その麦わら帽子は精悍な男によく似合う。……会いたかったぞ、モンキー・D・ルフィ。……さて」
"ズンッ"
大きな気が、会場中に広がった。
護衛兵たちが全員その場に倒れる。
麦わら一味は目を見開いて固まった。
「お、おい……何だ、今の……」
「たっ、倒れちまったぞ、敵全員!」
その力の正体を、唯一知っているティオは、固まったまま動けずにいた。
力だけでなく、あの老人の正体もよく知っている。
このシャボンディにいるという噂も、海軍の中で頻繁に持ち上がっていた。
……だが、まさか実際に会うことになるとは。
老人はケイミーの方を向く。
「今、首輪を外すからね」
「え……」
チョッパーが慌てて叫んだ。
「ダメだ! 爆発しちまうよ!」
「……だいじょぶ」
「え……ティオ?」
麦わら一味の視線は、全てティオへと集まった。
「あの、くびわ、はずすの、あのひとに、とっては、かんたん」
ルフィが首をかしげる。
「ティオ、オメェ、あのおっさんのこと知ってんのか?」
「(コクン) …あうのは、はじめて、だけど。てき、じゃ、ない。だいじょぶ」
"ピン……カチ、カチ、カチ、カチ"
「「「!?」」」
敵じゃないと言った傍から、老人は、ケイミーの首輪の爆弾を稼働させた。
「おいおいっ、音鳴ってるぞ!」
「うわああっケイミーが爆発しちまうぅ!」
叫びながら、ウソップとチョッパーが、ティオを左右から揺さぶる。
「だいじょぶ、だから、ひっぱらないでっ」
"カチン……ドゴォッ"
「うおぉおぉおいっ爆発しちまったぞ! ……って、え、無事だ」
首輪も手錠も、綺麗に消えていた。
そこへ、鍵を探しに行っていたフランキーが走ってくる。
「ぁん? 何だよ脅かしやがって。爆死しちまったかと思ったじゃねぇか。……つーか、鍵持ってきた意味ねーじゃねぇの」
老人は感心するように頷いた。
「ほう、鍵を見つけてきたのか。そいつは優秀だな。……だが、もう必要ない。君は、この人魚の娘さんを運びたまえ」
ケイミーは、軽くなった首元に触れ、笑顔を浮かべて老人を見る。
「あの……ありがとう!」
「うん? あぁ、いやいや」
「ケッ、何だってんだこの状況は。つーか、テメェ誰だ一体」
そこへ……
"タタタタッ"
真っ白な少女が走ってきた。
先程オークションにかけられていた、奴隷の1人だ。
「ぁん?」
少女は紫の瞳でフランキーをじっと見つめ、物乞いするように両手を差し出す。
そして、視線で鍵を指した。
「ん、あぁ、鍵か。ほらよ」
フランキーが投げた鍵を、少女は笑顔でキャッチする。
深々と頭を下げると、自分と同じように奴隷にされていた人々の方へ走っていった。
「おぉっ、鍵だ!」
「これで逃げられる!」
少女は、リングにひとまとめにされていた鍵をバラし、渡していく。
人々は涙を流しながら、お互いに首輪に合う鍵を探し合い、外し合った。
それを横目に、フランキーはケイミーを背負い、不思議な老人と共に、一味の元へ歩み寄っていく。
その途中、老人は、ローやキッドに目を向けた。
「済まなかったなァ君たち。見物の海賊だったか。……だが、さっきのアレを難なく持ちこたえる辺り、半端者ではなさそうだな」
キッドは口角を上げた。
「まさか、こんな大物に遭うとはな。冥王、シルバーズ・レイリー…。間違いねぇ。こんなところに伝説の男が……」
「この島では、コーティング屋のレイさんで通ってる。ヘタにその名を呼んでくれるな。もはや老兵。平穏に暮らしたいのだよ」
ウソップはガクブル震えながら、ティオに訊く。
「お、おいティオっ、このじいさん一体何者なんだ? さっきの、敵を気絶させた妙技といい、爆弾首輪を外した妙技といい、魔術師か何かか!?」
「まじゅつ、じゃ、ない。……それより、たいしょう、もうすぐ、しま、つく、よ?」
「「「なにぃっ!?」」」
「今どの辺りだ!?」
「まだ、とおい、から、わからない。でも、はやければ、あと10ぷんで、とうちゃく」
「チッ、やべぇな……」
冥王・レイリーが、ハチに肩を貸す。
「まったく。あれほどこの島を歩いてはいかんと言ったのに」
「ニュ~、すまねぇ……」
「まぁ、積もる話もあるが、まずはここを脱出しよう」
と、そこへ……
『会場内の海賊たちに告ぐ。お前らは完全に、我々海軍に包囲されている。今すぐ天竜人3名を解放し、降伏しろ。じきに大将が到着する。どうなっても知らんぞ、ルーキー共!』
ローとキッドは自嘲気味な笑みを浮かべた。
「俺たちは巻き込まれるどころか、完全に共犯者扱いだな」
「麦わらのルフィの噂通りのイカレ具合を見れたことに文句はねぇが、今、大将とぶつかるのはご免だ」
海軍に囲まれてもなお堂々とした様子に、レイリーも笑みを浮かべる。
「頼もしいな。……ちなみに、私はさっきのような力はもう使わないから、君たちで何とかしてくれ。アレを使うと、海軍に私のことがバレてしまうからな。住み辛くなる」
キッドは口角を上げた。
「フン、年寄りの世話になるつもりはねぇ。長引くだけ兵が増えるからな。先に行くぜ。……あーそうそう、もののついでだ。お前らのことも助けてやるよ。表の掃除はしといてやるから、安心しな」
「「!」」
ピクっと眉を動かす、ルフィとロー。
ルフィは眉間にしわを寄せて、キッドを追いかけた。
ローも、ベポから刀を受け取り、キッドの後を追う。
ナミがルフィの後姿を見送り、呆れた。
「ホンっとにもう、単純なんだから……」
ウソップは未だにティオの肩にしがみついたまま、震えている。
「お、おいっ、大乱闘になるぞ! その隙に脱出しよう!」
ハチを担いだレイリーが言った。
「ではお前たち、はぐれた場合は、13番グローブで落ち合おう」
ゾロが真っ先に頷く。
「あぁ、分かった」
ベシっとウソップがツッコミを入れた。
「いや絶対分かってねぇよ! お前はとにかくティオから離れんな!」
なんやかんやと言い合いをしながら、麦わら一味は外に出ていった。