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32. シャボンディ諸島
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それから数分。
街を歩いていると、『BON CHARI』という看板のかかった店に辿り着いた。
「ニュ~、ここでボンチャリを借りてこう」
「「「ボンチャリ?」」」
ハチは、どう説明したものかと、辺りを見渡す。
「ん~、そうだな……。おい麦わら、試しにそこらのシャボン玉を、顔に押しつけてみろ」
「んぇ?」
「いいから、こう、ムギュ~っと」
「押しつけるって、こうか?」
ルフィは、近くを飛んでいたシャボン玉を捕まえ、顔を押しつけた。
「んに~~~~~っ」
"スポンッ!"
「おおっ!?」
ルフィの頭が、シャボン玉の中に入った。
ルフィは続けて、腕を差し込み、シャボン玉の内側に手をついて、体を引き入れる。
「お~~入れた! 空気抜けねぇぞ!」
チョッパーが周りを走り回った。
「すげぇ! 俺もやりてぇ!」
ロビンも、その不思議な光景に微笑む。
「不思議ね。一定以上の圧力が加わると、割れるのではなく、物体を通過させるみたい」
ハチは店の店主から、1人乗りのボンチャリを借りた。
「ニュ、これもシャボン玉の中に入れろ、麦わら」
「んぉ? おう!」
ルフィは両手をシャボンの外に出し、ボンチャリをシャボン玉の中へ引き入れる。
ボンチャリの店の店主が出てきた。
「おう、高さはそれでいいか? そのまま漕いでみろ」
ルフィはハンドルを握ると、言われた通り、ペダルに足を掛けて漕ぎ始めた。
すると、ボンチャリの後ろについているファンが回り、シャボン玉を前に進めていく。
「お~~! 進んだぞ! これ楽しいな!」
くるくると空を駆け回るルフィを、仲間たちは珍しいものを見るように見渡した。
その様子に、店主は口元を歪める。
「さぁさぁ、ボンチャリ1台、レンタルなら1日500ベリー、買取なら1万ベリーだよ! お買い得だろ?」
ルフィがシャボン玉の中ではしゃいだ。
「欲しい! 俺コレ小遣いで買うぞ!」
ボンチャリに乗ったまま、店主の元へ詰め寄るルフィを、ハチが制した。
「ニュ~、やめとけ。買う意味ねぇから。オヤジ、レンタルであと2台頼む」
「んなっ、おいタコっぱち! なんでお前が決めんだよ! 俺は買うからな!」
「いいから黙ってろって。あとで買わねぇ理由教えてやるから」
店主は残念そうに眉根を下げた。
「な~んだ、お客さん地元の人? 参ったな」
結局、ボンチャリを3台借りて、一行は街の中を進み始めた。
ナミが、自転車のようにボンチャリを漕ぎながら、風に目を細める。
「ん~~気持ちいい! コレいいわねぇ。種類も色々あるみたいだし」
ルフィもその隣で、楽しそうに漕いでいる。
「やっぱ俺コレ買う!」
「ニュ、買う意味ねぇってさっき言ったろ」
「だから! なんでオメェが決めんだよ!」
ティオがため息混じりに口を開いた。
「るふぃ、このしま、ついたとき、しゃぼんだま、のぼった、でしょ?」
「ん? あぁ」
「でも、き、より、うえ、のぼれなかった。ちがう?」
「あー! そうそう! なんかよぉ、樹のてっぺんまでいったら、シャボン玉がいきなり割れちまってな? 俺の乗ってたヤツも割れちまったから、落ちちまったんだ」
「ニュ、それは、シャボンディ諸島の気候空域を抜けちまったからだ。この辺りは、ヤルキマン・マングローブの生息に適した気候なんだが、その範囲を抜けると、シャボン玉の樹脂成分が、十分に力を発揮できなくなる」
ロビンが、なるほどと微笑んだ。
「そういうことね。この島以外では、シャボン玉が消えてしまうから、ボンチャリに乗ることは出来ないんだわ」
「(コクン)」
「ニュ~、そういうことだ。初めて来た奴らは、よくボンチャリを買ってくんだが……ありゃぁ悪い商売だな。ボンチャリはレンタルで十分だ」
「ん~~よく分かんねぇけど、とにかく買うぞ俺は!」
ナミがため息をついて、ルフィにも理解できる言葉を放った。
「要するにね、この島出たら割れちゃうの、シャボン玉。不思議なことにね」
「なにぃっ!? 不思議と割れるだと!? そんなワケがあったのか!」
「最初からそう言ってるじゃない……」
ケイミーが慰めるように言った。
「あ、でもねルフィちん、ボンチャリは魚人島なら使えるよ! 海底にも、シャボン玉文化はあるから!」
「そうなのか! んぁ~~魚人島早く行きてぇなぁ~!」
パッパグが自慢げに鼻を鳴らす。
「フフン、魚人島へ行ったら、人魚姫に会うといいぜ? なんせ絶世の美女だからな。俺、マブだから合わせてやろうか」
その話に、ブルックが真っ先に食いついた。
「ヨホホホ! それは楽しみですねぇ! 私、美人に目がないんです。ガイコツだから、目はないんですけど~、ヨホホホホホッ!」
「お? 見ろ見ろ、グラマンだってよ!」
「うはぁ~っ! いい匂いするぞ!」
チョッパーを頭に乗せたルフィが、グラマンなる食べ物の屋台まで、ボンチャリを走らせた。
店主が笑顔を向ける。
「いらっしゃ~い。
店主は、グラマンの試食を差し出した。
「ここは
「ングング、んめぇ!」
「甘くてウマいぞ!」
「ヨホホホッ、美味しいですね~! あ、次のハコ、開けて頂いても宜しいですかね?」
「買う気あんのかねアンタら!」
ものの見事に、土産品に釣られた3人。
ナミやロビン、ティオは、そんなものに引っ掛かるワケがなく、辺りを見渡している。
ロビンが樹の番号を確認した。
「ここは35番グローブなのね。宙に吊り下げられた丸い建物が多いけれど、ホテル街かしら」
隣のティオが答えた。
「れっどらいん、こえる、せいき、るーと、まりーじょあの、つうこうきょかしょう、まってるあいだ、ふなのりたち、ここに、とまる。そのための、ほてる」
「へぇ、そういうことなのね。でも、どうして丸い形ばかりなの?」
「つくるの、かんたん、だから。おおきい、しゃぼんだまに、ごうきん、ぬって、きばんつくる。そのなか、かぐ、おく。それだけ」
「そうなの」
そのとき、周囲を見渡していたナミが、声を張り上げた。
「あ! ねぇちょっと! あれってショッピングモールじゃない!?」
ティオはそちらを見て頷く。
「しゃぼんでぃ、さいだい、の、しょっぴんぐ、もーる」
「やっぱり!? 行きたいわ~っ、ねぇ? ロビン!」
「ふふっ、楽しそうね」
「ティオ、あんたなら、もちろん何の店がどこにあるか、詳しいわよね? 案内して!」
「いい、けど……るふぃたち、くるの、まってて。いっしょに、いかないと」
「え~、何でよ。アイツらがショッピングなんて ついてくるワケないじゃない」
「そうだけど「ニュ~、行ってこいよ」
ハチがティオの言葉を遮った。
「麦わらたちのことは、俺が見てるから。好きなように楽しんでくるといい」
ハチはナミのためを思ってか、にっこりと満面の笑みを見せた。
ティオは、本当にいいのかと、視線で問う。
ハチは小さく頷いて見せた。
それに気づくことなく、ナミはハイテンションでボンチャリの向きを変える。
「やった! 可愛い服たくさん買うわよ~! ケイミーもどう? 一緒に行かない?」
「え、あぁ……」
ケイミーは、苦笑しながら、両手を振った。
「私はいいや。お腹すいたから、ここでルフィちんたちと食べ物買ってるよ」
「そう?」
「楽しんできてね!」
「え、えぇ……またあとでね!」
「またね~!」
ケイミーに手を振ると、ナミはボンチャリにロビンとティオを乗せ、ショッピングモールへ走らせた。