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31. 人魚のケイミー
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晴れ渡った空の下、波をかき分け進むこと、さらに数分。
「おっ、なんか見えて来たぞ!」
サニーの頭の上にいたルフィが、前方を指さした。
仲間たちもそちらへ視線を向ける。
海の真ん中に、建物が見えた。
欠けたドーナツ状の人工島の上に、居住区と思われる家がいくつか建っている。
「アレがトビウオライダーズのアジトか」
「あそこに、"はっちん"ってタコ焼き屋が捕まってるわけだ」
サンジがケイミーにハートの目を向けた。
「あっという間に助けるからね~、ケイミーちゅゎん!」
「ありがとう! サンジちん!」
ケイミーは一味の方へ振り返り、忠告する。
「気をつけてね、みんな! マクロ一味だけでも、私が30回は捕まったほどの敵だから!」
「捕まりすぎだろお前! ついでに食われすぎだし!」
サニー号は、居住区に囲まれた湾内へ、ゆっくり入っていった。
ウソップとチョッパーが、おっかなびっくり辺りを見渡す。
「な、なんか静かだぞ……」
「ん? おい、あれ見ろ! 湾の真ん中に、檻みてぇなのが吊るされてるぞ!」
ウソップの指さす先を見れば、確かに大きな鳥かごのような檻が。
ロビンが檻をじっと見て、言う。
「中に、誰か居るみたいよ?」
ケイミーとパッパグの表情が、パァっと輝いた。
「はっちんかな!」
「シメたぞケイミー! マクロ一味もトビウオライダーズも、今は誰もいねぇ! きっとおやつの時間なんだ!」
フランキーが呆れ顔をする。
「……本気で言ってんのかテメェら。こんなもん、誰が見ても罠丸出しじゃねェか。全員その辺に隠れて、俺たちを狙ってるに決まってんだろ」
「「えええええっ!?」」
「すっごい裏読み!」
「そ、そんなこと思いつかなかった!」
「だから捕まるんだよお前ら!」
ゾロが周囲を警戒しつつ、傍に立っているティオに訊く。
「……海中か?」
「(コクン)…それと、たてものに、ひとり」
「……その建物に居るって奴が
「(コクン)」
と、そのとき……
「ニュッ、ケイミー! 俺はここだ! 無事だから心配するな!」
どこからか、声がした。
辿ってみれば、檻の中の何者かが、こちらを向いている。
「その声は、はっちん!? って、ぎゃああああっ真っ黒けぇぇ!?」
檻の中でもぞもぞと動く人影。
それは全身真っ黒で、
「どうしたのはっちん!? コゲたの!?」
「ニュ、いやぁ、まぁ、コレはちょっと、俺の都合だから気にすんな……。それより、これは罠だ! 早く引き返せ! 俺が強いのは知ってるだろ? 大丈夫だから行ってくれ!」
その声に、ナミ、ゾロ、ウソップ、サンジが目を細める。
「な、なぁゾロ……あの声ってよぉ……」
「あぁ。聞いたことのある声に、あの珍しいシルエット……。どうだ? ナミ」
「う~ん……怪しいっていうか、ほぼ……」
ルフィはあっけらかんとした顔で振り返り、まばたきを繰り返した。
「ん、どした? 何かあったか?」
サンジが、やれやれと言いたげにタバコの煙を吹く。
「訊いてみよう。おーい! アーロンは元気か~?」
すると、檻の中の真っ黒な男は答えた。
「ニュ? あぁ、アーロンさん? あの人もチュウもクロオビも、みんな海軍に捕まったままよ。俺ひとりで脱獄してきて、今、昔からの夢だったタコ焼き屋やってんだけど」
それを聞いて、ルフィの中で記憶が巡る。
「アー、ロン……って、ああああああっ!! オメェかぁぁぁ!!」
「ふがっ、しまったー!!」
ティオの頭の中で、何度も見てきたゾロの記憶が巡る。
ナミの故郷、
そのメンバーの中に、ゾロと戦ったタコの魚人がいる。
"アーロン"の名に反応した辺り、檻の中の人影は、そのタコの魚人本人で間違いないようだ。
一部のメンバーだけで話が進んでいき、他のメンバーは首を傾げるばかり。
「一体、彼が何だというの?」
ロビンが訊くと、ウソップがため息混じりに説明する。
「あー、前にちょっとな。ナミの故郷は昔、アーロン一味っていう魚人海賊団に支配されてて、あのタコはその一味の幹部だったんだよ」
「あら、そうだったの」
フランキーが両腕を組む。
「はーん、知った敵ってわけか」
「フフン、まぁ当然? 俺サマがルフィたちを引き連れて殴り込みをかけ、一味は壊滅したんだがな!」
「おーっ! ウソップはすごいな!」
「ってワケで、魚人たちは全員海軍にしょっぴかれたはずなんだが、アイツ1人、脱獄したみてぇだな……」
ブルックはどこから出したのか、呑気にTカップを傾けた。
「なるほど、人に歴史あり、ヨホホホ」
一方、助けようとしていたタコ焼き屋が、かつての敵であったと知ったルフィは……
「お前だったのか! "はっちん"ってタコ焼き屋は! このタコッパチ! そうと分かりゃ、俺たちはお前なんか助けねぇぞ!」
「ニュ、ニュ~……」
「で、でも……」
「「「 ? 」」」
「お、オメェのタコ焼き、そんっっっっなにうめぇのかァ!?」
サンジが半目で言う。
「揺れんな、食欲と理性の狭間で」
ゾロもため息をついた。
「アホらし……」
ケイミーが表情を輝かせ、ゾロに詰め寄る。
「もしかして、みんな はっちん を知ってるの!? はっちんとお友達だったりした!?」
「お友達じゃねぇよ!」
「ぎゃあああああっ!」
ウソップが、船を戻せ~と号令をかけた。
その声にケイミーはハっとして、ナミの元へ跳ね寄る。
「ナミちん!」
「あー、ごめんねケイミー、まさかアンタの友達がアイツだとは思わなかったから……」
「そんな……。それじゃ、救出は、手伝ってもらえないんだね……」
「ニュー! いいんだケイミー! そのまま帰るんだ! これは罠だからな!」
「やだよ! 私、絶対に助ける! はっちんはいつも私たちを助けてくれるじゃない! 行くよ、パッパグ!」
「おうよ! ……ケッ、コイツら、こんなに薄情な連中とは思わなかったぜ!」
ケイミーとパッパグは、勢いよく海へ飛び込んだ。
"バシャァン!"
そして……
"ザバッ"
「ひゃっほ~う!」
「捕まえた~!」
「きゃああああっ!」
「うわああっ! 捕まったぁぁ!」
マクロ一味に捕らえられて、海面に上がってきた。
ウソップが思わず叫ぶ。
「口ほどにもねェとはまさにオメェらのことだァ!」
ハチが檻の中で暴れ始めた。
「ニューッ! ケイミー! パッパグ! だから罠だってあれほど!」
サンジが小さく舌打ちする。
「野郎…ケイミーちゃんに罪はねぇ。彼女だけは助けよう!」
言って駆け出そうとすると、目の前に、麗しい手が伸びてきた。
「待って、サンジ君」
「ナミさん?」
「ついでに、ハチも解放しましょう」
「え!? いいのかい?」
「ハチは大丈夫よ、実は無害な奴だから」
「けど……」
「だって、これじゃケイミーとの約束が違うじゃない?」
その優しさに、サンジはメロリン。
「んナミさァ~ん!」
「ってワケで、ルフィ! 頼んだわよ!」
「……そうか、オメェがいいんなら仕方ねぇ。タコッパチも助けよう」
格好良くそう言って振り向いたルフィだが……
「目がタコ焼きなんですけど!?」
と、ウソップにツッコまれるような顔になっていた。
「んよっと」
ルフィは両手を伸ばし、マクロ一味の手からケイミーとパッパグを拾う。
そのままピョンと飛んで、トビウオライダーズのアジトに降り立った。
「よし! 取り返したぞ!」
いつの間にかケイミーたちを取られたマクロ一味は、口をあんぐり。
「え、あ、ええっ!? 能力者ァァ!?」
「あんの野郎ォ!」
ハチは涙を流しながら、ルフィに向かって叫んだ。
「ニュ~~ッ! 麦わらァ! ありがとう! お前って奴はァ~! 恩に着るぞ~!」
ルフィはケイミーたちをその場に降ろし、船に向かって叫ぶ。
「ゾロ! タコッパチの檻とロープを斬れ!」
ゾロはニヤリと笑んで刀の鍔を弾いた。
「了解、
「そんでもって、野郎ども! 戦闘だァ!」
「「「うおおおおっ!!」」」