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31. 人魚のケイミー
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ケイミーは眉根を下げて、電伝虫を見る。
「はっちん……」
ルフィがあっけらかんとした声で訊いた。
「んで、タコ焼きは?」
「「そんな事態か!」」
"バキッ!"
サンジとフランキーがルフィを殴り飛ばす。
その横で、ナミが眉を顰めた。
「ちょっと待って……今の電伝虫の”はっちん”て男の声……なんか知ってる声のような……って、そんなわけないわよね」
ケイミーが慌てた様子で言う。
「ごめんルフィちん! お礼のタコ焼き、また今度でいい!? 私、すぐに友達を助けに行かなきゃいけないの!」
ルフィはあからさまにブスっとした。
「え~っ、誰だよ、そのはっちんっての」
「私が働いてる、タコ焼き屋の店主!」
途端、ルフィの目の色が変わる。
「何だと!? そりゃ一大事だ! 野郎ども! 命に代えても"タコ焼き"を救出だ!」
「「「おーっ!!」」」
ティオは半目で首を傾げた。
「たこやき、じゃなくて、たこやきや、の、てんしゅ、じゃ、ないの?」
隣でロビンがふふふっと笑う。
ナミが励ますように、ケイミーの肩をポンと叩いた。
「ってワケだから、あたしたちも手伝うわ。お友達の救出」
「ホント!? ありがとう!」
「これも何かの縁よ。……さて、そうと決まれば、ティオ?」
道案内を頼みたいらしいナミの視線に、ティオは頷き、11時の方向を指さした。
「44ばんぐろーぶ、の、ひがし、5きろ、なら、あっち」
「オッケー。フランキー! 取り舵いっぱい! 11時の方向へ!」
「よォし来た!」
舵が切られ、サニー号が向きを変える。
「なみちゃん」
「ん? なに?」
「てぃお、とびうおらいだーず、しらない。くわしいばしょ、までは、わからない」
「そうなの? 珍しいわね」
「てぃお、かいへい、やめてから、できた、ひとさらいちーむ、かも」
「なるほど。……となると、どうやって奴らのアジトを見つけるか……」
ケイミーが弾けるような笑顔を浮かべた。
「それなら、途中から魚たちに訊くから、大丈夫だよ!」
「そっか! その手があったわね! ……じゃ、急いでお友達を助けに行きましょ?」
「うん!」
しばらくすると、ティオが
「44ばんぐろーぶ、から、ひがし、5きろ、このあたり」
それを聞いて、ケイミーが欄干へと飛び跳ねた。
「それじゃ、ここからは私が案内するね!」
何をするのかと、麦わら一味が見守っていると、ケイミーは海に向かって叫んだ。
「おーい!」
響き渡る澄んだ声。
しばらくすると、海面に魚影がいくつも現れた。
ルフィが目を見開く。
「うおっ! 魚が来たぞ!」
パシャパシャと顔を出す魚たち。
ケイミーは魚たちに向けて、口をパクパクと動かした。
すると、魚たちも口をパクパクさせる。
音のない会話に、麦わら一味は首を傾げた。
しかし、ケイミーは満足げに頷く。
「オッケー、ありがとう!」
そして、一味の方へ振り返った。
「トビウオたちが恐いから、アジトまでは無理だけど、近くまででよければ、案内してくれるって!」
ナミが感心するようなため息を漏らした。
「やっぱり、魚と話せるのね。さすが人魚だわ」
そう言ってから、ふと、疑問が湧く。
「あら? 確か、ティオも魚と話せるのよね? 今までの航海も、ケイミーみたいに、魚に案内してもらえば良かったんじゃない?」
すると、ティオは首を横に振った。
「てぃお、と、けいみー、はなしかた、ちがう。てぃおの、やりかた、2めーとる、までしか、こえ、とどかない。とおくの、さかなたち、よべない」
「へぇ、そうだったの」
海上で、案内を買ってでてくれた魚たちが、バシャバシャと泡を立てる。
その泡が、きれいに矢印を描いた。
「うお~っ、すっげぇ!」
「ぃよ~し舵切れ~ぃ!」
船長の号令に従い、ウソップが舵をカラカラと回す。
帆に風を受け、進み出したサニー号。
麦わら一味は、先導してくれている魚たちの矢印を、興味津々で見つめる。
しかし、マストの根本のベンチに座ったケイミーは、浮かない顔をしていた。
「……はっちん、大丈夫かな。……声も随分と弱ってたし。……きっと酷いことされたんだ」
パッパグが、慰めるようにケイミーの手を叩く。
「大丈夫さ。アイツは頑丈だからな。……ところで、ムギ」
ん? とルフィが振り返る。
「オメェら、軽く引き受けてくれたが、腕っぷしに自信はあるのか?」
「おう、強ぇぞ!」
「先に言っとくが、この辺りにゃ、人攫いの裏稼業の集団が何十チームも存在する。シャボンディ諸島で、人間の売買が盛んに行われてるからだ」
話を小耳に挟んだサンジが、近寄ってきた。
「人間を売り買いすんのか?
「中でも人魚は高く取引されるから、"マクロ一味"って魚人の3人組は、しつこくケイミーを狙ってる。ハチはたぶん、今回オレたちが海獣に食われて帰ってこねぇのを、マクロ一味に攫われたと勘違いして、乗り込んでったんだ」
昼寝の片手間に話を聞いていたゾロは、片目を開いた。
「……何だかな。タコだのハチだの聞くと、俺はあのアホな魚人を思い出す」
サンジが、あぁ、と煙草の煙を吹いた。
「もし本人なら、助けやしねぇさ。……まぁ、そんなわけねぇと思うが。アイツらは全員、海軍に捕まったって聞いてる」
2人の話は聞こえていなかったようで、パッパグは両腕を組んで話を続ける。
「いつもなら、ハチの圧勝で片がつくんだがな? 噂のトビウオライダーズが絡んでるとなると……」
フランキーが訊いた。
「そういや、そのトビウオライダーズってのは何なんだ? ウチのティオも詳しくは知らねぇようだが」
「奴らは、最近 急にここらの海でハバ利かせ始めた、人攫い集団の1つだ。狙われたら最期って評判だぜ? ボスは『デュバル』って名の鉄仮面の男。その素顔は誰も知らねぇ。何でも、人を探してるらしく、ここらを通る船を全てチェックしてるらしい」
「ほ~ォ」
話を聞いていたケイミーは、余計に心配になり、俯く。
その姿を見たルフィは、にっこりと笑顔を作った。
「まぁとにかくよ! 心配すんな、ケイミー! タコ焼きは必ず助けっから!」
パッパグがジト目でルフィを見る。
「……タコ焼き屋だぞ」
しかし、ケイミーは笑顔を浮かべた。
「ありがと、ルフィちん」
「おう! にっしっし!」