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31. 人魚のケイミー
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数日後。
「とうとう来たぞ……ここまで!」
サニー号の甲板にて。
目の前の景色に、ルフィが叫んだ。
麦わら一味は全員集まって、ルフィと同じ方を見る。
ナミがわずかに目を細めた。
「何だか懐かしいような……感慨深いわね」
サンジは新しい煙草に火をともす。
「確か、最初にこれを見た時は、ひどい嵐だったっけなァ」
両腕を組んだゾロが、ニヤリと笑んだ。
「あれからちったァ成長したのかねぇ、俺たちは」
その隣で、興奮を抑えきれずクネクネしているブルック。
「ヨホホッ! 私、ここに来るまでに50年もかかってしまいました」
その足元では、チョッパーがブルックの後ろに隠れ、小さく震えていた。
「てっ、てっぺんが見えねぇぞ! デッケェなぁ! これが……」
「「「
ウソップは感動のあまり、涙を流す。
「ぐすっ、何だか泣けてくらァ……いろんなことがあったなァ!」
そんなウソップを慰めるように、フランキーが肩を叩いた。
「おいおい、涙なんか流してちゃ、滅多に見れねぇこの絶景が見えねぇだろ?」
「ぐすっ、そうだなぁ……」
「しかし、想像以上のスケールだこりゃァ。俺ァ物心つく前に、
ロビンはいつものように、穏やかに微笑んでいる。
「私は、
……それぞれ、思うところがあるようだ。
仲間たちの感情を肌に感じながら、ティオもじっと、
「……」
みんなはこの場所へ来るのが初めてでも、自分は何度もこの景色を見ている。
特異の記憶力も相まって、前回見た時とのわずかな違いすら分かるほどだ。
……けれど。
体がムズムズして、じっとしていられないような。
「にししっ、とにかくこれで半分だ! 誰一人欠けずに、ここへ来れて良かった! ……世界をもう半周したとき、もう一度この壁を見ることになる。そのとき俺は、海賊王だ」
夢の階段を、半分まで登ってきた。
それはルフィだけでなく、一味全員が感じていることだった。
「さて、ずっと眺めてても仕方ないわ。先へ進みましょう!」
言って、ナミはログポースを見下ろす。
「けど、ここからどうするの? 針は海底を指してるけど……」
当然、その視線はティオの方へ向いた。
「まず、『シャボンディ諸島』、いく」
「シャボンディ諸島?」
「かいてい、いく、じゅんび、する。せつめい、ながい、めんどう。しゃべる、より、みる、はやい」
ティオはピシっと、2時の方向を指さした。
「あっち、すすんで」
「この方角に、その、シャボンディ諸島っていうのがあるのね?」
「(コクン)」
そうと決まれば、船長が号令をかける。
「よォし野郎ども! 2時の方角へ旋回だ!」
「「「おう!」」」
サニー号の舵がカラカラと回り、ティオの指す方へ進み始めた。
ウソップとチョッパーが、まだ見ぬシャボンディ諸島を想像する。
「いや~、どんなとこなんだろうなァ、シャボンディ諸島」
「"シャボン"って言ってんだから、シャボン玉の島なんじゃねぇか?」
「ははっ、そうかもな。しかも諸島ってこたァ、島がいっぱい連なってるってことだ」
「おぉ! なんか楽しそうだな!」
そんな会話を小耳に挟みつつ、ロビンは、ふと気になったことを訊く。
「ねぇティオ、どうして磁石も何も見ずに、諸島の方向が分かるの?」
ティオはゆっくりと、ロビンを見上げた。
「かいへい、だったころ、れっどらいん、ほぼ、まいにち、みてた。いわ、の、びみょうな、ちがいで、いま、どこらへん、いるか、わかる」
「そうなの。相変わらず、いい記憶力ね」
と、そこに。
「んナミすわ~ん! ロビンちゅわ~ん! ティオちゅわ~ん!」
おぼんを右と左に1つずつ持ったサンジが、クルクル回りながらやってきた。
「スリラーバークのホラー梨で作ったタルトだよ~!」
「ありがと、サンジ君」
「ふふ、いつも気が利くわね」
「ありが、と」
「いや~っ、どういたしまして~っ」
どうやら、おやつに作って持ってきてくれたようだ。
ウソップとチョッパーも寄ってくる。
「おっ、タルトだ!」
「サンジ~! 俺にもくれぇ!」
「分ぁってるよ。おら、1人1つずつ取ってけ」
サンジは冷めた声でそう言って、タルトが乗ったおぼんを差し出した。
そこに、光の速さで飛んでくるのは、もちろん船長。
「おやつだな!?」
ウソップがギョっとする。
「お前いつの間に隣に!?」
チョッパーが唖然とした。
「さすがルフィだ……」
3人は、タルトを1つずつ手に取る。
「「「いっただっきま~す!」」」
パクっと、スプーンを口に入れると、揃って目を見開いた。
「「「うんめぇ~!」」」
いつも通り、絶品のようだ。
サンジは、甲板にいる他の男たちにも、タルトを渡しにいった。
……そのとき。
「……」
ティオがモグモグと口を動かしながら、後ろを向く。
隣のロビンが訊いた。
「どうしたの?」
「うみ、の、なかから、なにか、くる」
と言った、次の瞬間……
"ザバァッ!"
サニー号のすぐ傍で、大きな水柱が立った。
その水柱の中から現れたのは、ウサギ。
「イヤアアアアアアアアッ!!」
ナミが真っ先に叫び声を上げた。
「あら、海兎ね」
ロビンはいつも通り冷静。
そして、ウソップとチョッパーは、珍しく騒いでいなかった。
ルフィがキっと海兎を睨みつける。
「さては、おやつの匂いにつられて来たな? やらねぇぞ! これは俺のおやつだ!」
ウソップとチョッパーがベシっとツッコむ。
「「海ン中まで匂い届かねぇだろ」」
ルフィは問答無用で拳を握った。
「ゴムゴムの~っ、
"ドゴオッ!"
見事、ルフィの拳は海兎を打ち抜く。
倒れていく海兎を、ウソップとチョッパーは冷静に見ていた。
「なんか、デカく感じなかったな」
「オーズ見ちゃったからだな。いっとき平気だ、あはは!」
"ウグゥ……オエエッ!"
「ん? なんか吐いたぞ」
見上げれば、太陽の中を、黒い影が落ちてくる。
「きゃああああっ」
「ん? ありゃぁ、魚か?」
「いや、なんか人っぽい気もするぞ?」
「魚と人……って、まさかっ」
サンジがキュピーンと反応する。
「まさか~っ!」
"ドスーンッ"
魚のような人のような影は、サンジの上に落ちた。