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映画:STRONG WORLD
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"バサッ……ポンッ"
ゾロの頭上に辿り着いたティオは、鼬に姿を変え、バフっと頭の上に降りた。
「ばか」
「……るっせぇ」
いつものように、覇気を器用に使って、道案内をしてやる。
……崩れた王宮。
人も動物も含めた無数の気配と、未だに戦っている仲間たちの気配。
ティオは、仲間たちとどこで合流すべきか考えていた。
ゾロはといえば……
"ズバンッ、シャキンッ!"
「くそっ、キリがねぇ!」
襲ってくる巨大生物たちを、片っ端から斬り倒している。
ナミがダフトグリーンを薙ぎ倒したため、巨大生物たちが際限なく敷地内に入ってくるのだ。
"ドゴオッ!"
傍の壁が崩れ、また新たな巨大生物が入ってきた。
「チッ、今度は何だ!」
舌打ちしたゾロの目の前に現れたもの。
それを見るなり、ティオは目を見開いた……
「……か、かま…きり……」
"ボンッ"
「うぐっ!?」
突然、ゾロは頭に重みを感じた。
何ごとかと上目遣いに見れば、人の姿に戻ったティオが、後ろに倒れていく。
「お、おいっ」
ゾロは慌てて身を翻し、落下したティオを受け止めた。
いきなりどうしたのかと見下ろせば、ティオは白目を剥いて泡を吹いている。
「あうぅ……」
どうやら、巨大カマキリを見て気絶してしまったようだ。
虫嫌いのティオにはキツすぎたらしい……
「何やってんだこの忙しいときに!」
ゾロはティオを背負い、片腕だけで巨大生物たちを斬り倒しながら走り出した。
滅茶苦茶に走り回った挙句、運よく、王宮前のサニー号に辿り着く。
「あ、ゾロさん! 御無事でしたか」
駆け寄ってくるブルックに、ゾロはフンと鼻を鳴らした。
「当然だ」
「なっ、ティオちゃん!? 一体どうしちまったんだ!」
「るっせぇ、耳元で騒ぐなアホコック。デカいカマキリ見て気絶しただけだ」
フランキーが笑う。
「そういやァ、大の虫嫌いだったなァ」
ゾロは辺りを見渡した。
「他の奴らはどうした」
サンジがタバコの煙を吹いて答える。
「チョッパーがI.Qの研究施設を破壊したいとかで、みんなそっちだ」
「ふーん。……おい、いい加減起きろ」
ゾロは、背負っていたティオを揺さぶり起こした。
「ん……っ、かま、きり…ぃ」
「もういねぇよ」
ベシっと軽く頭を叩いてやると、ティオはようやく目を開けた。
「……」
朧げに辺りを見て、ふっと小さく、安堵のため息をつく。
そして、前方の空を見上げた。
「……」
黒雲の中、ルフィがビリーと一緒に、シキと戦っている。
「……。……?」
ふと、風が強くなっているのに気づいた。
「あらし、ちかづいて、る?」
訊くと、サンジが答えてくれる。
「ん、あぁ、ナミさんが、この島を嵐に向けて動かすよう、上手いこと仕向けたらしい。俺たちは、ルフィがシキを倒したらすぐ出港できるよう、準備を整えてたわけだ」
見れば、サニー号の帆はたたまれ、
「……」
ティオは真っ黒な空を見上げた。
ナミほど正確には分からないが、とてつもなく大きな嵐が近づいていることは分かる。
……やはり、ルフィは"持っている男"だ。
天候さえも、ルフィの味方をしている。
"ヒュオッ……ドゴオッ!"
ルフィがビリーと共に、地面に叩き落とされた。
シキが近くまで降りてくる。
と……
「シキーっ!」
ナミが叫んだ。
仲間たちが目を向ければ、細い建物の上で、ナミがシキを見上げている。
ダフトグリーンの解毒剤が効いたのか、危機的状況は脱したようだ。
「ナミ~! あまり無茶するなよぉ!」
建物の下から、ウソップが叫んでいる。
ナミは荒い呼吸を繰り返しながら、言った。
「もう終わりよ、何もかも」
シキは眉を顰める。
「ぁあ?」
「爆破の準備出来たぞ~!」
遠くから届いたチョッパーの声。
「爆破だと……?」
「えぇ、そうよ。あの研究所も、この王宮も、島も、もう何も残らない。アンタの計画は、全て終わりよ!」
「……生意気な小娘が、ふざけるなぁ!」
シキは怒りに任せて、近場の岩石を持ち上げた。
直撃しようものなら、ひとたまりもない。
「ナミさん!」
慌てて駆け出すサンジ。
しかし、ナミは眉ひとつ動かさず、じっとシキだけを見据えていた。
「貴様らのような若造如きに、この俺の20年の計画を潰せると思うな!」
「くらえっ、必殺・天竜星!」
「あ?」
ウソップの放った弾丸が、青い竜の姿を模して、シキ目掛けて飛んでいく。
シキはそれを、ひらりと軽く躱した。
天竜星はそのまま、黒雲の中へ吸い込まれていく。
「フン、
"ビュオッ!"
持ち上げられていた岩石が、ナミ目掛けて飛ばされた。
「マズイっ、ナミさん逃げろ!」
"ヒュオッ、ドゴオッ!"
「ナミさんっ!」
岩石は、建物もろともナミを潰した。
……と思いきや。
"―――シュシュッ"
サンジが、背後に現れた気配に振り向くと……
「ナミさんっ、ティオちゃん!」
ナミは掠り傷一つ受けることなく、そこに居た。
ティオが
「ありがと、ティオ」
「(コクン)」
シキは頬をひくつかせて、ナミを見下ろす。
「……おのれっ」
「お前の相手はこっちだ! シキ!」
「ぁあ?」
シキが声のする方に目を向ければ、ビリーに運んでもらったのか、遥か高い黒雲の中に、ルフィがいた。
「ギア3rd、骨風船!」
体内に吹き込まれた空気が、全て左足に集中する。
……いよいよ最後の一撃か。
察した仲間たちは、一斉にサニー号へと走り出した。
あの一撃が決まれば、島も崩壊しかねないと分かっているからだ。
シキはルフィを見上げ、笑った。
「フン、そのまま雷に打たれて落ちろ!」
「落ちるのはお前だっ、シキ!」
「ぁあ!?」
「
ゴロゴロと雷が轟き、ルフィに纏わりつく。
実はウソップの天竜星は、元々シキを狙ったのではなく、落雷を誘発させるために放ったものだったのだ。
「ジッハッハッハッ! 馬鹿が! 俺は、空から海を統べる男だァ!」
「お前なんかにっ、仲間も、海も、好きにさせるかァァァ!!」
ルフィは雷を纏った脚を、シキ目掛けて振り下ろした。
「くっ……」
シキは身の危険を感じ、周囲の岩石を浮かせて放つ。
……が、嵐の強風の中では、思うように力が出ない。
「
岩石を全て打ち砕き、ルフィの一撃はシキの目の前に迫った。
(
「ロジャーっ!!」
"ズズゥンッ!"
一味の予想通り、ルフィの一撃はシキだけでは止まらず、島そのものも叩き割ってしまった。
「全員掴まれェ!
本当はルフィを待つ予定だったが、これ以上は居られない。
サニー号は急遽、空へと飛び出した。
「ルフィィィィ!!」
「ルフィさーん!!」
「ルフィ……」
果たして無事だろうか。
ゴムだから、空から落ちたって死にはしないだろうが、万が一、海に落ちてしまったら……
仲間たちの大きな不安が、覇気を通じて感じられる。
「……びりー」
「クワァ?」
ティオは、ビリーの頬に手を添えた。
そして、黒雲の中の、ある一点を見据える。
「いこう」
「クワ……。クワァッ!」
ティオはビリーの背に乗り、飛び立った。
「え、ちょっ、ティオ!?」
「ビリー!?」
慌てる仲間たち。
……だが、ティオの能力を思い出して、あぁそうか、と安堵する。
もう、心配は要らない。
島を飛び出したサニー号は、シキの王宮から盗み、括りつけておいた巨大な海賊旗で、パラグライダーのようにふわふわと減速した。
ゆっくりと海へ降下しながら、ビリーとティオの飛んでいった先を見やる。
「……」
「……」
「……」
東の空が明るくなり始めた。
一味は静寂の中、朝日に照らされた雲を見つめる。
……しばらくすると、
「――――――ぅぉぉぉ」
聞こえた。
聞き間違えるはずの無い、船長の声が。
「―――ぅぉおおおおああっ!」
"ボフンッ!"
雲の合間から、超速でビリーが飛び出してきた。
その背には、2つの人影。
一味は全員、笑みを浮かべた。
「よっしゃ~!」
「よくぞ御無事で!」
「よがっだぁぁぁ、うわぁぁん!」
「これで
「しっかし、締まらねぇなぁ、あの姿」
「あぁ、全くだ」
「あははっ、ホント」
「ふふふっ」
ビリーの背中には、ティオと、その腕に抱えられた、小さなルフィ。
「はぁ、はぁ、あぶなかった~。ありがとな、ティオ」
「おやすい、ごよう。きゃぷてん」
「おまえもありがとな、ビリー」
「クワァ!」
「んにっ、もどるっ」
ぐにょにょにょんと、ルフィの体が波打ち始めた。
「んぎぎぎ~~~っ、戻ったァ!」
伸びをするように、ルフィはグッと両腕を伸ばした。
今度は、ルフィがティオを抱え、2人と1羽でサニー号を目指す。
"ゴゴゴゴ……ッ"
背後で、崖崩れのような音がした。
「んぉ?」
ルフィが振り返ると、シキの能力が解けたのか、島が落ちていく。
「こうやって見るとデッケ~島だったんだなぁ。……ん? あっ、やっべぇ!」
「?」
いきなり叫んだルフィに、ティオが首を傾げた。
「忘れてた! あの島っ、シャオたちも居るじゃねぇか!」
あぁ、そのことか、とティオは冷静に頷き、手を伸ばす。
「あそこ、みて」
「へっ!?」
白い指の示す先。
黒雲の下に、鳥の群れに似た何かが見えた。
よく目を凝らせば、全て人だ。
「あっ、シャオたち!」
メルヴィユの村の住人たちが、全員、腕の羽を羽搏かせて飛んでいる。
「しゃお、たち、もともと、たかいとこ、すんでた、しゅぞく。みんな、とべるの」
「へぇ~、そうだったのか! よかったぁ!」
「クワァ~!」
ビリーがバサっと羽を打って旋回し、サニー号へ降り立った。
すると……
「おいナミっ、しっかりしろ!」
「ナミさん!」
「ナミ!」
仲間たちが、一ヶ所に集まっていた。
全員、しきりにナミを呼んでいる。
「何だっ、どうした!」
ルフィもティオも、そこに駆け寄った。
見れば、チョッパーの腕の中で、ナミが気を失っている。
チョッパーはナミの様子を診て、安堵のため息をついた。
「大丈夫、緊張の糸が切れて、気を失っただけだ」
「そうか……良かったぁ」
「はぁ……寿命が縮んだぜ」
ホっと息をつく一味。
何はともあれ、これでやっと、シキとの戦いが終わったのだ。
……そう思って、肩の力を抜いた、そのとき。
「かいじょう、ぐんかん、5せき」
「「「え?」」」
ティオの一言が、再び緊張を走らせた。
「ちゅうじょう、5にん、たいさ、いかの、かいへい、やく、1000にん」
「「「なにぃっ!?」」」
「下に来てんのか!?」
「(コクン) …たぶん、しき、の、どうこう、おってた、ぶたい。……でも、しき、やられた、から、きっと、ほこさき、こっち、むく」
「んぁ~~っやっと戦いも終わったと思ったら今度は海軍かよぉ!」
「仕方ねぇだろ、俺たちゃ海賊だ」
「にっしっしっ、野郎共! すぐに海軍の奴らぶっ飛ばして、次の冒険に行くぞォ!」
「「おう!」」
一味は素早く配置についた。
倒れたナミの代わりに、ティオが方向指示を出す。
……無事、海に降り立ったサニー号は、犇めく軍艦の合間を、何とか潜り抜けていった。