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映画:STRONG WORLD
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王宮に戻り、
「ナミの様子はどうだ? チョッパー」
「……危ねぇよ。やっと呼吸をしているような状態だ。早く何とかしねぇと……」
チョッパーは自分のジャケットで、ナミを包み込んだ。
そこに……
「クワァ~!」
ビリーが心配そうな顔で飛んでくる。
「この病気を治せるのは、I.Qだけなんだ。それをシキが独占してるって……。ティオ、この王宮内で、I.Qが大量にある場所とかって分からないか?」
一度、王宮内外を隅々まで見て回ったティオは、もちろん、I.Qの栽培・研究施設の存在を知っていた。
「ある。きっと、くすりも、そこに―――
そこにある、そう言いかけたとき……
"ヒュッ、ドゴオッ!"
「「うおわっ」」
「……っ」
突然、火炎弾のようなものが飛んできて、建物を壊した。
「げほっ、げほっ」
「ナミは無事か!?」
「何とか大丈夫だっ」
「いったい誰が……」
攻撃の元を辿って辺りを見回すと、空に、人影が見えた。
「「シキ!?」」
……最悪のタイミングだ。
こんなときに敵の親玉に出くわすなんて。
ナミを守るように抱えるチョッパー。
ウソップはパチンコを握る手に力を籠め、ティオは臨戦態勢でシキを睨みつけた。
シキは怒りに満ちた瞳で見下してくる。
「……やってくれたな小娘。よっぽど死にたいらしい。お前はもう要らん」
シキが片手を上げると、周囲で雪がうねり始めた。
「お前らがどう足掻こうと、
シキの周辺で、雪が獅子の形を成す。
「
6頭の獅子が、4人を睨んだ。
「やばいっ、囲まれた!」
同じ攻撃を一度受け、敗れた手前、ウソップとチョッパーは足がすくむ。
……しかし。
「……」
ティオはじっと、向かってくる獅子たちを見つめていた。
……違和感がある。
確かに強力な攻撃だ。
けれど、初めてこの攻撃を受けたときほどの焦燥感は感じられない。
……いったい何だ、何が違う。
一度攻撃を受けたからこそ、ティオの瞬間記憶能力が警鐘を鳴らしていた。
「絶望のうちに死ねぇ!」
"ゴゴゴゴゴッ"
迫りくる獅子たち。
「「うわあああああああっ!!」」
ウソップとチョッパーは、固く目を閉じて身を丸めた。
ティオは、体が反射的に逃げ出そうとするのを押さえ込みながら、脳内で、シキから初めてこの攻撃を受けた時の記憶を何度も巡らせる。
……この違和感の正体が分かれば、シキを倒すヒントになるかもしれない。
転んでも、タダで起きるだけに終わらないように。
フルスロットルで脳内映像を再生し続けた。
"ゴゴゴゴゴッ"
「!」
獅子が鼻先を掠める刹那、ようやく違和感の正体が分かった。
同時に……
"ドパァンッ!"
ティオの目の前に迫っていた獅子が弾ける。
「「……? あれ……?」」
身を丸めていたウソップとチョッパーが、恐る恐る顔を上げた。
"ヒュヒュヒュヒュヒュッ
ドパァンッ、ドパァンッ!"
ゴムが収縮するときの、聞き覚えのある風切り音と共に、獅子たちが全て掻き消されていく。
ウソップとチョッパーは、いつの間にか目の前に立っていた人影に、満面の笑みを浮かべた。
「「ルフィーっ!」」
来てくれた。
我らが船長が。
ウソップとチョッパーの叫びが聞こえたらしく、ナミが目を覚ます。
「……ルフィ?」
霞む瞳に、背中に提げられた麦わら帽子が映った。
「ナミ、アイツをぶっ飛ばして、みんなで帰るぞ」
「……うん」
ナミの表情が柔らかくなる。
……けれど、ウソップは心配そうな顔をした。
「け、けどよルフィ、勝てんのかっ? 6人がかりでも敵わなかった奴だぞ……っ」
……そう、1対6でも大敗を喫した相手。
ルフィ1人で立ち向かうなんて、勝算があるとは思えない。
すると……
「……大丈夫よ」
「「?」」
ナミが小さく呟いた。
「……この強風の中なら……アイツは、能力を上手く、使えないわ……フワフワの力は、嵐が、弱点なのよ……」
「そうなのか!?」
付け加えるように、ティオも言う。
「さいくろん、に、あらがうため、なみちゃん、さらったの、その、しょうこ」
シキの眉がぴくっと動いた。
「いまの、こうげき、いわかんの、しょうたい、やっと、わかった。はじめて、うけた、ときより、いりょく、おちてた」
ティオの頭の中で重なる、初めて獅子威しをくらったときと、ついさっきの2度目の獅子威し。
明らかに後者の方が、威力が落ちていた。
その証拠に、今、ルフィは一気に6頭全てを消してみせた。
最初に受けたときは、1頭を掻き消して、ゾロが攻撃する隙を作るのがやっとだったというのに。
希望の光を見出して、ウソップとチョッパーは笑みを浮かべる。
「聞いたかルフィ! 敵は今、全力が出せねぇらしいぞ!」
「行け~っ、ルフィ!」
「ゴミ共が、調子に乗るなよ」
「「ひぃっ」」
シキの剣幕に、ウソップとチョッパーの笑顔は消え去った。
「認めてやろう、確かにこの俺のフワフワの力は、強風が弱点だ。……だが、俺は今まで、たとえどんな嵐に見舞われようとも、ロジャー以外の海賊には一度だって負けたことがなかった」
シキは両手を広げて、黒雲渦巻く空を見上げる。
「あの屈辱的な瞬間だってなァ! 嵐さえ来なければ、俺はロジャーに勝ち、俺こそが海賊王になって世界を支配していたんだ!」
……20年以上も昔。
ロジャーとシキは、それぞれ、当時の海賊時代の一翼を担う者として、その名が知られていた。
大海賊団を率いていたシキは、ロジャーに、共に手を組んで頂点を目指そうと提案した。
しかし、ロジャーには断られてしまう。
それをきっかけに発生したのが、のちにエッド・ウォーの海戦と呼ばれる大乱戦。
圧倒的な数の差に、シキは己の勝利を確信していた。
……そこに降り注いだのが、海をひっくり返さんばかりの嵐だ。
その嵐により、シキは予想だにしなかった大敗を喫し、多くの部下を失った上、その1年後には、ロジャーにあの世へと勝ち逃げされてしまったのだ。
「これがどういうことか分かるか? 小僧」
見下してくるシキを、ルフィはじっと睨み上げた。
「風が吹こうが嵐になろうが、海賊王でもなけりゃ、俺は倒せねぇんだよ! 分かったかヒヨっ子ォ!」
ルフィは、背に提げられた麦わら帽子を手に取り、被った。
「そうか。なら……」
ドルルン…と、ギア2ndが発動する。
「お前を倒して、海賊王に、俺はなる!」
"ドシュッ"
飛び出したルフィは、一瞬でシキの目の前に現れた。
「!」
初めて戦ったときには無かったその速度に、シキは反応が遅れる。
「JET・
"ドゴオッ!"
「ぐあ……っ」
シキは勢いよく吹き飛ばされた。
ウソップとチョッパーは唖然とする。
ルフィはシキから目を離さずに叫んだ。
「ここは任せろ! ナミを頼む!」
「へっ? あ、あぁ! 分かった!」
「頑張れよっ、ルフィ!」
「うそっぷ、ちょっぱー。まず、なみちゃんたすける、くすり、さがす。こっち、ついてきて」
「「おう!」」
ティオの先導に従い、ウソップとチョッパーは駆け出した。