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映画:STRONG WORLD
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数時間後。
月と星が瞬く、夜闇の中。
"ブロロロロロ……"
シキの王宮近くにいたフランキー、ロビン、ブルックは、数多く浮かぶ島の中に、1つだけ村のある島があるとの情報を聞き、村まで足を伸ばしていた。
3人は、フランキーがバッタをベースに作ったバイクに乗っている。
「あの新聞の写真に、そっくりね……」
来てみれば、村は壊滅していた。
王宮近くで聞いた話によれば、シキが
その結果がこれのようだ。
至る所から煙が上がっている。
「
"ブウウゥゥン……"
フランキーはバイクのエンジンをふかし、ゆっくり村の中へ進んでいった。
「麦わらァ! いたら返事しろォ!」
「ルフィさーん! いませんかー!」
「ねぇ、あれ、何かしら」
「「?」」
ロビンが前方を指さした。
建物という建物が全て崩れている中、妙な細長い塔のようなものがそびえ立っている。
フランキーはバッタバイクをそちらへ向かわせた。
「……! あれは!」
「ルフィさん!」
ねじられた細い塔のような岩。
その至る所から、見知った仲間たちの顔が飛び出していた。
みんな、塔の中に埋まっているようだ。
「いったい何が……」
「急いで掘り出しましょう!」
「はい!」
……3人の手によって、6人は塔の中から助け出された。
チョッパーがひとりひとりを手当てして回る間に、3人は集めてきた情報を語って聞かせる。
ルフィが真っ先に目を剥いた。
「なっ、シキが
「えぇ、そうよ」
ゾロがティオに目を向ける。
「……お前、アイツのこと知ってたよな。
ティオは首を横に振った。
「いーすと・ぶるーの、ことは、しらなかった。……しき、は、ごーる・D・ろじゃーと、おなじ、じだいの、かいぞく。ろじゃー、せかい、1しゅう、して、つかまった、あと、しき、なっとく、いかないって、かいぐんほんぶ、のりこんだ。……けど、せんごく、げんすい、がーぷ、ちゅうじょう、ふたりに、まけて、いんぺるだうん、おくられた。……そのあと、あし、きりおとして、にげた。それから、20ねん、ずっと、ゆくえふめい、だった。……まさか、そらに、ひそんでた、なんて……」
チョッパーが縮み上がる。
「自分で自分の足を斬ったのか!?」
「(コクン)」
「ひいいぃぃっ」
ゾロは短いため息をついて目をつぶった。
「前時代の敗残兵か」
サンジは怒りをぶつけるように、短くなったタバコを握り潰す。
「あンのクソ野郎がっ……俺たちをコケにしやがって」
ウソップが静かに言った。
「ナミは……故郷を守るため、独りシキの野郎について行っちまった。……俺たちは、ナミに救われたんだ」
そのとき、ティオとチョッパーが微かな足音に反応した。
チョッパーが嬉しそうな顔でそちらを向く。
「シャオ! 無事だったのか!」
少し離れたところに、シャオと、祖母を背負った母親がたたずんでいた。
母親が申し訳なさそうな顔をする。
「地下壕に隠れてたからね…。…それより今の話、
ルフィが答える。
「あぁ、そうだ」
途端、シャオの母親は崩れるように膝をついた。
「あぁっ、私はなんてことをっ、あの子の前でっ、シキが早く
涙ぐむ母親に釣られるように、シャオも泣き出す。
「わたしも喜んじゃったっ、ぐすっ、ごめんなさい!」
ルフィはシャオたちをじっと見つめた。
そして、シャオの手に握られているものに気づく。
「シャオ、それ、どうした?」
「ひっく…………え?」
シャオの手には、トーンダイヤル。
「あ、これ……今ここで拾って……」
「ちょっとそれ、見せてくれねぇか?」
ルフィはシャオに歩み寄る。
「う、うん……」
シャオは戸惑い気味に頷いて、ダイヤルをルフィに差し出した。
ダイヤルを受け取ると、ルフィはニッと笑顔を浮かべる。
「オメェらスゲェな、シャオ。自分たちの村がメチャメチャになってんのに、ナミのこと気遣ってくれてよ。こんなに心の優しい奴ら、見たことねぇよ! ちっとも
「ぶっ飛ばす……?」
シャオたちは唖然としていた。
何故そんなに強くいられるのだろう……
そう、問いたげな顔だった。
「それ、シキが持ってたヤツか?」
「あぁ、たぶんそうだ」
トーンダイヤルを持ったルフィの周りに、仲間たちが集まる。
ルフィが貝の殻長を押した。
"カチ……"
『みんなの前から、黙って立ち去ることを許して下さい』
聞こえてきた声に、チョッパーが瞳を輝かせる。
「ナミの声だ!」
少し沈んだようなその声は、淡々と語った。
『あたしは、シキの一味で航海士をすることにしました。シキは、たとえルフィ達が逆らっても、絶対に勝てない伝説の海賊。みんながあたしを追ってきてくれても……命を落とす、結果になる。これだけ言っておきます』
……数秒の、沈黙が落ちる。
ルフィの拳が震え出した。
そして……
「何だこりゃぁぁぁっ!!」
響き渡った怒号。
チョッパーはびくつき、シャオはいつも通り気絶した。
「何だアイツ! こんな言葉残しやがって!」
荒れ始めるルフィを、ウソップがなだめる。
「ま、まぁまぁ、落ち着けって……」
「俺たちが絶対敵わないだと!? 勝手なことしといてっ、何言ってんだ!」
フランキーがため息混じりに言う。
「現にオメェら、全員まとめてシキにやられちまったんだろ?」
「何だとォ!? これはっ、別にっ、俺はっ、やられたわけじゃっ」
「お、落ち着けって! こんなときにやめろよ2人とも!」
「くそっ」
ルフィはウソップにトーンダイヤルを押しつけ、ズカズカとどこかへ歩いていった。
やり場のない怒りを発散させる場所を、探しに行ったのだろう。
サンジがタバコの煙を吹く。
「おい、ウソップ。もう1回聞かせろ」
「え? お、おう……」
ウソップは、トーンダイヤルの殻長を、もう一度押した。
再び、ナミの声が流れ始める。
その声がわずかに聞こえたのか。
仲間から離れた場所で、ルフィは込み上げる自分への怒りに任せ、拳を振り上げた。
「ぅぉおおおおっ!」
"ドゴオッ!"
巨大な岩が、砕けた。
―――このとき。
ナミが最後に紡いだSOSが流れたことを、ルフィだけは知らなかった。