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映画:STRONG WORLD
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遡ること数時間前。
シキたちが出て行った王宮のプールでは……
「なみちゃん」
「え……?」
タイミングを見計らい、ティオがナミに話しかけていた。
「きょろきょろ、しないで。きづかれ、る」
「あ……」
ナミは平静を装って、窓の外へと視線を戻した。
ティオは、プールの映像電伝虫が餌を食べているのを確認し、こっそりナミの肩まで登った。
ナミは安堵の表情を浮かべ、小声で話し始める。
「来てくれたのね」
「(コクン)…いまの、うち、にげよ?」
「え、でも、どこから?」
「ぷーるの、はいすいこう、うみ、つながってる。ながれ、のれば、うみ、でられる」
「そうなの?」
「いま、かんしの、でんでんむし、ごはん、たべてる。ちゃんす、いましか、ない」
「分かったわ。……ティオはどうする? 一緒に水路から逃げる?」
ティオは首を横に振った。
「あとで、おちあう」
「オッケー、分かったわ」
話が済むと、ティオはそっとナミの体を伝い降りて、草陰に隠れた。
万が一のため、ナミの脱出が上手くいくまで見届けるのだ。
ナミは、またプールで泳ぐ素振りで、何気なく着替えの入ったリュックを背負った。
そして、プールサイドで休んでいた黄色の鳥を手招きし、プールへ入っていく。
静かに泳ぎ、排水口の真上まで来ると、深く息を吸った。
"チャポンッ"
ナミが潜ると、黄色い鳥も一緒に潜る。
「……」
ティオがちらりと見やると、電伝虫は変わらず餌を食べていた。
もう心配は要らない。
ティオはすぐさま、屋内プールの出入り口へ走り出した。
出入り口を通り抜けると、長い廊下を抜け、手近な部屋に忍び込み、窓を僅かに開けて、鳥の姿で飛び立つ。
雪の降る灰色の空を、ナミの元へ飛んでいった。
その頃。
黄色い鳥と一緒に排水口に身を投じたナミはというと……
"ギュオオオォォッ"
想像以上に早い水流の中を流されていた。
これは能力者でなくても辛い。
「……っ」
ナミは無意識に鳥に掴まった。
20秒ほど水の中を流れると、突然、水の外に出る。
"ザバァッ!"
「ぷはっ、はぁっ、はぁっ」
海の中に出たはずなのに、息ができる。
ナミは空気圧を堪えて目を開いた。
「……え、うそっ、空!?」
後ろを振り返れば、海は島を囲む程度にしかついていなかった。
鳥もろとも、ナミは下の島へ落ちていく。
「ちょっ、どういうことよティオ~!」
なんて叫んでも、ティオは傍にいない。
"ヒュォッ、ザパァンッ!"
下の島の、水の中へ落ちた。
今度は淡水のようだ。湖だろうか。
「……くっ」
入水の衝撃が収まる頃、ナミはうっすら目を開いた。
すると……
「!」
周囲には巨大な水生生物。
「~~~っ!?」
……どうしよう。
武器なんてないし、ティオはどこにいるのか分からないし……
「ク、クワッ」
「?」
鳥も危険を感じたのか、暴れ始めた。
そして……
"ビリッ、バリバリバリバリッ"
咄嗟に放電した。
"ザバァッ"
「クワァ~!」
鳥は水から出て、感電した水生生物たちの上にとまる。
「……クワ?」
あれ、何だか背中が軽い。
鳥は首をひねり、自分の背を見て、辺りをキョロキョロ見渡した。
すると、水面にナミが浮かんでいて……
「クワアアアアッ!?」
鳥は慌てて羽ばたき、ナミを拾って岸まで飛んだ。
地面に横たえると、心配そうに周りをくるくる回る。
「クワァ…クワァ……」
「……ぅ…ん……」
ナミが身じろぎし、眉間にしわを寄せた。
「クワァッ!」
鳥は喜び勇んでナミの顔をつつく。
"ドスドスドスドスドスドスドスッ!"
「痛いわぁ!」
ナミは飛び起きると同時に、鳥を殴り飛ばした。
「んもう……」
しかし鳥は、起きてくれたことが嬉しいらしく、ビリビリ帯電しながらナミに駆け寄る。
「クワァァッ!」
「やめて」
「グェッ!? ……クァァ」
どよ~んと沈む鳥。
その感情豊かな様子に、ナミは笑った。
「まぁいいわ。助かった。ありがと」
「クワァッ! クワァクワァ!」
羽をバタバタさせながら舞い踊る鳥。
と、そこへ。
"バサッ"
鳥になったティオが舞い降りてきた。
「おまたせ」
その姿を捉えた瞬間、ナミはぷくっと頬を膨らませる。
「ちょっとぉ! 危うく死ぬとこだったじゃない! 何なのよあの危険なルートは!」
ボンッ、とティオは人間に戻った。
「でも、いちばん、ばれ、にくくて、とおくまで、にげれる、るーと」
「ぅ……そうかもしれないけど……」
「それに、このくらい、じゃ、しなない。……でしょ?」
「はぁ……まぁいいわ。ありがと」
「(コクン)」
「それにしても……ここはどこなの?」
「たくさん、ある、むじんとう、の、1つ。あの、いわかべ、のぼったら、しま、みわたせる」
「そうなの?」
「(コクン)」
ティオが指さした岩壁は、20mほどありそうな断崖絶壁。
どうやら、湖をぐるりと囲んでいるようだ。
「でも、あんなのどうやって登るの?」
「かん、たん」
ティオは鳥に目を向けた。
ちょいちょい、と手招きする。
「クワァ?」
鳥が近づいてくると、その首筋や頭を撫でながら、額をこすり合わせてスキンシップをとった。
「ちょうじょう、まで、はこん、で?」
「クワァッ!」
鳥は満面の笑みで頷き、ナミとティオの腕を掴んで上昇した。
ものの3秒で岩壁の頂上に辿り着く。
「やっぱり、何だかんだ頼りになるわ。ありがと」
「どう、いたし、まして」
ナミとティオは頂上に降り立つと、ぐるりと周囲を見渡した。
辺りは一面森だらけで、ナミたちが立っている場所は、小高い丘のようだ。
そして……
「ん……あれ? サニー号じゃない!?」
丘の下の、少しだけ開けた場所に、土にまみれたサニー号があった。
「うそっ、やった! サニー号に辿り着けるなんて!」
ナミは走って丘を降り始めた。
すると……
"ドゴォッ!"
サニー号の20mくらい先で、森の中から砂煙が巻き起こる。
「えっ、ちょ、何アレ……」
追いついたティオが教えた。
「るふぃ、いる」
「えっ!?」
"ドゴォッ、ドゴォッ"
爆発が近づいてくる。
やがて、森の中から人影が飛び出してきた。
「はぁっ、はぁっ、くそっ! ……ん? あっ、サニー号!」
「ホントだわ。ルフィ~!」
「んぇ? ぅおおっ! ナミ! ティオ!」
ルフィは真っ直ぐこちらへ走ってきた。
それも……
"ドゴォッ!"
巨大サソリ3匹に、ライオンもどき1匹の、計4匹に追われながら。
「げっ……」
「ナミ~! よかったァ無事で! よくアイツから逃げ出せたなァ!」
「こっちに来るなァァァ!」
「あっはっはっはっはっ!」
ルフィ、ナミ、ティオは、丘の頂上へと逃げる。
すると……
「クワアアアァァァッ!」
黄色の鳥が、4匹目掛けて飛んでいった。
"バリバリバリバリッ"
まばゆい光と、空気が膨張した音に振り返れば、黒焦げになったサソリやライオンもどきの上で、鳥が高らかに声を上げていた。
「クゥワァ~!」
ルフィは目を輝かせる。
「うっほ~! イカす~ぅ!」
「はぁ……何とかなった」
「(コクン)」
……というわけで、3人と1羽はサニー号の傍で火を焚いた。
ナミとティオは、サニー号の中で着替えてくる。
ルフィはサソリのハサミをもぎ取って、軽く火で炙ってパクついていた。
「他のみんなは~?」
「ん? あぁ、あれから誰とも会ってねぇよ。広いんだァここ! まさか最初にナミに会えるとは思ってなかった!」
「ティオがね、助けに来てくれたの」
「んぉ~、ほ~だったのか。モグモグ」
「にげだす、だけなら、かんたん、だった」
「他のみんな、どこにいるか分かる?」
「(コクン)…2かしょに、あつまってる。ぞろ、さんじくん、うそっぷ、ちょっぱー、あっち。ろびん、ふらんきー、ぶるっく、むこう」
「えっ、向こうって、ロビンたちがいるの、シキの王宮がある島じゃない!」
「んっ、なに!? 捕まってんのか!?」
ティオは首を横に振った。
「たぶん、ちがう。あせったり、こまったりの、かんじょう、かんじない。ろびん、いるから、もしかしたら、じょうほう、あつめ、いってる、かも」
「そっか、ならダイジョブだな!」
「気楽に言うわねぇ……。でもまぁ、とりあえず合流するなら、ゾロたちの方ね」
「(コクン)」
「その前にオメェらも食えよ、このサソリ。うめぇぞ? なァ、ビリー?」
「クワァ!」
「ノーサンキュー。……え、ビリーって?」
「コイツだよ。ビリってくるだろ?」
ルフィは鳥の頬を引っ張った。
鳥はわざと軽い電撃を放つ。
"ビリリリッ"
「ほらな?」
ルフィはポンポンと鳥の頬を撫でた。
「クワァ」
ナミは呆れ顔をする。
「そっか。ゴム人間だから電気は効かないんだったわね」
「ぅ……るふぃ、これ、まだ、なま」
ティオは、ルフィに差し出されたサソリを突き返す。
「だぁいじょうぶだって!」
「やめときなさいティオ。お腹壊すわよ?」