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映画:STRONG WORLD
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ところ変わって、シャオの住む村では。
湖で打ち上げられたサンジとウソップが、岸辺の小舟で寝かされていた。
「ん……」
「ぁ~~……いたたたっ」
目を覚ました2人は、身を起こして辺りを見渡す。
「ん……どこだァここは」
「……村、か?」
桟橋で遊ぶ子供たち。
物々交換をする奥様方。
ウソップは住民たちを見て首をかしげた。
……全員、腕に羽があるのだ。
「気づいたか、ウソップ」
「ぇ、あ、あぁ……」
「この村、若い娘がいねぇ」
「ってそこかよ!」
普通、羽の方が気になるのでは……
「目が覚めたかい?」
「「?」」
声のした方を向くと、ご婦人が1人、マグカップを2つ持って歩いてきた。
「いきなり空から降ってきたから驚いたよ。よく生きてたもんだ」
2人はマグカップを受け取る。
「お、サンキュー!」
「ありがとう、マダム」
「あら、ヤだよマダムだなんて」
ご婦人は照れ笑いしながら傍に座った。
「その腕の羽は?」
「これかい? ここの人間には、何故かみんなあるんだよ」
「へぇ……。この村は、食い物とか足りてんのかい? みんな痩せてるな」
「え?」
ご婦人は自分の腕を見降ろし、咄嗟に背後へ隠した。
「ま、まぁ、男手も若い娘も、みんな王宮に召し上げられちまってるからね。働き手がなくて、やっとこさその日暮らししてるのさ」
「何だそりゃっ、酷でぇ話だな!」
「シキに逆らったら、アタシらおしまいだからね」
「「シキ!?」」
……それは、ナミを攫っていった男の名。
「そうさ。アタシらは徹底的にアイツに支配されてるんだ。それに……はっ、アンタたち、隠れな!」
ご婦人は突然、サンジとウソップを小舟の中に押し込んだ。
「痛ってぇっ、何す「しっ!」
ご婦人に促され、2人は小舟の陰からそっと村を覗き見た。
すると、10mほど先の家の後ろから、巨大な電伝虫が出てくる。
「んなっ、でかっ!」
「……自走式映像転送電伝虫さ。あの電伝虫に捉えられた映像は、そのまま王宮へ送られている。アタシたちはいつだって見張られてるんだ。少しでもシキに盾突いたら、すぐ見せしめに殺せるようにっ……」
サンジとウソップは目を見合わせた。
自分たちをもてなすと言っていたあの男は、実はとんでもない奴だったらしい。
同じ頃。
村の入り口付近では。
"ドシッ、ドシッ"
マンモスが3人を乗せて歩いていた。
もう冬ゾーンを抜けたため、チョッパーは小さくなって、シャオと一緒にゾロの膝の間に座っている。
「もう着くのか?」
「うん。すぐそこだよ!」
"ドシッ―――"
「「「 ? 」」」
突然、マンモスが動きを止めた。
チョッパーも顔色を青くする。
"ズォァッ"
「「「 ! 」」」
突然、マンモスは前足を上げ、のけぞった。
上に乗っていた3人はもちろん落ちる。
「ぅおあっ」
"ドサッ、ドサドサッ"
先に落ちたゾロの上に、チョッパーとシャオが落ちた。
ゾロがクッションとなり、2人は怪我をせずに済む。
"ドシドシドシドシッ!"
地震さながらに地響きを立てて、マンモスは冬ゾーンへ逃げていった。
「っててて……いきなり何だ?」
「ぅ"~……匂いだよっ、鼻の奥がビリビリするようなイヤァ~な。感じねぇのか?」
「あぁ、ダフトグリーンだよ」
「ぁあ? ダフト?」
「わたしたちの村は、ダフトグリーンっていう樹に囲まれてて、動物たちから村を守ってるの。動物たちはみんな、この匂いが嫌いだからね」
「~~~っだろうなぁ」
「じゃあ鼻栓でもしとけ。行くぞ」
「ぅぇええ?」
歩き出すゾロと、その後ろをピョンピョンついていくシャオ。
チョッパーはガーゼを適当に切り、鼻に詰めて、2人の後を追った。
少し歩くと、巨大なカブに似た、ダフトグリーンの群生地帯に入る。
「これか」
「うん」
「鼻栓しててもちょっと臭ってくるぞ」
「スンスン……あー、確かに少し臭せぇな」
「遅せーよ!」
「あまり吸い込まない方がいいよ? 毒だからね」
「早く言え!」
吸っちまったじゃねぇか! と言わんばかりにゾロは叫んだ。
……やっと村に入った3人は、シャオの家へと向かう。
家の玄関に辿り着くと、シャオは俯いた。
「……どうした。入らねぇのか?」
「……ううん、何でもない」
てっきり帰れたことを喜ぶと思っていたが、シャオは逆に、ビクつきながら家の戸を開ける。
「た、ただいま……」
「シャオ!」
「ひっ」
シャオによく似た赤毛の女性が、歩み寄って来た。
おそらく母親だ。
"パァンッ"
家中に木霊する音。
シャオはじんじんと痛む頬を押さえた。
「あれほどダフトグリーンの外に出ちゃいけないって言ってるのに!」
「だ、だって……どうしてもおばあちゃんを助けたかったから……っ」
「!」
母親は、シャオの手に握られ、しおれている花を見て、唇を噛んだ。
「……シャオ」
「「?」」
家の奥から、老婆の声がする。
「私のために危険なマネはしないどくれ……」
布団に横たわっていたシャオの祖母は、懸命に体を起こした。
顔や腕に緑の斑点が見える。
チョッパーの目つきが鋭くなった。
「だって……そのままじゃっ、おばあちゃんが!」
その場に膝をつき、泣き始めるシャオ。
母親は込み上げる涙を堪えつつ、ゾロとチョッパーに向けて笑顔を作った。
「あんたたち、本当にありがとう! ……何か、お礼をしたいんだけど……」
「たまたま通りかかっただけだ」
「そうだよ! こっちこそ助けてもらったし。……それより、その病気は?」
「ぇ、あぁ……これは、ダフトグリーンの粒子を大量に吸い込むとなっちまうんだ。緑色の痣がだんだん硬直していって、終いには動かなくなる。……唯一、I.Qって植物から薬が作れるんだけど、1輪だけじゃねぇ……」
「それで、あんなところに1人で……」
「ひっく……ごめんなさいっ」
しゃがみ込んで泣き続けるシャオを、母親は膝をついて抱きしめた。
「お前が悪いんじゃないよ。……悪いのは、I.Qを独占しちまったシキの奴さっ」
「シキっ!?」
「20年前までは、人と植物、それに、あの動物たちともうまく共存してたんだ! それを、アイツが全て壊してしまった……っ」
「早く行っちゃえばいいのに、アイツらっ、計略の海へっ」
「……」
「……」
"計略の海"。
それが何なのかは、ゾロたちには分からなかった。
……けれど、シキがイイ奴でないことは分かった。
"ガチャ、ギィィ……"
2人は家を出た。
"パタン……"
扉を閉めると、ゾロがチョッパーに訊く。
「……お前、何とかアレ治せねぇのか」
「見たこともない症例だ……ヘタに手を出せないよ」
「そうか。……しかしまぁ、ここにいりゃ、とりあえずあの動物たちには襲われずに済むってことだな」
「うん。……ここでもまだダフトグリーンの臭いはするけど、それを思うと、少しは我慢出来るよ。……けど、こんなところで、みんな無事かな……」
「あぁ、そうだな。……少しだけ休んだら、また探しに行くぞ」
「うん」
ゾロが家の前の階段に座ると、チョッパーも近くに座り込んだ。
「はぁ……俺もうヘトヘトだァ」
ろくに食べてない上に、何日も移動しっぱなしで寝ていないからだ。
しばしの休息ということで、2人は目を閉じた。
しかし……
「あ~……なんか変だ。体が重い……」
「当たりめぇだろ。この1週間ろくに寝てねぇんだからよ」
聞こえてきた声に、意識を引っ張られた。
チョッパーが階段の下を覗く。
「あっ! サンジッ、ウソップ!」
「「ぁあ?」」
ゾロとサンジの目が合った。
途端、2人はため息をつきながら俯く。
「「何だテメェか」」
見事なシンクロ……
「うわぁ~ん会えて良かったぞ~!」
「うおぉっと……気持ちは分かるが飛びついてくんなチョッパー、疲れてんだ……」
ウソップはチョッパーを受け止めるも、フラフラと階段に座った。