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番外. ファンタジップ
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騒がしい食事も終わりに近づいたころ、食堂の店員が、人数分のミックスジュースを持って来る。
「こちらは、当店で1万ベリー以上お食事されたお客様へのサービスでございます!」
「おっ、気前いいなぁ」
「サンキュ~!」
ジュースを置いて、去っていく店員。
「ぶはぁ~っ、食った食った~」
毎度のことながら、風船のように膨らんでいるルフィ。
「ったく、1人で何人前食う気だよ……いつものことだけどよ」
ウソップがジト目でルフィを見ながら、ジュースのストローをくわえる。
その隣で、チョッパーはご機嫌でジュースを飲んでいた。
「甘くてうめぇぞコレ!」
「んじゃ、お前にやるよ」
「ん、ゾロは飲まねぇのか? ジュース」
「ンな甘めぇのより、こっちの方がいい」
言って、ゾロは既に3本目になった酒瓶を仰いだ。
そのとき……
「……ひっく」
突然、しゃっくりのような声が聞こえて、ゾロは横目に隣を見た。
ジュースのコップを両手で持ったティオが、赤い顔で、ぼーっとどこかを見つめている。
「?」
何だか様子がおかしい。
変なものでも食べたのか、そう思って訊こうとすると……
"ポム!"
突然、ティオの頭に白い猫耳が出てきた。
さすがに他の仲間たちも、異変に気付き始める。
ルフィがティオの顔を覗き込んだ。
「ん、ティオ? 耳出てるぞ。どーした?」
ティオは答えず、ぼーっとどこかを見つめたまま。
かと思いきや、両手の甲で顔をくるくるこすり始める。
サンジがハっとして、目の前のミックスジュースを掴んだ。
「まさかっ」
鼻を近づけ、香りを嗅ぐ。
「……やっぱりだ。キウイが入ってやがる」
ナミがまばたきを繰り返した。
「分かるの?」
「あぁ。リンゴ、バナナ、オレンジ、モモ、ブドウ、パイン、そしてキウイだ。……船じゃ気をつけてたんだが」
ウソップがジト目をする。
「チョッパーかよ、お前……」
「俺の鼻が嗅ぎ分けるのは、食材と、レディの麗しい香りだけさ」
「……あーそう」
ロビンがあることを思い出した。
「こんなこと、前にもあったわね。フォクシーの一味と、デービーバックファイトをした時だったかしら」
ウソップが、あぁ、と頷く。
「あったなぁそういや。ゾロがぶった切ったキウイの木が、会場に倒れ込んできたとき」
その話を知らないフランキーとブルックは、互いに目を見合わせて首を傾げる。
「っ、おいっ、登るな!」
ゾロの迷惑そうな声に目を向ければ、ティオがゾロの体によじ登り、肩車のように座って、頭に頬擦りしていた。
ナミが嘲笑するようなため息をつく。
「あらら、完全に酔っぱらってるわね」
「おいっ、誰か何とかしろよっ」
「だそうよ? チョッパー」
チョッパーはジュースを飲みながら唸った。
「うーん、酔っぱらってるのと同じ状態だから、酔いが醒めるまで待つしか……」
「いいんじゃない? いつもとあんまり変わんないし」
「変わるわ! ……ぃだだだっ!」
ティオはゾロの耳を噛み始めた。
甘噛みなのだろうが、だいぶ痛い……
ルフィは興味津々に、手元にあった肉の骨を握った。
「猫ってよぉ、確かこんなんに飛びついてくんじゃなかったっけ!」
言って、骨をティオの目の前で揺らす。
ウソップが呆れ顔を向けた。
「そりゃ猫じゃらしの場合だろ。ンな食べかすに引っ掛かるわけ―――"シュオッ"
"ガチャンッ!"
ウソップの予想とは裏腹に、ティオはルフィの揺らしていた骨に飛びついた。
テーブルの上に乗ったため、皿やコップが飛び上がる。
「ちょっ、こらっ、やめなさいティオ!」
「はははっ、ほら見ろ! やっぱ食いついてきたじゃねぇか!」
ルフィはティオを骨で釣りながら、店の中を駆け回る。
"ガシャンッ、ガシャァン!"
一味の中でもトップクラスの速さの2人が追いかけっこをするものだから、当然、被害は甚大になる。
「うわっ、何だ何だ!」
「きゃあっ、ちょっと何よ!」
他の客たちが騒ぎ始め、中には店から逃げていく者も。
「お、お客様っ、困ります!」
店員が何人か出てきて、ルフィとティオを鎮めようと追いかけ始めた。
ナミがこめかみに青筋を浮かべる。
「……ウチって、どうしてどこに行ってもいっつもこうなのかしら?」
ウソップとチョッパーは、青ざめて抱き合った。
ナミは思いっきり息を吸い込み、叫ぶ。
「いい加減にしろォ!」
「ぃぎっ」
反射的に、ルフィはピタっと止まった。
しかし……
「ふしゃーっ!」
ティオは止まることなく、ルフィに飛びかかる。
「うおっ、やめろっ、ティオ! いでっ、いでででででっ!」
ティオの興味は、いつの間にか骨からルフィに移ったらしく、ルフィのほっぺたに噛みついて、ぐいぐい引っ張っていた。