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何とかギリギリ、エントリーに間に合った麦わら一味。
大会会場は、1階のフロア。
船の端から端まで、土で固められた床に、白線でレーンが描かれていた。
全部で10レーンあるそこで、10人ずつ走り、タイムを競い合うというものだ。
今回の参加者数は253人。
ギリギリだった麦わら一味のエントリーナンバーは、244~253になった。
「では、順番になりましたら、こちらのエントリーシートを忘れずにお持ちください。遅刻は即失格となりますので、お気をつけて」
ナミは、番号が書かれた小さな紙を、10枚受け取った。
「最後の方になっちゃったわね……。ねぇ、順番までどのくらい掛かるかしら」
「そうですね……1組30秒から1分ほどで終了いたしますので……早ければ10分程度で順番が回ってくるでしょう」
「微妙な時間ね……」
10分も他人の走りを見たってつまらない。
かといって、どこかで遊ぶには足りない……
「仕方ないわね、観戦して待ちましょうか」
「ナミ! 俺の出番は!?」
「まだよ。10分はかかるわ」
「んぇ~~っ」
「ちょっとだけ我慢しなさい」
「あ! んじゃあそこの串焼き買ってくれ!」
「ヨホホッ、いい匂いがしますね~。って、私「お前、鼻ねぇだろ」
「ちょっとサンジさん! 先に言わないで下さいよ!」
「おっ! あっちに綿あめ屋! ナミ~! 綿あめ買ってくれよ!」
「俺はあっちのイカ焼きがいいな~!」
「俺ァコーラだな」
「はいはい分かったから。……あれ? ゾロはどこ行ったの?」
「ティオが迎えに行ったわよ。……ほら、帰って来たわ」
ロビンの指さす先には、ゾロの手を引っ張って歩いてくるティオが。
ゾロはどこで買ったのか、すでに酒瓶を仰いでいた。
「はぁ……ちょっと目を離すとすぐ迷うんだから……。ほらみんな! お小遣い渡すわよ!」
「「「は~い!」」」
ナミに渡されたお小遣いで、それぞれ好きな食べ物や飲み物を買った一味は、揃って観覧席に座った。
『さ~ぁエントリーNo.81~90のレースがスタートいたしました! 現在暫定1位、No.56バリエスタ氏を上回ることが出来るのか!』
早口な実況が、レースをリズミカルに消化していく。
「うお~っ! みんな早ぇなぁ!」
「ん? ありゃァ、本物のゴリラか?」
「スタートラインに一緒に立ってた奴がケツ叩いてた。ペットなんだろ」
「動物もOKってことか」
「じゃなきゃ、ウチの非常食が出れるわけねぇからな」
「なっ、誰が非常食だ!」
「え、ちょっと、アレって足長族!? 種族の違いでハンデとかないわけ!?」
「るーる、やぶらな、ければ、からだの、とくちょうも、とくしゅな、わざも、あくまのみ、も、なんでも、あり」
「そんなぁ……。……ってことは、ルフィとゾロとサンジ君は当然として……ブルックも身軽だし有望株かしら……チョッパーは変形すればいけるかも……あとは、」
ブツブツと何やら呟いたナミは、隣に座っているティオを見下ろした。
ティオはナミの視線に気づき、見上げて首を傾げる。
ナミはティオの両肩をガシっと掴んだ。
「頼むわよ、ティオ。あのCP9と同じ技、早いんだから」
「……つかう、の? そる」
150mも
「100万ベリーのためよ!」
ベリーの目に見つめられたティオに、拒否権は無かった。
「………はい……」
数分後。
『さぁ大会もいよいよ大詰め! 選手は残すところ、No.241~253の13名となりました! 現在暫定1位は、No.103のディエロ氏! 果たして、彼の記録を塗り替える者は現れるのでしょうか!』
ようやく出番が回ってきた麦わら一味は、スタートラインに集まった。
一味が持つエントリーシートは、244~253の10枚。
必然的に2組に分かれることになる。
まずは、No.241~250までの組で、7人出ることになった。
No.244 ウソップ
No.245 ナミ
No.246 チョッパー
No.247 ロビン
No.248 ティオ
No.249 フランキー
No.250 ブルック
主力3人は最後にして、以上の7人で挑む。
「チョッパー、ブルック、ティオ、あんたたちは本気でやんなさい?」
最後の最後、スタートラインに並んだところで、ナミに釘を刺される。
チョッパーは
「150m走りきればいいんだよな?」
その隣で、ティオは憂鬱そうにため息をついている。
さらにその隣の隣で、ブルックは高らかに笑い声を上げた。
「ヨホホホホッ! 精一杯頑張ります! あ、ところでナミさん、パンツ、見せて頂いてもよろし「見せるかァ!」
"ゲシッ!"
『No.241~250の皆さん! 準備は宜しいでしょうか~?』
司会の声に合わせ、スタート合図を送る係員が、旗を振り上げる。
『レディ~……GO!』
バサッ、と旗が降りた、瞬間―――
"シュオッ"
風を切る音がした。
『お~っと! 最初に飛び出したのはNo.248のティオ氏! まるで瞬間移動を繰り返しているような進み方! 早い早い! 何が起きているのか、もはや私の目には分かりません!』
……そんな目で司会が務まるのか。
ティオはため息混じりにそんなことを思いながら、他に圧倒的な差をつけて、150mを駆け抜けた。
ピンと張られたゴールテープを、体で切る。
『ゴール! No.241~250、1位はティオ氏に決定です! いや~早かったですねぇ!』
「ヨホホホホホッ! ティオさん、やっぱり早いですね~!」
『続いて2番手を走るのは、No.250のブルック氏! というか、何なんでしょうか彼は! まるで白骨死体が走っているようです!』
「白骨死体のようなもの、ではありません、本物の白骨死体なので~すヨホホホホッ!」
『2位、ブルック氏! その後を、3位、チョッパー氏がゴールです!』
ナミの睨んだ通り、チョッパー、ティオ、ブルックは、上位に入り込んだ。
ウソップ、ナミ、ロビン、フランキーも、他の見知らぬ3人と共に、順当にゴールする。
『さてここで、新記録を出したティオ氏が、暫定1位に躍り出ました! また、ブルック氏は暫定3位、チョッパー氏は暫定5位となります!』
レーン横に立てられた黒板の順位表が、書き替えられた。
それを見て、ナミがガッツポーズをする。
「ぃよし! イイ感じだわ! これなら、ウチで賞金全部頂くのも夢じゃないわね!」
隣で、チョッパーがいつもの姿に戻った。
「うおっ、5番目だ! やった~!」
ティオは仏頂面で、その場に座り込み、震えている足を投げ出す。
「……あし、つかれた」
「ふふっ、お疲れ様」
隣にしゃがんだロビンが、ティオの頭を撫でる。
ウソップは息を切らせながら、スタート地点を振り返った。
「やっぱ早かったなぁ、ティオもブルックもチョッパーも。残るは、ルフィとゾロとサンジか。こりゃ見ものだな~!」
「チッ、今週の俺様は、ス~パ~ツイてねぇぜ……」
「何いじけてんだよフランキー。お前は鉄とかいろいろ積んでるから、重くてスピード出ねぇんじゃねぇか?」
「フン……」
雑談する7人。
スタートラインに立ったルフィ、ゾロ、サンジは、ゴール地点の仲間たちを見据えた。
ゾロは腕を組んでそっぽを向く。
「けっ、何でこんなガキの遊びに付き合わなきゃならねぇんだ」
サンジがタバコの煙を吹き上げて言った。
「始める前から負け惜しみ言ってんじゃねぇよ、クソマリモ」
「ぁあ?」
一触即発の雰囲気。
それを、真ん中にいたルフィが収めた。
しゅるんと、ゾロとサンジの肩に、ルフィの手が巻きつく。
「うおっ」
「何だよっ」
「しししっ、やっぱティオは早かったなぁ! 俺もちょっと本気出すぞ」
「「本気?」」
闘争心の宿った瞳で、ルフィはじっとゴールを見据え、巻きつかせていた腕を解いた。
左手は膝に置き、右手は拳を握って地面につける。
「ギア、2nd」
ルフィの身体が赤みを帯び、蒸気を放ち始めた。
それを横目に見て、ゾロとサンジは小さくため息をつく。
「ムキになりやがって……」
「ただのかけっこだぞ……」</b>
司会が、興奮を押さえ切れずマイクを握る。
『さぁ~いよいよ最終レース! この3人のうちの誰かが、新たに記録を塗り替えるのでしょうか! それでは参りましょう!』
スタート合図の係員が、旗を振り上げた。
『レディ~……GO!』
……旗が振り下ろされた、瞬間。
"ドシュッ"
およそ、人の踏み込みとは思えない轟音が響き渡った。
そして、いつの間にかゴールテープが切られる。
「いっちゃ~く! アッハッハッハッ!」
ほぼ一瞬で目の前に現れたルフィに、ゴールで待っていた仲間たちは唖然とした。
「どぇえっ!? ルフィ!?」
「あんたっ、いつの間に!?」
「すっげぇ! 見えなかったぞ!」
「アッハッハッ! どうだ!? ティオより早かったか!?」
ティオは座ったまま、半目でほんの少しだけ頬を膨らませ、そっぽを向いた。
その頭に、ロビンが手を乗せて笑う。
「ふふふっ、ルフィの勝ちみたいよ?」
「うほほ~ぃやった~ぁ!」
数秒遅れて、サンジがゴールを通過する。
「はっ、はぁっ、ルフィてめぇ、砂埃巻き上げやがって、前見えねっつの……」
「んぉ? あぁ悪ィ悪ィ、あははっ」
「お疲れ様ですサンジさん。さすが、早かったですね~」
「どうも」
「……ん、あれ? ゾロは?」
ウソップの声に、一味は全員、レーンを振り返った。
ルフィの巻き起こした砂埃が消えるも、そこにゾロの姿はない。
ナミがまばたきを繰り返し、半目になった。
「……まさかと思うけど、たった150mで?」
ティオの方へ視線を向ければ、小さな頭がコクンと頷いた。
『お、おや~? どうしたことでしょうか、エントリーNo.251のゾロ氏、何故か私の目の前におります!』
たった150mすら、真っ直ぐに進むことが出来なかったのか。
ゾロは綺麗にコースアウトし、司会の目の前に辿り着いたようだ……
『えー、コースアウトにより、ゾロ氏は失格となります! これにて、全レースが終了いたしました! 結果は~っ』
安っぽいドラムロールが流れ、ドンッと、いつの間にか黒板に掛かっていた白布が取られる。
『1位、No.252、ルフィ氏!』
「おっ! 俺か!? やったぁ~!」
『2位、No.248、ティオ氏!』
「……しゃくぜん、と、しない」
『3位、No.250、ブルック氏!』
「ヨホホホホホッ! 胸が高鳴りますねぇ! って私、高鳴る胸、無いんですけど~、ヨホホホホホッ!」
『4位、No.253、サンジ氏!』
「お、4位か。あまり気にしてなかったが」
『5位、No.247、チョッパー氏!』
「やった! 俺も
『以上5名の皆様は、受付にお集まりください! 賞金をお渡しします!』