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30. 命を賭して
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"キュルキュルッ、バサァッ"
帆が降ろされ、サニー号は風を受けて進み始めた。
見送ってくれるローリング海賊団や、被害者の会の者たちに向け、大きく手を振る。
「そいじゃな~! お前ら~!」
「皆さ~ん! 全滅にお気をつけて! ヨホホホホホッ!」
「縁起でもねぇこと言うなテメェ!」
「ローラ~! ビブルカードありがとう! 元気でね~!」
「ママに会ったらよろしくね~! 私たちもまた会いましょう! ナミゾウ!」
「この恩っ、一生忘れねぇぞ! 麦わらァ!」
「太陽をありがと~~ぉ!」
「大恩人っ、麦わらの一味の航海に、栄光あれ~~!」
……たった数日の短い間ではあったけれど、新たな出会いに確かな絆を結び、麦わら一味は次の冒険へと舵を切った。
仲間たちが全員、進行方向を向く中、ふと、ティオは船尾の方を振り返る。
「……」
再び立ち込め始めた霧の向こう。
そこに感じる、巨大な気配。
「……」
ここは、毎年100隻を超える船が、謎の消失を遂げる、
その本当の脅威は、たった10年前からこの海域にのさばりはじめた、スリラーバークではない。
(……るふぃ、ほんと、うん、が、いい)
一体どこの星の元に生まれたんだと訊きたいほどの、強運。
ティオは感心するようなため息をついて、仲間たちと同じ方を向いた。
出港して数時間もすると、海の気候が変わってきた。
ぽかぽかと、小春日和のような暖かさに包まれる。
その気候に合わせ、ヴァイオリンでゆったりとした曲を奏でるブルック。
その音は、いつも通りゾロの太腿に頭を預けたティオを、柔らかな微睡みに誘っていた。
着替えて階段を降りてきたナミは、船の欄干から海を眺めているルフィに、歩み寄る。
「ねぇルフィ」
「ん?」
ルフィは意外にも、あっけらかんとした顔で振り向いた。
「本当にいいの?」
「あぁ、エースの紙のことか? いいんだ、気にすんな」
「でも……」
ブルックが、演奏の手を止めて言う。
「ルフィさん、私、構いませんよ? 寄り道しても」
「ん?」
「今さら私とラブーンに、時間などさしたる問題じゃありません。"生きて会う"、これが大事です!」
フランキーとウソップも賛同した。
「うお~っ、会いに行こうぜ兄弟クジラ!」
「ルフィ! 俺たち全員、寄り道上等だぞ!」
すると、ルフィは首を横に振って笑う。
「いや、いいんだ本当に! 万が一、本当にピンチだったとしても、いちいち俺に心配されたくねぇだろうし、エースは弱ぇとこ見せんの大っ嫌いだしな! 行ったって俺がどやされるだけさ! 俺たちは出会えば敵の海賊。エースにはエースの冒険があるんだ!」
そこに、キッチンから、人数分のジョッキを持ったサンジが出てきた。
「そのビブルカードってのは、本人が弱ると縮むだけで、また元気になったら元の大きさに戻るんだろ?」
「あぁ! 会うならそん時だ。そのためにエースは、この紙を俺にくれたはずだしな!」
ジョッキが全員の手に渡る。
「あ、そういやゾロ、オメェずっと寝てたから、まだやってねぇよな?」
「ん?」
ウソップがニヤリと口角を上げて、乾杯の音頭を取る。
「えーそれでは改めまして! 新しい仲間、音楽家・ブルックの乗船を祝してぇ」
「「「「乾杯~!」」」」
「お世話になりまーす!」
かち合うジョッキ。
少しこぼれたジュース。
広い海の真ん中で、10の笑顔が輝き、高らかな笑い声が響き渡った。
新たな仲間を加えて、麦わら一味の冒険は、まだまだ続く。
→ 番外. ファンタジップ
映画:STRONG WORLD
第四章:31. 人魚のケイミー
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