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30. 命を賭して
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2日後。
「素晴らしい~! ありがとうございます! フランキーさん! ウソップさん!」
スリラーバークの一角に、ルンバ―海賊団の墓が建てられた。
「いーのよ いーのよ、これくらい何でもねぇさ、ハッハッハッハッ!」
「俺様のデザインの勝利だな!」
「花、おれ摘んできたぞ!」
「ありがとうございます、チョッパーさん」
「んなっ、礼なんか言われても嬉しくねぇぞコノヤロがっ」
「……まさかあの大量の遺骨を、ライオンちゃんに乗せるわけにはいきませんからね」
「サウザンドサニー号と呼べよ? 次から」
「このスリラーバークは
墓を見上げ、しみじみとするブルック。
フランキー、ウソップ、チョッパーは、互いに目を見合わせた。
「んじゃ、ブルック、俺たちは先に行ってるからな?」
少し1人にしてやろうと、3人はサニー号へ戻っていく。
その心遣いに、ブルックは頭を下げた。
すっきり晴れた青空の下。
ブルックのヴァイオリンが、スローテンポなビンクスの酒を奏でる。
そのゆったりとした曲調は、まさに鎮魂歌だった。
……と、そこに。
"ザッ……"
人影が差した。
「?」
ブルックは演奏を止め、振り返る。
そこには、ゾロとティオが立っていた。
ゾロは無言でブルックの隣に並び、
ティオはその傍らに立った。
「ビックリした……。あなた、体の方はもう宜しいんですか?」
「あぁ。ちょっと寝過ぎた」
「その刀は?」
「死んだ刀、
ゾロは両手を合わせ、目を閉じる。
その姿を、ブルックは無意識にじっと見つめた。
……思い出される、仲間のために命を賭して闘っていた姿。
その覚悟の強さに胸打たれたと、一言伝えたい思いに駆られ、ブルックは口を開いた。
「あの…」
「ん?」
横目に見てきたゾロと、視線がかち合う。
途端、出掛けていた言葉が引っ込んだ。
「あ、いえ……」
他の仲間たちが何も言っていなかったのに、ここで自分が話を蒸し返そうだなんて……
「……あ、そうだ! 私、一味に入れて貰いました」
「へぇ、そうか。そりゃ、運が悪かったな」
「え?」
きょとんとするブルックに、ゾロはニヤリと笑みを浮かべる。
「この一味は手ェ焼くぞ?」
その言葉に、ティオも僅かに口角を上げて、ブルックに頷いて見せた。
ブルックは2人を交互に見て、笑う。
「ヨホホホッ、そのようで! 死ぬ気で頑張ります! あ、私もう、死んでますけど、ヨホホホホホッ!」
ブルックはルンバ―海賊団のメンバーに、ゾロは雪走に、それぞれ別れを告げた後、3人一緒にサニー号へ戻った。
ルフィが腕を組んで頷く。
「よし! ゾロも起きたし、出るか! 海へ! 行くぞ! 次の冒険!」
「「「おおおおっ!!」」」
麦わら一味は出港準備を始めた。
ふと、チョッパーは、甲板を歩くゾロに目を留める。
「なっ、ゾロ! お前また包帯取ったな!?」
「あぁ。動きにくいからな」
「動かさねぇために巻いたんだよ! 待て!」
チョッパーはどこからか大量の包帯を取り出し、ゾロを追いかけ始める。
「るっせぇなぁ、もう必要ねぇよ」
「それは医者のおれが判断することだ!」
「とにかく要らねぇよ」
「………ぞろ」
「ぁあ?」
低い声にゾロが振り返れば、そこには黒いオーラを放つティオが……
「!?」
ゾロは何だか嫌な予感がした。
「かんねん、するの」
"ヒュッ、グキキッ"
「のああああっ」
ティオはゾロに飛びつき、軽く関節を決めて押さえ込んだ。
「ちょっぱー、いまの、うち」
「よし! でかしたぞティオ!」
……その後、ゾロはミイラ男さながらに包帯を巻かれ、身動き一つ取れなくなった。
そんなドタバタの傍らで、出港準備を始める麦わら一味。
ローリング海賊団や被害者の会の者たちが、総出で見送りに来た。
「気が早いのね、もう船出すの?」
尋ねてきたローラに、フランキーがニヤリと口角を上げて答える。
「あぁ。この島でやるこたァ全部終わったからな。オメェらはブルックの船貰えよ。舵も含め、壊れたとこは全部直しといた」
「ありがとう。何から何まで世話になって、悪いわねぇ。あんた達は礼を言っても言い尽くせない大恩人よ。結婚してあげたいわ」
「オメェは上玉だが、残念。俺がスーパーすぎて釣り合わねぇ」
リスキー兄弟が、名残惜しそうにルフィに詰め寄る。
「別れ難いなァお前ら……もう2~3日宴やってこうぜぇ?」
いつもなら、1も2もなく頷くルフィだが、今回は輝く目で断った。
「ダメだ! つぎ魚人島なんだ! 俺楽しみなんだ! 面白れぇ奴いるんだろうな~!」
ルフィの周りを、ハートの目をしたサンジがくるくる回る。
「美しい人魚たちとっ、俺は戯れるんだ!」
ブルックが恭しく欲望を口にした。
「人魚さんのパンツ、見せて頂いても宜しいんでしょうか」
リスキー兄弟の片割れが、ニヤけ顔でツッコむ。
「おいおい、馬鹿なこと言うんじぇねぇよ。人魚は……パンツなんか穿かねぇよ」
「「ハッ!!」」
サンジとブルックは鼻血を吹いた。
「人魚たちの美しさときたら、かの海賊女帝ハンコックもタジタジってもんでよ!」
3人は肩を組んで、色々と妄想を始める。
「「「マ~メイDO! マ~メイDO!」」」
それを、ロビンが冷めた目で見つめた。
「下半身、お魚じゃない?」
ウソップは首を傾げた。
「何でお前ら、そんなに詳しいんだ?」
リスキー兄弟のもう片方が答える。
「俺ら3年前、ここへ来んのに通ってきたんだよ。サイコーだぜ? 魚人島!」
それを聞いたナミは目を見開いた。
「えっ、ちょっとローラ、アンタたち新世界へ行ってたのっ?」
「うん? あぁ、違うわよ。行ってたんじゃなくて、新世界の生まれなの。私のママが海賊やっててね? ……あ、そうだわ」
ローラは懐から、1枚の紙を取り出した。
それを半分に裂いて、何やら一筆したため、ナミに渡す。
「コレ、ママのビブルカード。特別にあげるわ。ナミゾウと私は
「紙?」
リスキー兄弟がナミの手元を覗き込む。
「おおっ、良かったな! ローラ船長のママはすげぇ海賊なんだぜ!」
「大事に持ってろよ? きっと役に立つぜ!」
ナミは眉をひそめて首を傾げる。
「ビブルカードって……何?」
「えっ、知らないの? ナミゾウ」
「ローラ船長、ビブルカードは新世界にしかねぇんスよ」
「あ、そうなの?」
……ローラはナミに、ビブルカードについて説明した。
「……ってワケだから、私はいつでも、ママの居る方角が分かるのよ。距離までは掴めないけどね」
話を聞いていたチョッパーが目を輝かせる。
「へぇ~! 不思議だなァ! そんなんいっぱいあるのか新世界って! なぁティオ!?」
「(コクン) …しんせかい、だけ、の、ぎじゅつ、たくさん、ある」
「うは~っ!」
「ナミゾウに渡したそのカード、私のサインを入れてあるから。いつか何かに困ったら、それを辿ってママに会うといいわ。そのときは、私も元気でやってたって伝えてね?」
そこに、ルフィが歩み寄ってくる。
「俺、それ1枚持ってるかもな」
「あ、うん。私も今そう思ったの。前にアンタがエースから貰った白い紙、このビブルカードってやつなんじゃない?」
ルフィは、ナミが麦わら帽子のリボンに縫い付けてくれた紙を、取り出す。
「そう言う意味だったのか、コレ。……あり? ちょっと焦げて小さくなってるぞ?」
ルフィの手の上で小さく動く、焦げた紙を見下ろし、ローラとリスキー兄弟は青ざめた。
「「あーっ!」」
「ちょっとアンタ! それ見せて!」
「ん? おう」
ローラは、ルフィから紙を受け取って、まじまじと見つめた。
「……これは確かにビブルカード。……でも、まだ言ってなかったけど、この紙は、持ち主の生命力も啓示するの。これ、アンタの大事な人のものなんでしょ?」
「あぁ! 俺の兄ちゃんだ! にししっ」
「……気の毒だけど、この人の命、もう消えかかってるわ!」
「え……」
「何が起こっているのかは分からないけど、生命力が弱ってる。……もし近くに居るなら、会いに行くべきよ」
ローラはルフィに、カードを返した。
「……」
ルフィは数秒、カードを見下ろすと、笑顔を浮かべて顔を上げる。
「そっか、ありがとな!」
そして、サニー号の方へ歩き出した。
「さ~て、お前ら! 準備はいいか? 出港するぞ!」
一味は、ルフィの背中を見つめて、仲間同士で視線を交わす。
そして、ルフィの後に続き、サニー号に乗船していった。