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3. ノックアップストリーム
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メリー号の修復と補強は夜通し続き、完了する頃には空が白み始めた。
補強終了から数時間後。
空島出発を前に、残るはルフィの帰りを待つのみとなっていた。
ティオも目を覚ます。
「~〜〜っ何やってるのよアイツったらもう!」
ナミが貧乏ゆすりをしながら、モックタウンの方角を見つめる。
「朝よ! 朝! 約束の時間からもう46分オーバーしてるわ! 海流に乗れなくなるわよ? 大体、帰りは金塊持ってるんだから重くて遅くなるでしょ! そういう計算できてないのよアイツの頭の中では!」
ウソップがジトっとした目をする。
「……いや、ハナから時間の計算なんかしてねぇと思うぞ?」
その隣で、タバコの煙を吹くサンジ。
「あぁ、100%な」
チョッパーは不安そうな顔をした。
「街でやられちゃったんじゃないかな……」
その言葉にウソップがぎょっとする。
「べ、ベラミーってやつにか!?」
「負けたらたとえ時間に間に合っても許さないわ!」
声を荒らげるナミをゾロが引き気味に見る。
「どうなんだよお前は」
……などと、口々にルフィのことを話していると、ティオがおもむろに森の方を指さした。
「きた」
「「「?」」」
「お~~~~~~~~~~いっ!!」
海岸線に、大きな袋を抱えて走ってくる少年が見える。
間違いなくルフィだ。
「やったぞ!」
何が"やった"なのか分からないが、サンジが叫ぶ。
「ルフィ! 急げ! 出航時間過ぎてるぞ!」
一味が切羽詰った表情を見せるのに対し、ルフィは満面の笑みで手を挙げる。
その手には……
「これ見ろ! ヘラクレス! 見つけんのに時間かかっちまった!」
「カブト虫!?」
「探してたのかよ!」
一味が驚愕しつつも呆れると、ルフィは一度足を止める。
その視線の先には、補強されたメリー号。
「うはぁ~っ! すっげぇなぁ!」
ウソップが長い鼻を高くして自慢げに言う。
「ゴーイングメリー号・フライングモデルだぜ!」
メリー号には、ニワトリのようなトサカと羽と尾がついていた。
「飛べそぉぉぉっ!」
「だろぉ? アイツらがやってくれたんだ!」
ウソップは猿山連合軍を指さす。
「あたし、あれ見ると不安になるわけよ……」
ナミの言葉にゾロも賛同した。
「まぁそうだな。ニワトリよりもハトの方がまだ飛べそうな……」
「それ以前の問題でしょ! 馬鹿ね!」
「さぁ船を出すぞ! 準備はいいか野郎共!」
「「「「ウッキーッ!」」」」
ナミの心配などよそに、男たちははしゃぎ回っていた。
"ゴトン……"
ルフィがクリケットの前に黄金を置く。
「……」
「……」
しばし沈黙が流れたが、やがてクリケットがタバコの煙を吹いた。
「ったく……早く船に乗れ。みすみす空島へ行くチャンスを逃しちまうぞ?」
「うん! 船ありがとな!」
クリケットはタバコを灰皿に押し込んだ。
「礼ならあいつらに言え」
言って、猿山連合軍を指さす。
ルフィは彼らの方を向いて、笑顔で右手を差し出した。
「ありがとなぁオメェら! このヘラクレスやるよ!」
「マジでか!」
「いいのかよ!」
「お前って奴ぁやっぱり……」
「「「いい奴じゃねぇか!!」」」
ルフィと猿山連合軍の絆は、さらに深まったようだ。
「とにかく船に乗れ! 間に合わねぇぞ!」
「俺たちが先導するからついてこい!」
「ルフィ! 急げ!」
「あぁ!」
ようやく、ルフィはひと飛びしてメリー号に乗り込んだ。
それを確認すると、航海士としてナミが声をかける。
「みんな! 船出すわよ!」
「よっしゃあ!」
「はぁ~いナミさん!」
碇が上げられ、メリー号は風を受けて進み始めた。
ウソップ、チョッパー、ルフィが空を見上げて目を輝かせる。
「うは~っ! いよいよだなぁ!」
「空島ってどんなとこなんだろな!」
「そりゃオメェ、天使とか神様とかいっぱいいんだろ!」
ルフィたちが騒いでいた、その頃。
「……」
ティオはじっと、メリー号の行く先を見つめていた。
青空の向こうには水平線。
東からの太陽の光できらめいている。
「……」
ティオの心の中は今、知らない感情でいっぱいだった。
「なにボケっとしてんだ?」
「あ、ばかのぞろ」
「テメェ、そろそろ本気で叩っ斬るぞ」
「……」
ティオは、ゾロを見上げていた視線を前方に戻す。
「……へん」
「あ? 何がだ?」
「ふね、なんども、のってる。……でも、こんな、たのしみなの、はじめて」
「……フン、そんなことかよ」
「?」
「楽しくなきゃ冒険じゃねぇだろうが。ここは海軍じゃねぇ。海賊船だぞ? ……それと、しばらくこの船にいるんなら腹括っとけよ? 自由なだけが海賊じゃねぇからな」
「……」
ティオは黙ってもう一度ゾロを見上げた。
ゾロは水平線の向こうを見ている。
「……どりょく、する」
そう言って、ティオもゾロと一緒に前方を向くのだった。