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30. 命を賭して
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島どころか、海さえも揺らして。
小さな空気の塊は、強大な爆風となり、消えた。
「……」
静かになった瓦礫の山の中心で、くまはただじっと、眠っているルフィを見下ろした。
その首を持ち帰ろうと、手を伸ばす。
すると……
"――――――シュダッ"
「!」
何かが飛び出してきた。
「[#ruby=獅子歌歌#
_ししそんそん#]!」
"ズバンッ!"
「ウ……」
飛び出してきたのは、ゾロだった。
鉄をも斬り裂く斬撃が、くまの左肩を斬り裂いてゆく。
"……ジ……ジジッ"
聞こえた音に、ゾロは嫌な予感がして振り向いた。
「なっ、機械!? てめぇ一体っ」
裂けたくまの服。
その下から覗いていたのは、機械仕掛けの肩だった。
「フランキーみてぇな
カパっと、くまの口が開いた。
「!?」
口の中に集まる、光。
"キュイィィ――――――ヒュッ"
"ズドォンッ!"
「ぉあ……っ」
飛んできた光線を、ゾロは紙一重で躱した。
疲労によりバランスを崩し、瓦礫の中へ倒れ込む。
「っ……はぁっ、はぁっ」
「
「……パシフィスタ?」
「開発者は、政府の天才科学者、Dr.ベガパンク。世界最大の頭脳を持つ男。奴の科学力は既に、これから人類が500年かけて到達する域に居ると言われている」
「……そんな体で……はぁっ……しかも能力者かよ……さらに希望を削がれた気分だ」
ゾロはその場に膝をついた。
「さすがに……俺の体も言う事きかねぇか。……どうしても、ルフィの首を取っていくのか」
「それが最大の譲歩だ」
「……」
ゾロはチラリと、眠っているルフィを見る。
そして、真っ直ぐにくまを見つめた。
「……分かった。首はやるよ。……ただし、身代わりの、この俺の命ひとつで勘弁してもらいてぇ!」
「……」
「まだ、大して名のある首とは言えねぇが、やがて世界一の剣豪になる男の首と思えば、取って不足はねぇはずだ」
「……そんな野心がありながら、この男に代わって、お前は死ねると言うのか」
「……そうするほか、今、一味を救う手立てがねぇ。船長ひとり守れねぇで、
ゾロは、キッと睨むようにくまを見上げる。
「ルフィは、海賊王になる男だ」
くまはじっと、ゾロを見下ろした。
すると……
「待て待てクソヤロー」
瓦礫の中から、もう1人立ち上がった。
「オメェが死んでどうすんだよ……はぁっ……テメェの野望はどうした……馬鹿野郎」
悪態をつきながら出てきたのは、サンジ。
「おう、デケェの。こんなマリモ剣士より、俺の命とっとけ」
「なっ、テメェ!」
「今はまだ、海軍は俺のことを軽視しちゃいるが、後々、この一味で最も厄介な存在になるのは、この、黒足のサンジだ。さぁ、いつでも来やがれ。こちとら、いつでも身代わりの覚悟はある。ここで死に花咲かせてやらァ!」
サンジは背後のゾロに言った。
「……オイ、みんなには、よろしく言っといてくれよ。[#ruby=悪#わり#]ィが、コックならまた探してく"ドスッ"
「!?」
突然の衝撃に、意識が混濁する。
ゾロがサンジのみぞおちに、刀の柄を叩き込んだのだ。
「ぐっ……て、めぇっ……」
"――――――ドサッ"
サンジはその場に倒れ込んだ。
ゾロは真っ直ぐに、くまと向かい合う。
「後生の頼みだ」
三本の刀を、全て投げ出す。
"カランカラン……"
くまはゾロの覚悟に、ため息をついた。
「……これで麦わらに手を出せば、恥をかくのは俺だな」
「……恩に着る」
「今から俺がやることを信じろ」
「!?」
くまは突然、ルフィを持ち上げた。
「心配するな。約束は守る。……その代わりお前には、地獄を見せる」
何をする気かと思えば、くまはルフィに手を当てた。
肉球に弾かれてか、ルフィの体から、肉球型の巨大な塊が出てくる。
「今、コイツの体から弾き飛ばしたモノは、痛み、そして疲労だ。モリアたちとの戦いで蓄積された、全てのダメージということになる」
「……」
「身代わりになると言うのなら、文字通り、お前がこの苦痛を受けろ。ただでさえ死にそうなお前が、これに耐えきることは不可能。死に至る」
「……」
「試してみろ」
くまはダメージの塊から、野球ボール大の球体を切り出し、ゾロへと放った。
それが体に入った瞬間……
"ドクンッ"
「ぐわああああああっ!!」
痛み、熱、重み、気持ちの悪さ。
想像を絶する苦しみが、体中を襲う。
「ゲホッ……はぁっ……はぁっ……」
ゾロは耐え切れず、その場に倒れ込んだ。
「どうだ。続けるか?」
「……場所だけ、変えさせてくれ」
そう吐き捨てて、震える膝に手を置き、何とか立ち上がる。
「いいだろう」
くまの誘導に従い、森の奥へと移動した。