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30. 命を賭して
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くまはゾロを見下ろした。
「なかなか評判が高いぞお前たち」
「?」
「麦わらのルフィの船には、腕の立つ出来た子分が数人いるとな」
「「「イヤイヤイヤイヤ……」」」
「1人残らず照れとる場合かァ!!」
「色々と騒ぎを起こしているんだ。知らず知らず名が揚がるのは、何も船長だけではない」
ウソップがゾロに向かって叫ぶ。
「おいゾロ! 待てって! 無茶だろ絶対! 骨の髄までボロボロじゃねぇかお前っ!」
対して、ゾロはニヤリと笑みを浮かべた。
「災難ってのはたたみ掛けんのが世の常だ。言い訳したら、どなたか助けてくれんのか? ここで死んだら俺は、ただそれだけの男」
こんな状況にも関わらず、ゾロは嬉々として刀を抜く。
「二刀流・居合い―――羅生門!」
"ズバンッ!"
「!」
手応えがまるで無い。
背後に居たはずのくまは、いつの間にか目の前に居た。
肉球のついた手が、振り下ろされる。
「くっ……」
ゾロは驚異的な反射速度で何とか躱した。
(あの手の軌道に入るのはヤベェなっ)
"ヒュッ、ボゴォンッ!"
くまの攻撃を何とか躱し、体勢を立て直す。
「はぁっ……はぁっ……」
息を切らせるゾロに、ウソップが叫んだ。
「見ろ言わんこっちゃねぇ! 何もしてねぇのに息が上がってる!」
しかし、それで退くゾロではない。
「三十六……
"ぷにっ……ザシュッ"
「!?」
……今何が起きたのか、その場の誰も理解できなかった。
ゾロが飛ばした斬撃は、肉球に弾かれ、瓦礫を斬り裂いた。
「俺は、ニキュニキュの実の肉球人間」
「「「にっ、肉球人間!?」」」
「何だそのなごやかさ!」
「悪魔の実に癒し系とかあんのか!?」
フランキーが顎に手を当てる。
「七武海だか慈悲深いだか知らねぇが、コイツ、もしかして、大したことねぇんじゃねぇ……"ボゴッ"
「「「フランキー!?」」」
先ほどのティオと同じように、フランキーは吹き飛ばされた。
くまは無表情で言い放つ。
「
ロビンは今の一撃を分析した。
「あれはもしかして、大気を弾いてるんじゃないかしら。普通の大砲は、フランキーには通じないはず……」
聞こえたのか、クマが答える。
「
くまは相撲取りのように構え、ゾロに相対した。
ゾロは今にも途切れそうな意識で、刀を強く握りしめる。
「つっぱり
「っ、
風に逆らわない柳の枝のように、ゾロは大量に飛んでくる肉球型の砲弾をよけた。
そして、くまに斬り込む。
「おらァ!」
"ぷにっ―――ドヒュッ、ガシャァン!"
「ぐあっ……」
くまの肉球に、刀が触れた途端、ゾロは瓦礫の山へと吹き飛ばされた。
「「「ゾロォ!!」」」
「刀を肉球で弾き返した!?」
ゾロは何とか身を起こす。
「はぁ……はぁ……ゲホッ」
ローリング海賊団のクルーたちは青ざめた。
「ダメだ! もうアイツ無理だって!」
「今まだ意識があるだけで奇跡だ!」
「あのオーズから死ぬほどの攻撃くらった後なんだぞ!」
ウソップがハッとして叫んだ。
「ゾロ! 後ろだ!」
「!」
いつの間にか、くまはゾロの後ろに居た。
ゾロに掌を向けている。
おそらく、ティオやフランキーを襲った攻撃が、来る。
「そこまでだ!」
ヒュッ、と、くまの背後に人影が現れた。
「
"ドゴォッ"
サンジの蹴りが、くまの顔面に決まった。
「うおおおっサンジー!」
「よくやった! 肉球で弾かれてねぇぞ! あの野郎、頭蓋骨なんかバキバキだ!」
"――――――ミシッ"
ゾロは舌打ちしてサンジを見上げた。
「てめぇ、余計なマネを……。……?」
「ぐ……ぅ……っ」
何だか、サンジの様子がおかしい。
"……ドサッ"
サンジは瓦礫の中に倒れ込んだ。
「うああ…っ」
呻きながら、くまに蹴りを入れた方の脚を押さえている。
くまは微動だにせず、サンジを見下ろした。
「黒足のサンジ……お前がそうか」
僅かに希望を抱いていたウソップが、再び青ざめる。
「サンジの蹴りでビクともしねぇだと!?」
サンジは痛みを堪え、くまを睨み上げた。
「何だっ、コイツの硬さっ、顔は鋼か!?」
恐怖に駆られたウソップは、パチンコを構える。
「ひっ、火の鳥星!」
鳥の形をした炎が、くまへと向かう。
「狙撃の王様、か……大それた通り名だ」
ぷにっと、火の鳥星は弾かれた。
ウソップに火がつく。
「うわああああっ」
「きゃあっ、ちょっと!」
「こっちも巻き添えええっ!?」
ウソップだけでなく、ナミやチョッパーも燃え始める。
くまは小さくため息をついた。
「やはり、これだけ弱り切ったお前たちを消したところで、何の面白みも無いな。政府の特命は、お前たちの完全抹殺だ。……が」
独り言のように呟きながら、両手を空にかざす。
"ボッ!"
空中に、肉球型の空気の塊が生まれた。
ナミが青ざめる。
「大気の塊が圧縮されてく……」
ロビンが焦りを押し殺して言った。
「あれほどの大気が元に戻ろうとすれば、とんでもない衝撃波を生む」
やっと火を消したウソップが跳び起きた。
「それって要するに爆弾じゃねぇか!」
やがて、空気の塊は、くまの掌に収まるほど小さくなった。
くまはその場の全員を見渡して、言う。
「お前たちの命は助けてやろう」
「「「「「 !? 」」」」」
「その代わり……麦わらのルフィの首一つ、俺に差し出せ」
「「「なっ……」」」
「そいつの首さえあれば、政府も文句は言うまい」
「……仲間を売れってのか」
「さァ、麦わらを渡せ」
麦わら一味は全員、額に血管を浮かび上がらせた。
ローリング海賊団も、全員立ち上がる。
そして……
「「断る!!」」
迷いなく叫んだ。
満場一致の宣言を、くまは無表情で見下ろす。
「残念だ」
開かれた、くまの両手。
その中には、野球のボール台に小さくなった空気の塊。
「
"ズドォンッ!"