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29. VSオーズ戦
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(さっきから建物が揺れてると思ったら、ルフィのゾンビが暴れてるせいだったのね……あの巨体でルフィの身体能力を持ってるとしたら、厄介だわ……)
色々と考えながら、建物の廊下をひた走る。
行き先は出口……ではない。
「……? あ、ティオ!」
ナミは、廊下の先から飛んでくる鳥を見つけた。
小さな濃紺の体。
間違いなく、ティオだ。
「なみ、ちゃん」
「良かった! 誰かと合流しなきゃって思ってたとこだったの!」
ボン、と音を立て、ティオは人の姿に戻り、ナミの前に降り立つ。
「てき、たおした、の?」
「フフフっ、もっちろん! あたしのクリマ・タクトで一発KOよ!」
(……さんじくん、の、おかげ、だ……)
そうは思うものの、口には出さないでおくことにした。
「ぶじ、なら、いい。はやく、みんな、と、ごうりゅう、しよ」
「いいえ、まだよ」
「?」
ティオは首を傾げ、まばたきを繰り返す。
ナミはビシっと廊下の先を指さして言った。
「この先に宝物庫があるわ!」
その自信満々な様子に、ティオは半目でため息をつく。
「これだけコワイ目に遭っといて、手ぶらで帰れますかってのよ。さぁティオ、手伝ってちょうだい!」
「……りょーかい」
走り出すナミに、ティオは仕方なしについて行った。
「ここを左で……あった!」
ナミは、屋敷の中でもひときわ大きな部屋の前に辿り着いた。
扉は開いている。
「あはっ、ラッキ~! 鍵が開いてるみた―――」
ベリーの目で部屋に飛び込もうとしたナミ。
……しかし、その足は自然と止まった。
「え……?」
部屋には、何も無かった。
宝石は勿論、小石一粒に至るまで、何も落ちていない。
ただ、カラの宝箱がいくつも転がっているだけ。
「……うそ、でしょ? どういうことよ……」
ナミは、キッと横目にティオを見下ろした。
「この部屋の記憶を読んで、今すぐ」
「……はい」
ティオはそそくさと部屋に入ってしゃがみ、床に手を置いた。
「……」
石造りの床から、記憶が流れ込む。
(……ぺろーな、と、ぞんび、たち)
ウソップにやられたはずのペローナと、生き残ったらしい動物ゾンビたちが、宝を運び出して行く様子がハッキリと見えた。
ティオは覇気を広げ、ペローナを探す。
「……さにー、ごう……」
「どう? 分かった?」
「(コクン) …こっち」
ティオはサニー号の方へと走り出した。
そして、走りながらナミに事情を説明する。
「何ですって!? 敵の幹部が、サニー号にお宝を積み込んでる!?」
「(コクン) …あきらめ、あせり。そんな、かんじょう、ばっかり。たぶん、ここから、だっしゅつ、する、つもり」
「ったく、生意気なっ、そんなこと絶対にさせないわ!」
ティオとナミは、屋敷を真っ直ぐに抜けて、橋を渡っていく。
「……あら? 何でこの橋、真ん中だけ細いの? しかも妙にキッチリしてるし……」
「るふぃ、の、ぞんび、はし、こわした。だから、ふらんきー、そくせき、つくった」
「それにしてはキッチリしすぎでしょ」
「てぬき、こうじ、は、やらん、て」
「……あらそう……」
"ズズゥンッ…"
「!?」
突然、地面が揺れた。
走りながら振り返れば、見たことのある巨体がひっくり返っている。
「……ねぇ、あれって……」
「(コクン) …るふぃ、の、ぞんび。いま、みんなが、ひっくり、かえした」
「……忘れよ……」
ルフィのゾンビも、それをひっくり返したという、化け物染みた仲間たちのことも……
橋を駆け抜け、2人はサニー号が停泊している港に辿り着いた。
門の上からサニー号を見下ろし、そこに群がっているゾンビたちに、ナミが声を張る。
「ちょっとアンタたち!」
ペローナと、その部下のゾンビたちが振り向いた。
「な、何だアイツらっ」
「あれは確か、アブサロム様の新婦……」
「やべぇぞっ、あのガキはペローナさまのゴーストを蹴り飛ばした奴だっ」
ナミはクリマ・タクトをビシっと向ける。
「私の(貰うはずの)財宝とサニー号を、どうするつもりかしら」
ペローナは焦り顔でゴーストを出した。
「あの女の方はともかく、ガキの方はヤベェな……」
ゴーストが効かない上に、とんでもなく素早い。
今ここにいるゾンビたちだけで、果たして対処できるか……
……と、そのとき。
「あれ、誰かしら……」
ナミは、ペローナの後ろに、いつの間にか大男が立っていたことに気づいた。
……何というか、ゾンビではなさそうだ。
「ねぇティオ、あんなゾンビいたっけ?」
訊きながら、隣を見下ろすと……
「……っ」
血の気が引き、限界まで目を見開いたティオの顔が、そこにあった。
「え、ちょっと、どうしたの……?」
ティオの頭の中では、けたたましい警告音が鳴り響いていた。
「逃げて下さいペローナ様!」
「こいつヤバイです!」
ゾンビたちが口々に叫ぶ。
「何者か知りませんが、敵です!」
「たった今、目の前で兄弟たちが跡形も無く消されちまって!」
「只者じゃねぇっす!」
振り返ったペローナは、これでもかと青ざめた。
「……そりゃオメェ、只者じゃねぇよ……」
思わず、その場に座り込む。
「王下七武海の1人、暴君、バーソロミュー・くまだ!」
王下七武海。
その言葉に、ナミの表情が強張る。
「ティオ、今の、七武海って……」
ティオは警戒に満ちた瞳で、じっとくまを見つめた。
「……しちぶかい、で、ゆいいつ、せいふに、ちゅうじつな、おとこ……もし、なにかの、しれい、うけて、きてたら……」
麦わら一味は、ついこの間、政府所有の司法の島を壊滅させたばかりだ。
政府から追手が出されても不思議ではない。
「うそでしょっ、そんな奴が何でっ、何でここにっ、何でこのタイミングで!」
ただでさえ、七武海のモリア相手に必死で戦っている最中だというのに。
「お前は、モリアの部下か?」
くまは、ペローナを見下ろして訊いた。
「ひっ……も、モリア様……いや、ゲッコー・モリアとはもう関係ねぇ! 私は今、この島から逃げ出すとこで……」
「旅行するなら、どこに行きたい?」
「……え?」
「「「ええええ!? 世間話!?」」」
「そ、そんなこと訊いて一体……。まぁでも、やっぱりバカンスなら、暗くて湿ってて、怨念渦巻く古城のほとりで、呪いの唄でも歌って過ごしたい」
「答えたァァ!?」
「お気を確かにペローナ様ァァ!」
「はっ、しまった、ついペースに乗せられちまったっ」
ペローナは臨戦態勢をとる。
「ふざけやがってっ、肩書きのデカさに呑まれるトコだった。……が、私の能力を持ってすりゃ、七武海だろうが恐るるに足りねぇ!」
そう豪語するペローナに対し、くまは持っていた本をペラペラとめくった。
「って、聞いてんのかよ!」
その余裕っぷりにカチンときて、ペローナはゴーストを放つ。
「ネガティブゴースト! & 特ホロ!」
ペローナの攻撃を見下ろし、くまはため息をひとつついた。
「そう噛みつかれては、モリアの居場所も聞き出せんな」
"ポシュン……"
―――文字通り、一瞬だった。
いつの間にか、ペローナの姿はどこにもなくなっていた。
ナミは唖然と目を見開く。
「え……あの子は?」
ティオが、冷静にじっとくまを見据えながら答えた。
「……とばされ、た。くらくて、しめってて、おんねん、うずまく、こじょうの、ほとり、まで」
「え……?」
残されたペローナの部下たちは大騒ぎ。
「ペ、ペローナ様ァァ!?」
「おいっ、どうなってんだ!」
「ペローナ様が消えたぞ!」
「テメェっ、我らがプリンセスにいったい何しやがった!」
「許さねぇ!」
「けど……っ」
「「「腐れ怖ええええっ!!」」」
ペローナの部下のゾンビたちは、くまの横を走り抜けて逃げていく。
しかし、くまはゾンビたちには目もくれず、ただ一方向を見つめていた。
「泥棒猫、だな? 麦わらの仲間の」
「!」
「そして、諜報員ティオ」
「……」
「お前なら、俺の求めている答えが分かるだろう」
ティオは、じっとくまを見据えたまま、背後の建物を指した。
「あの、たてもの、ちょうじょう、へや」
ティオが教えたのは、モリアの居場所だ。
先ほど、くまがペローナに発した言葉、『そう噛みつかれては、モリアの居場所も聞き出せんな』から、モリアの居場所が知りたいと分かっていたのだ。
そして、くまは、ティオが世界政府の元・特殊記録伝承者であることを知っている、数少ない政府関係者の1人。
ティオが卓越した見聞色の覇気使いであることも、もちろん知っている。
「噂通りだな」
「「!」」
気がつくと、くまの姿は、ナミとティオのすぐ傍にあった。
(うそ……っ、コイツいつの間にっ)
「つかぬことを訊くが、モンキー・D・ルフィに兄がいるというのは、本当か?」
「え……?」
ナミはまばたきを繰り返した。
ティオは僅かに目を細める。
……ガープの記憶を見たことがある手前、ルフィの幼少期はよく知っている。
だが、それを聞いて、いったい何がしたいのか……
……とりあえず、今のところ敵意は感じない。
「る、ルフィのお兄さんて、エースのことでしょ? それが何よ……」
ナミは恐怖を押さえ込み、毅然として教えてやった。
「……成程。本当だったか」
「なっ、何なのよ! ルフィに用!? 目的は何だっていうの! ……あれ?」
またしてもくまは、いつの間にか移動していた。
ティオから聞いた、モリアが居るという建物に向かって、スタスタ歩いて行く。
「ちょ、ちょっとアンタ「なみちゃん」
ティオが腕を伸ばし、ナミを制した。
「いま、くまの、ねらい、もりあ。こっち、に、てきい、かんじ、ない。へたに、てき、ふやさない、ほうが、いい」
「……そ、そうね…………分かったわ」
「まず、みんな、の、かげ、とりもどす」
「え、なに、影
「(コクン) …ぞろ、と、さんじくん、とられてる」
「なっ……よりにもよってあの3人……」
ナミは額に手を当て項垂れた。
「とりあえず、一旦サニー号に戻りましょ? あたし着替えたいし」
「(コクン)」