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28. 反撃開始
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「ティオ、離れとけ」
「(コクン)」
ティオはゾロの頭からピョンと跳んで、フランキーの肩に移った。
「ヨホホホホ……この黒刀『秋水』を私から奪うと?」
「正確には、お前の屍の横に落ちてる刀を貰う、だな」
「成程、威勢のよろしいことで、ヨホホホ」
ブルックが今にも気絶しそうな声で言う。
「あ、あまり挑発しない方が……」
リューマはゾロの腰の刀を見た。
「既に三本もお持ちのようですが?」
「あぁ。だが、一本折れてる。収まりが悪いんで、ぶら下げてるだけだ。俺は三刀流なんでな」
「三刀流? 聞いたことありませんな。曲芸ですか? ヨホホホホホッ」
「フン……今見せられねぇのが残念だ。その低い鼻っ柱でも折って見せるのによ」
「でしょうねぇ、お強そうだ……何やら記憶に無い感情が湧き上がってきますよ。何か巨大な生物と対峙したかのような、ゾクゾクする不思議な感覚。体が踊り出しそうだ」
"―――シュダッ"
"ヒュッ、ガキィンッ"
それは突然だった。
前触れもなくゾロがリューマに斬りかかり、刀同士が火花を散らす。
"ドゴゴゴゴゴッ!"
強大な力と力の衝突で、衝撃派が強風となって吹きつけ、床に亀裂が走った。
「ぅぉおおっ!?」
「ビックリしたーっ!」
ギチギチと鳴る刀。
「
「!」
勢いよくつき出された刀。
ゾロは紙一重で身を逸らし、
"ヒュッ、ドゴォッ"
フランキーたちの頭上で、壁に穴が開く。
「ぅぉおっ!? ピストルか!?」
「い、いえ、突きですっ、あの技、私がやってもあんなことになりませんけど!」
「さむらい、りゅーま、かつて、ごうけん、の、さむらい、いわれた」
「ご、ゴウケン? 壁に風穴空いたぞ……」
「豪剣の剣士は、鍛え上げた筋力による力技を得意とします。突きが飛ぶなんて、どれ程の筋力か……」
「ごうけん、たいぷ、りゅーま、だけじゃ、ない」
「「?」」
"ピシッ、ドゴォッ"
リューマの背後の壁に、斬撃が入った。
ゾロの放った一撃だ。
「ヨホホホホ、指し分けですな」
フランキーは目を飛び出させる。
「んなっ、ゾロの奴いつの間にっ」
「りゅーま、と、ほぼ、どうじ」
「あの人の斬撃も飛ぶんですか……今の一撃を見る限り、2人は剣士として、同程度の筋力を持っているのかもしれない」
「筋力が同じだとどうなるんだ?」
「同系統の破壊力を持っているということですから、勝負が長引くことはないでしょう」
"シュッ―――"
「
"ガキンッ、ギギンッ"
(チッ…武器折りの技かっ)
「
"キィンッ"
「
"ズガァンッ"
「
「二刀流・
"ズゴゴゴゴッ!"
「ぅぉあっ!? 部屋が真っ二つに!?」
両者の放った斬撃が、部屋をズタズタに斬り裂いた。
「柱折れちまってるじゃねぇか! この部屋潰れるぞ! おいっゾロ"ガキンッ"
一旦退いた方がいいと進言しようとしたフランキーだったが、ゾロはリューマと剣を交えており、全く聞いていない。
ティオが、もふもふと前足でフランキーの頬を叩いた。
「ぞろ、なら、へいき。はやく、だしゅつ」
「……分かった、オメェらしっかり掴まってろよ? ウェポンズレフト!」
"ドゴォッ"
真上の屋根を撃ち破って、外に出る。
「は~~ぁ……危なかった」
"タタタタタッ"
「ァン?」
足音に振り返れば、三角屋根の頂点まで駆け登る2人の姿。
"ヒュォッ、ガキィンッ"
屋根の頂点で剣を交え、間合いを取っては、再び屋根を駆け抜けて剣を交える。
ブルックは唖然として、2人の戦いを見つめた。
「こ、こんな足場で、よく……」
……そんな足場を駆け抜けながら、ゾロは荒い呼吸を繰り返していた。
(厄介だな。長引くと刀が折られちまいそうだ……伝説の剣士の強さを支えた肉体と気迫は、まさに本物)
"ガキンッ……シュタッ"
2人は一呼吸置くように、間合いを取った。
両者とも、相手は屋根の反対側。
「……」
「……」
"ヒュッ――――――ズバンッ"
先に動いたのはリューマだった。
反対側に居るゾロ目掛けて、横一文字の斬撃を放つ。
その一撃で、屋根は両断された。
ゾロはその一撃を感じ取り、屋根に刀を突き刺す。
"ザクッ"
その刀に掴まって身を浮かすと、斬撃はゾロの足元を抜けていった。
ゾロは刺していた刀を素早く抜き、一気に屋根の頂点まで駆け登る。
「一刀流・
構え、リューマ目掛けて飛び込む。
大技が来ると感じ取ったリューマは、自身もゾロ目掛けて跳んだ。
「鼻唄三丁……」
「
「ぐっ……!?」
ゾロの一撃が、リューマの腹部に決まる。
その斬り口から、青い炎が吹き出した。
(斬り口から発火!?)
青い炎は、瞬く間にリューマの体全体に燃え広がった。
対して、ゾロは。
"ヒュウウゥゥ………ドゴォッ"
屋根の出っ張り部分に落下する。
「はぁ……はぁ……」
緊張の糸が解け、疲労感が一気に襲った。
リューマは、燃える自分をしばし見つめてから、屋根に大の字になったゾロを見下ろす。
(……敗けた)
そして、秋水を鞘に収めた。
「かつて伝説の侍が腰にした名刀『秋水』。あなたが主人であるなら、この刀も本望でしょう」
フランキーは眉を顰める。
「今アイツ、何か言わなかったか?」
「えぇ。どうやら、決着のようです。……こんな戦い、私初めて見ました……あの侍、私になんか全く本気じゃなかったんだっ」
ゾロはじっとリューマを見上げた。
ふわりと、刀が落とされる。
"パシッ……"
ゾロは刀を受け取った。
「この侍の体に、敗北を与えてしまうとは……心苦しい……」
「……恥じる気持ちがありゃ充分。心身共にあってこその剣士だ。……お前が生きた時代に会いたかったよ」
「……フフ」
最後に笑みを残して、リューマは倒れた。
"ひゅるるる……"
リューマの体から、ブルックの影が抜け、持ち主の元へ帰ってきた。
「ヨホッ!? 戻った! 戻りました!」
ブルックはピョンピョン跳ね回る。
「見て下さい! 私の影! ほら! 私と同じ動きを! ね!」
フランキーは呆れ顔を向けた。
「あたりめーだろ。オメェの影なんだから」
「むっ、アナタには分からないでしょうけれども!? やっと本当の自分を取り戻すことが出来たっていうか!」
「あーあー分ぁった分ぁった」
ゾロは、受け取った秋水を鞘から抜き、軽く振ってみる。
「重いな……いい刀だ。有り難く貰っておくぜ。……だが、勝負は無かったことにしよう、ワノ国の侍」