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28. 反撃開始
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「ぅ……けほっ」
背中に、鋭い痛みを感じた。
後ろを見下ろせば、自分のゾンビの爪が、背中に刺さっている。
「…ぅ……く…っ」
ティオは咄嗟に跳び、ゾンビから離れる。
……白いワンピースに、赤い染みが広がった。
ゾンビ・ぐだピョンは、眠そうな顔でじっとティオを見据える。
……おそらく、マリオと影が完全に馴染み、敵の支配下に下ったのだろう。
(……あのまま、ねてて、くれれば)
襲ってくるゾンビたちを全て倒した後で、ゆっくり自分の影を取り戻す算段だったのに。
(……しかも、やっかい、な、からだ、いれられてる)
腕のリーチが長く、爪も鋭いナマケモノと、脚力に跳躍力もあるウサギの組み合わせ。
まるで、ティオの指銃と剃を強化させんがために作られたかのようだ。
「おっ、あの新入りやるなぁ」
「俺たちはペローナ様の援護に向かおうぜ」
「「「おう!」」」
残っていた数体の動物ゾンビたちが、打倒ウソップに動き出す。
(……がんばれ、うそっぷ)
きっとしばらくは援護に行けない。
「
「!」
"シュッ―――ガッ!"
ぐだピョンとティオの蹴りが交わった。
軽い衝撃波で、空気が震える。
"ヒュッ、ドガガッ、シュッ、ガキンッ"
両者はほぼ互角の戦いを見せた。
身体能力的にはぐだピョンが上だが、ティオは足りない分を覇気で補っている。
"ドガッ、ヒュヒュッ、ズガガガガッ"
(……どう、するっ)
このまま続けていたら、疲労を感じるティオの方が不利だ。
"シュッ、ドッ、バシッ、ドゴゴッ"
何とか塩を食わせてしまえば……
……だが、ウサギの足を持つ相手の方が速度は上。
今は見聞色の覇気で動きを読みながら何とかついていっているが、防御以上のことをする余裕は無い。
(……なら、せいしん、こうげき?)
何かで気を逸らすことは出来ないだろうか。
一瞬でも隙が出来れば、塩を口にねじ込むことが出来る。
(てぃお、なら、なにに……)
自分なら何に反応するか。
きっと目の前のゾンビも、同じものに反応するはずだ。
"ヒュッ、ドガッ、ドガガガガガガッ"
(……さんじ、くん、の、ちょこれーと、どーなつ、くらい、だ……)
ティオは、自分で考えておきながら、自分に落胆した。
……まるで肉に反応するルフィではないか。
(とにかく、ふかのう。きゃっか)
今ここにサンジはいない。
いたとしても、材料も調理場もない。
"ヒュォッ、ガガガッ、バシッ、ドガガッ"
「……あ」
1つ、ひらめいた。
(こいつ、は、あたま、どうぶつ……)
100%とは言えないが、ぐだピョンの動きを止める一手を思いついた。
「……っ、はっ!」
"バシバシッ"
「くきゅ……っ」
渾身の力で、ぐだピョンの両腕を弾く。
そして、頭を両手で掴んだ。
「っ、はな、せ!」
"ドスッ"
「ぅ……っ」
ウサギ足にみぞおちを蹴られる。
こうやって的確に急所を狙ってくるところは、つくづく自分に似ていると感じた。
けれど、手は離さない。
「きおく、の、うみ、しずめ!」
"ズォォオオオアア!"
「ぴぎっ、ぎぁあっ、が、ぁあああっ!」
ぐだピョンはガクガク身を震わせ、白目を向く。
ティオが、自分の頭の中の記憶を、400年分ほど流し込んだのだ。
元から記憶力に長け、脳内の情報処理を鍛えたティオだからこそ耐えられる情報の波。
普通の人間でさえ発狂するものを、ナマケモノの脳が許容し切れるわけがない。
「ぎぁ……っ」
"ドサッ…"
ぐだピョンは動かなくなった。
「……はぁっ……はぁっ……」
記憶を流し込む行為は、ティオ自身も同じ記憶を見ることになるため、少々頭が疲れる。
「……もどって、こい、かげっ」
グイっと、ティオはぐだピョンの口に、ウソップ製の塩玉を突っ込んだ。
「ぅぐ、あぁ……」
黒いものがにゅるにゅる出てきて、スイっと自分の足元へ飛んでくる。
「……ん、もどった……。……はぁ……」
ドサッと、その場に座り込む。
周りに敵は居ないし、一旦休憩だ。
「……っ」
背中の傷は痛むが、ナマケモノの爪が短かったのが幸いした。
傷は小さく、血も止まりかけている。
きっと、内臓は傷ついていない。
(……あ。うそっぷ……たおせた、んだ……)
覇気を広げてみれば、ペローナの気配が薄くなっている。
そして、いつになく上機嫌なウソップの感情が感じられた。
「……あれ。ぞろ、はぐれて、る」
ブルック救出に向かったはずの、ゾロとフランキー。
しかし2人はバラバラで、ゾロは同じ場所をぐるぐる走り回っている。
……これは一度、迎えに行かなければならないだろう。
(とりあえず、うそっぷ、に、ひとこと)
まだ近くにゾンビがいるから気をつけろと声を掛けてから、ゾロたちの方へ合流しよう。
"ボンッ"
鳥の姿に変身すると、ティオはまっすぐ、ウソップの元へ飛んだ。
「かんらかんらうっしっし~! 勝てた~! いや~アイツら驚くだろうな~。……んん? おぉ、ティオ!」
意気揚々と通路を歩いていたウソップは、正面から飛んでくる小さな鳥に気づいた。
「へへ~ん、遅かったじゃねぇかティオ~。俺様ならついさっき、たった1人でぇ、あのホロホロ女を倒したとこだぁ~! あれが幹部なんて呆れるよな~ぁ全く~! あっはっはっはっはっ!」
「はい、はい。てぃお、ぞろ、の、むかえ、いく、から。……ここ、まだ、ぞんび、いる。きをつけて」
「はっはっは……はぁっ!?」
"バサッ"
ティオはそのままUターンして、ブルック援護班の方へ向かった。
「ちょちょちょい待てティオ! ゾンビは全部引き受けてくれたんじゃねぇのかよぉぉ!」
「のこり、どうせ、ざこ。がんば」
「ええええっ!? 丸投げぇぇぇっ!?」
……しばらく、ペローナの部屋付近では、ネガティブキングの嘆きが響き渡っていた。