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28. 反撃開始
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ブルック援護班とナミ救出班は、建物内に入り、薄暗い通路を走っていた。
「この、さき、かんぶ、ひとり、ぞんび、たくさん。きをつけて」
「了解だ、ティオちゃん」
「相変わらず便利だなァ、オメェのその力」
「た、頼むぞォお前ら! 俺を守ってくれ!」
「お前も戦えよ……」
通路の先に明かりが見えてくる。
一行は戦闘に備えて身構え、踏み込んだ。
「ん、何だこの部屋」
「随分とチャラチャラしてんな……」
踏み込んだ部屋には、ファンシーなグッズがちりばめられ、レースの天蓋が付いたベッドがあった。
いかにも女の子の部屋といった感じだ。
「ホロホロホロホロホロホロ」
「「「「 ! 」」」」
突然聞こえた笑い声に、ゾロ、サンジ、フランキーは身構え、ウソップは一番後ろに身を隠した。
「ホロホロホロ、階段と橋で、お前ら全員ゾンビの餌食にしてやるつもりだったのに、まさか、オーズが降ってくるとは……とんだ邪魔が入ったもんだ」
ピンクの長いツインテールに、くりっとした瞳。
背後には、見覚えのあるゴーストが浮遊している。
「あのゴースト……ホロホロの実、だったか? あれだけはヤベェな」
表情に焦りを浮かべる一行。
それを見越し、ペローナは笑った。
「ホロホロホロホロ、既にテメェらは、このゴーストの恐ろしさをよく知ってるはずだ」
ペローナの手から、無数のゴーストが溢れてくる。
「ここまでよく登ってきたが、テメェら全員ここまでだ」
サンジが表情を歪める。
「あのクソ
「ンなこと言ってる場合か! アレをくらったら全滅だぞ!」
「逃げろォォ!」
ペローナはニヤリと笑む。
「もう遅い。ネガティブホロウ!」
4体のゴーストが、一行を襲った。
"スル~"
途端、全員その場に膝をつく。
「サバ以下だ……俺という存在は……」
「ノラ犬などに……踏まれたいっ」
「……皆さんと同じ大地を歩いて、すいません……」
「お、終わった、何もかも……」
ペローナは、背後に控えるゾンビたちに命令した。
「捕えろ!」
「「「ヘイ! うおおおおおっ!!」」」
ゾンビたちは一斉に襲い掛かる。
「ホロホロホロ、あっけねぇな。……あとは上の奴らか」
ルフィ、チョッパー、ロビンが、モリアの元へ向かっているのは、ゴーストの偵察で既に知っていた。
ペローナは踵を返し、そちらの対処をしに行こうとする。
……が。
「乱れ撃ち"
"ヒュヒュヒュヒュヒュッ!"
「なっ、誰だ!」
突如聞こえた声に振り返れば、手下のゾンビたちが呻いていた。
「う、うぅっ」
「ぐぁぁ……っ」
やがて、ゾンビたちの口が開き、影が抜けていく。
「ウチのクルーに、手出しはさせねぇ!」
ペローナの目の前に立ちはだかった、1人の男。
そう、勇敢なる海の戦士、ウソップだ。
「て、テメェ、さてはくらったフリをしてやがったんだな? 今度は確実に仕留めてやる! ネガティブホロウ!」
"スル~"
「んぐぐっ…………ぬんっ!」
「なっ、テメェ何故膝をつかねぇ! ゴーストは当たったぞ!?」
「フン……俺の名は、キャプテン・ウソップ」
「野郎っ、一体どんな手を使って……」
「どんな手も何も、俺は元から、ネガティブだ!」
「え……えええええっ!?」
……まさか、そんなことがあるのか?
「ぺ、ペローナ様のゴーストを……」
「弾いた……」
ペローナはよろりとその場に膝をつく。
(……人は生きてる、ただそれだけで、前を向いてるはずなのにっ)
思わず、じわりと涙が浮かび、言葉が滑り落ちた。
「頑張れ……」
ウソップは首を傾げる。
「な、何だ……?」
ペローナの部下のゾンビたちも、一緒になって応援を始めた。
「「「頑張れ! 頑張れ!」」」
「励ますな俺を!」
ウソップは、背後で膝をついている仲間の方を振り返る。
「さぁ目を覚ませテメェら! 早くナミとブルックの救出に向かえ!」
ゾロ、サンジ、フランキーは、唖然として顔を上げる。
「お前らじゃ、あの女には敵わねぇ。アイツは、俺が引き受けた!」
いつものヘタレた姿からは想像もつかない、何とも頼もしい背中。
「お、オメェ……」
「何だ、この頼れる感じっ」
「お前、効かなかったのか……?」
「だが! 周りのゾンビ共は片づけてから行け! そいつらに俺は勝てねぇ! きっと死ぬ!」
「よし! ここは全部任せたぞ!」
3人は一気に駆け出した。
「え!? あっ、ちがっ、違う! ちょっと待て! 待ってぇぇぇ!!」
"コツ―――"
「ひっ」
背後に聞こえた靴音。
振り返れば、ペローナとゾンビの大群が迫っていた。
その頃、先へ進んだ3人は……
「ふう、危ねぇ……ウソップのネガティブに救われたな」
「あァ。……あのゴーストだけはどうしようもねぇからな……ん? おい、ゾロの奴どこ行った?」
「は?」
フランキーの声に振り返り、立ち止まるサンジ。
振り返れば、そこに緑頭の剣士はいない。
フランキーがサングラスを引き上げる。
「確かアイツ、相当な方向音痴だったよな。また迷ってんじゃねぇのか?」
「いや、今はティオちゃんがついてる。そんなはずは……」
……なんて話していると、少し前に通った十字路を、横切っていく人影があった。
「ったく、アイツらどこ行きやがったんだ? 毎度毎度はぐれやがって」
キョロキョロと辺りを見回しているその人影は、紛れもなく、緑頭の三刀流剣士。
「チッ……あの野郎。一体何してやがる」
「ん、おい、ティオが乗ってねぇぞ」
「あ? ……ホントだな。一体どこ行っちまったんだ?」
キョロキョロしていたゾロは、やがてサンジとフランキーを見つける。
「あ、お前ら、一体どこ行ってやがった」
「そりゃこっちの台詞だ迷子マリモ! ……それより、ティオちゃんはどうした」
「アイツなら、自分のゾンビに塩食わせるっつって、ウソップんとこに残った」
「へぇ、見つけたのか。……あぁ、そうか、ティオちゃんもあのゴースト効かねぇんだったな」
3人は道の先へ走り出した。
ゾロがまた迷わないよう、フランキーが一番後ろを走る。
「そういや、ティオの奴ァ何でゴーストに
「さぁなぁ。コツが要るとか何とか言ってたが……」
ゾロは、空島での一件を思い出した。
「そういや、空島でエネルと戦ったとき、アイツ、エネルに攻撃を当ててやがったな」
サンジが目を見開く。
「マジか、その話」
フランキーは眉を顰めた。
「空島? エネル?」
サンジが簡単に説明する。
「空島は、上空7000メートルから1万メートルにある、雲の上の島だ。エネルは、ゴロゴロの実っつー、
「なっ、はぁ!? 雲の上!? ……ぇ、で、オメェら、その雷の奴、倒してきたのか?」
「あぁ。ルフィがな。アイツはゴムだから、世界で唯一、エネルに対抗できる能力者だったわけだ。……だが俺たちは、誰一人、アイツに敵わなかった」
「ま、まァそりゃ、雷じゃなァ……」
「どんな攻撃も、アイツの体をすり抜けるだけだった。……なのに、」
「ティオは、ゴムでもねぇのに、攻撃を当てられたってことか……」
「そういうことだ」
フランキーは、今までに見てきたティオを思い返した。
「元、世界政府の伝承者だか何だかで、自称世界一の物知り……動物に変身する能力を持ち、島1つ分の索敵能力に、あらゆるものの感情や記憶を読み取る能力もある、か……。謎だらけだな」
サンジはタバコの煙を吹く。
……先ほど、ウソップが能力について言及した時の、ティオの無表情を思い出した。
ゾロがフンと鼻を鳴らす。
「別に正体なんざどうでもいいだろ。アイツは、俺たちが夢半ばで倒れるとき、共に笑って死ぬと豪語したんだ。その覚悟さえありゃ十分だ」
フランキーはニヤリと口角を上げた。
「確かにありゃァ、立派な決意表明だった」
サンジが機嫌悪そうに眉頭を寄せる。
「分ぁってんだよンな当たり前のこと。いちいち言うなアホマリモ」
「ぁあ!? 闘んのかバカコック!」
「上等だこの天然記念物!」
「真っ二つにすんぞ渦巻き眉毛!」
「……オメェらも相変わらずだなァ」
口喧嘩しながら走る2人のあとを、フランキーはため息混じりについていった。
しばらくすると、ゾロとサンジの喧嘩のほとぼりも冷めてきた。
3人は、ティオに案内された通りの道を突き進む。
ちょうど、ペローナの部屋とホグバックの屋敷を繋ぐ、空中庭園に差し掛かった。
「しっかし、ホロホロの実か……恐ろしい能力があったもんだ」
フランキーの言葉に、ゾロも賛同する。
「実際、ウソップのネガティブと、ティオの妙な能力が無けりゃ、一味全員全滅してたかもしれねぇな」
「……おい」
「「?」」
低い声に振り返れば、サンジが黒いオーラを纏っている。
「俺はそろそろ別れて、ナミさんの救出に向かうぜ」
「あァ、しっかりやれよ?」
「たりめーだ、俺は恋の狐火っ、んナァミすわぁぁぁん! 嫁にはやらんぞぉぉぉっ!!」
サンジは、空中庭園の端から飛び降りた。
それを、ゾロが引き気味に見る。
「飛んだよ……ここ結構高けぇんじゃねぇのか?」
「まァ、人間テンション上がると、痛みも薄れると言うからなァ。とにかく、俺たちは目の前の屋敷の最上階だ! そこに、あのガイコツがいる!」
「あぁ」
「……って、言ってる傍からどこ行ってんだテメェ!」
……果たして、ブルック援護班は無事、目的地に辿り着けるのだろうか……