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27. スリラーバーク
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老人たちと別れた一味は、再びティオの指す方向へと歩き出した。
「んぁ? 何かでっけぇ建物見えてきたぞ?」
「あの、やしき、なか、なみちゃんたち、いる。……こわがってる、の、かんじる」
「なっ、まさか襲われてるんじゃっ」
「かも、しれない」
「んナミすゎ~ん! 今助けるからね~!」
「るっせぇなァグル眉コック」
「ぁあ!?」
"――――――ポツ"
突然、ルフィの麦わら帽子に一滴の水が落ちてきた。
「ん、雨か?」
"ポツ、ポツ………サァー……"
雨はすぐに本降りになる。
「……ぷしっ」
ティオはくしゃみをして、動物のように頭を振った。
ロビンがその頭に手を乗せる。
「とりあえず、入りましょう?」
ルフィが屋敷の門に手を掛けた。
「そだな。行くぞ、お化け屋敷! にっしっしっし!」
「ったくどこまで冒険気分なんだテメェは! ナミさんの身を一番に心配しろっつってんだろうが!」
「オメーは他の2人も心配しろっての……」
一味は、いかにも怪しい屋敷の中へ足を踏み入れた。
「ごめんくださーい! お邪魔しまーす!」
「いや早ぇよ」
普通は家主の返事を待つものだろう。
"ガチャガチャッ"
「んぁ、この扉、鍵が……」
"ガタガタガタッ、バキッ"
「おぉ、開いた開いた! お邪魔しまーす!」
ゾロが呆れる。
「開いたじゃねぇだろ……」
……いつものことなので、一味は揃って中に入る。
「お~い! ゲッコー・モリア~! とっとと出てこ~い!」
エントランスは広かった。
20人前後でならパーティも開けそうだ。
明かりは、ロウソクを10本刺すタイプのシャンデリアが1つ。
壁には一面に絵画が掛けられ、上品な風体。
……だが、シャンデリアのロウソクは3本しか刺さっておらず、家具はめちゃくちゃに散らばっていた。
「何だ? この乱闘の後みてぇな有り様は」
「……3にん、たたかった、みたい」
「「「?」」」
振り返れば、ティオが床に手をついている。
おそらく床の記憶を読み取ったのだ。
「このへや、え、も、しきものも、ぜんぶ、ぞんび。3にん、おそわれた、みたい」
「ゾンビぃ?」
ルフィは部屋中の絵画を見回した。
すると……
「ブヒヒヒィ」
壁に掛けられた豚が笑った。
「あ、壁からブタが生えてる」
「アホか。掛け飾りだろどう見ても」
「ブヒヒ、まさかご主人様の名を知っても、ここに乗り込んでくる馬鹿がいるとはなァ。……さぁ、歓迎してやれ!」
豚が指令を出すと……
「「「ウアアアアッ!」」」
絵画や敷き物のクマが動き始めた。
「はぁ……何でもアリかこの島は」
「無機物まで生物のように動かせるなんて、とても便利な能力ね」
「冷静に分析してる場合かよ……」
「ゲヘヘヘヘッ! もらったァ"ドカッ"
ロビンに襲い掛かった絵画に、サンジが蹴りを決める。
「……テメェらロビンちゃんに何しようとしてくれてんだ……。まさかナミさんにも同じことしたんじゃねぇだろうな!」
"ドゴゴゴゴッ"
一気に数枚の絵画が蹴り飛ばされる。
「ウアアアアアッ!」
女の絵画が1枚、ロビンに襲いかかった。
「大口開けてはしたないわよ? せっかく綺麗なのに」
「えっ、本当~?」
「でも、額縁から出たら台無し。ツイスト」
"グキキキキッ"
「ぎゃあああああっ!」
"ガッ、パキンッ"
「なっ、何だコイツの体っ、槍が折れた!」
フランキーに襲いかかった絵画たちが、青ざめる。
「お前ら、あの弱ぇ奴らの仲間なんじゃ……」
「イエ~ス」
"ガコンッ"
「「ぶぐあっ」」
「おらおら怖がれお嬢ちゃぁぁん!」
ティオを子供とみなしたのか、絵画が変顔をする。
「……」
「げへへへっ、べろべろばぁ~~!」
「……」
「げへへへっ、げへっ、ばぁ~~!」
「……」
「げへっ、げへへ………あのー……えっと……」
「ばか」
"ヒュッ、グキッ"
「げべぼっ」
「「「ウガアアアアッ!」」」
「三刀流……
「にぎりぃ? 寿司か! うまそ~!」
「
"ズババババッ"
「マズかったぁっ、おえぇぇっ」
「にっしっしっしっしっ、ホントに面白れぇなぁこの島~!」
「待ぁてコルァァァ!」
笑いながら駆け回るルフィを、クマと思しき敷物が追いかける。
「ひゃっはっはっはっはっ!」
「ウアアアアアアッ!」
「俺たちの邪魔しなきゃ、仲良くやれたのにな! ……ゴムゴムの、バズーカ!」
"ドゴォッ"
「ぶぐぁっ」
1分も経たないうちに、部屋のゾンビたちは全員伸されてしまった。
ひとり残された豚は、カタカタ震える。
「し、敷きグマまで……っ」
ルフィは手を伸ばし、豚を降ろした。
「あ、えっと、あの3人なら今、寝室でぐっすり眠ってる! 良かったな! 安全だ!」
「ンなわけねぇだろ」
「ホントだってブヒヒィィ!」
ティオが、豚の額をコツンと小突く。
「てぃおに、うそ、つうじない」
「ブヒッ!?」
「おい、ちょっと待て」
「「「?」」」
フランキーの声に、一味は振り返る。
「サンジの奴、どこ行った?」
言われて見渡してみれば、確かにサンジがいない。
「クスクス……」
「おい笑うな、聞こえる……クスス」
ゾロが眉をひそめた。
「いつの間にか何かしやがったなこりゃ。……ティオ、どこにいる、あのアホ」
「ん。この、ほうこう。ちょくせん、きょり、82めーとる」
ティオが指さしたのは、部屋の斜め上。
ロビンがその方向をじっと見つめる。
「天井の裏に、隠し通路でもあるのかしら」
「(コクン) …たぶん。さんじくん、の、ちかくに、ぞんび、4たい。きぜつ、は、してない、から、しばられて、はこばれてる、かのうせい、たかい」
「ブヒッ、何故そこまでっ」
「図星か」
「てぃお、さんじくん、むかえ、いく。3にんは、このかいだん、のぼって、まっすぐ。この、ぶた、あんない、つかうといい」
「分かったわ。気をつけてね?」
「(コクン) …みんな、も」
"シュッ"
ティオは
「んじゃまぁ、行くか」
「クスクス……行け行け」
「ご主人様には手も足も出ないだろうがなぁ」
「はぁ……ゴチャゴチャうるせぇな」
ルフィが絵画ゾンビたちに宣言する。
「そのモリアってバカに言っとけ。俺の仲間に手ぇ出したら、この島ごとぶっ飛ばすってな」
「「「ひいいいぃぃぃ……」」」
「行くぞ」
「「あぁ」」
フランキーが豚を持ち、一味は屋敷の奥へと続く階段を上っていく。
「ブ、ブヒッ、ホントに連れてくのか! おい何とか言え! おい!」
豚の声に、誰一人、答えることは無かった。