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27. スリラーバーク
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暗い森をしばらく歩くと……
「ぉお! 広~い墓場に出たぞ~! 雰囲気あるな~!」
広大な墓地に出てきた。
「よーし、ここで弁当食おう!」
満面の笑みでお腹を鳴らすルフィに、サンジが眉を潜める。
「バーカ! こんなとこで食ったらメシがマズくなるわ!」
「いいや! ここで食う! メシがマズくなったことなんて一度もねぇ!」
「そりゃお前だけだろ! つーかメシ食ってる暇もねぇんだよ! 急いでんだぞ俺たちは!」
"ウウゥゥ……"
「「「 ? 」」」
小さな唸り声が聞こえて、全員、声のする方へ振り返った。
"ボゴゴ……"
「ア"ア"ア"ア"ア"ア"……」
土が盛り上がり、包帯だらけの男が這い出てくる。
血色が悪すぎるところを見ると、生きてはいないようだ。
「……」
ルフィはポカンと、男が這い出てくるのを見ていた。
「んー」
やがて、持っていた網をその場に置き、男に歩み寄って……
「っしょ、と」
"ギュギュギュ…ッ"
再び土の中へ埋め戻そうとする。
「って帰るか! アホんだれ!」
"ボゴォッ!"
埋められかけていた男は、勢い良く飛び出した。
「……」
「……お、おい、何か言えよ」
「大怪我した年寄り?」
ゾロ、サンジ、フランキーは思わず叫んだ。
「「「ゾンビだろ! どう見ても!」」」
「くそっ、ナメやがって!」
"ボゴッ、ボゴォッ!"
「うおおおおっ!」
「うああああっ!」
「ホォアチョ~!」
墓場のそこかしこから、ゾンビが一斉に飛び出してきた。
サンジは呆れ顔でタバコの煙を吹く。
「こんな生き生きしてるもんなのか? ゾンビってーのは」
「なかみ、ふつうの、にんげんの、かげ、だから」
「つってもよ……」
テンションが高すぎるような……
「ゾンビの危険度、教えてやれぇぇ!」
「「「うおおおおおっ!!」」」
ゾンビたちが一斉に向かってくる。
ルフィはニヤリと笑んで、パキポキと拳を鳴らした。
「何だ、闘んのか? 危険度なら、こっちも教えてやる!」
一味は各々、戦闘態勢に入った。
"ドカッ、バキッ、ズアッ!"
ルフィやフランキーには殴られ。
サンジやティオには蹴り飛ばされ。
ロビンには関節を外され。
ゾロには切り刻まれる。
「「うわああああっ!」」
対して、ゾンビたちの方は、掠り傷ひとつ負わせることも出来なかった……
「んで? オメェらここで何してたんだ」
ゾンビたちを全員正座させ、ルフィは話を始める。
ゾンビたちは顔を見合わせながら、答え始めた。
「えーと、そりゃあゾンビだし……」
「腐ってたっていうか……」
「そうそう、腐ってた」
「俺も」
ルフィの眉間にしわが寄る。
「……ふざけてんのか?」
ゾンビたちは肩を揺らした。
「「「いやいやいや! そんなつもりは! すんません!」」」
「……そうか。んじゃ訊くけどよ、鼻の長げぇ男と、オレンジの髪の女と、トナカイみてぇなタヌキがここを通ったか?」
「えっ、あぁ、はいはい、見てるような、見てないような……」
ゾンビたちは互いに顔を見合わせる。
「けど、言えねぇ」
「俺たち、そういう情報関係、一切言えねぇことになってるから」
「そうそう、規則だから!」
「「「き~そ~く! き~そ~く!」」」
ルフィは拳をバキバキ鳴らす。
「ふーん、絶対に言わねぇか」
「「「通った」」」
サンジが呆れる。
「あっさり吐くのかよ……」
ルフィはゾンビたちを睨みつけた。
「そいつら、俺の仲間だ。まさかオメェら、手ぇ出してねぇだろうな?」
ゾンビたちはギクっとする。
「えっ、な、仲間だったの!?」
「だっ、出してねぇ」
「「「出してねぇ! 出してねぇ!」」」
「ティオ」
船長の意図を察し、ティオは答えた。
「うそ、ばっかり。ほんとは、みんなで、おそった」
「そうか」
麦わら一味が全員、殺気立つ。
「な、何でバレてんだっ?」
「お、お許しをっ」
深海のような青い瞳が、鋭く光る。
「てぃおに、うそ、1おくねん、はやい」
「「「ひぃぃ……っ」」」
"ドカッ、バキッ、ドゴォッ!"
……ゾンビたちは綺麗に、埋め直された。
「ナミたちはどっちだ? ティオ」
「あっち」
「ブルックは?」
「アイツは別にいいだろ……」
「あっち、と、あっち」
「んぇっ、ブルック2人もいんのか!?」
サンジが新しいタバコに火をつける。
「バーカ。ンなわけねぇだろ。おそらくどっちかは、ブルックの影が入ったゾンビだ」
「(コクン)」
ティオの指す方向へ、一味は歩き出した。
「しっかし、骨のねぇゾンビだったな!」
笑うルフィに、フランキーが賛同する。
「あぁ。あんなんじゃ、ウォーミングアップにもなりゃしねぇ」
対して、ゾロは眉間にしわを寄せて言った。
「だが、油断は禁物だ。少なくともここには七武海がいるんだからな」
サンジが茶化す。
「お~いおい、この期に及んでビビってんのか~? タコ剣士~」
「うるせぇイカコック! テメェと一緒にすんじゃねぇ!」
「ンだとこの迷子マリモ!」
「闘んのかグルグル眉毛!」
「ちょっと待ってくれ~!」
「「「「「 ? 」」」」」
背後から呼び止められ、一味は止まった。
振り返れば、ゾンビらしき男が走って来る。
「はっ、はぁっ、い、今、見てただ……アンタら、おそろしく強いんだな。少し、話をさせてくれねぇか?」
「おっ、大怪我した年寄りっ?」
「「「だからゾンビだろどう見ても!」」」
「いや、大怪我した年寄りじゃ」
「紛らわしいな! ゾンビでいいだろ!」
大怪我した年寄りは、息を切らせながらその場に膝をついた。
ルフィが歩み寄る。
「んで、話って何だ?」
「……倒してほしい男がいるんじゃ。被害者はいくらでも居るが、そいつさえ倒せばっ、影さえ戻ればみんな救われる!」
フランキーが鼻を鳴らした。
「何だ、オメェもモリアとかいう七武海に、影を奪われた口か」
「! 知っておるのか! モリアのことを!」
「あぁ。ウチには、スーパ~な諜報員がいるからな」
ティオはドヤ顔で親指を立てて見せた。
老人は涙を流して地に手をつく。
「どうか……っ、どうかお願いしますじゃっ……死ぬ前にっ、たった一度でいい! 太陽の下をもう一度っ、歩いてみたい!」
「……」
「……」
一体何年、ここに、この暗闇の中にいるのだろうか。
言葉以上の悔しさと悲しみが、ひしひしと伝わってくる。
「……」
ルフィはじっと老人を見つめた。
「だあああぁぁぁっ!」
突然、フランキーが泣き始める。
「オメェ、今まで辛かったなぁ! よォし、俺が力になるぜ! ぐすっ、バカっ、泣いてねぇぞ俺ァ! うわあああああっ!」
ゾロとサンジはため息をつく。
「気持ちを分かりすぎだろ。軽く
「まったくだ。……つーか、おい、ジジイ! 泣き落としはレディの特権だと思え! お前じゃトキメかねぇ!」
「何だそりゃ……」
ルフィがニっと笑う。
「まぁでもよ、ティオが、そのモリアってのは俺たちも狙ってるっつってたろ? だったら結局は戦うことになるし、おっさんもついでに助かるんじゃねぇか? なっ?」
ルフィの満面の笑みに、太陽を見出した老人は、深々と頭を下げる。
「ありがてぇ言葉だ! ついででも何でもっ、希望が持てますじゃ!」
すると……
「頼んだぜ、アンタたち!」
「モリアなんかぶっ飛ばせ!」
森の中から、声が聞こえてくる。
サンジが呆れた。
「何だ聞いてやがったのか、その他大勢の犠牲者共」
「もり、はいったとき、から、ずっと、ついて、きてた」
「そうなのかい?」
「(コクン)」
「トキメかねぇ相手で悪かったな! グルグル眉毛!」
「るっせぇ!」