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26. 生きたガイコツ
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「……もしやあなた方、流し樽を拾ったなんてことは……」
「流し樽? ……あ。拾ったぞ! なんとかごほーぜんってやつ!」
ティオが、あぁ、と零した。
「あれ、あいつ、の……」
「アイツ?」
「この、しま、つうしょう、『スリラーバーク』。ぶるっく、の、かげ、うばったやつ、いる」
「えっ、でも、ちょっと待って! ログポースは何も反応してないわよ?」
「そりゃそうです。この島は、遠い
「
「ハイ」
ブルックは、ステッキを持ち直して歩き出した。
「ん? おい、どこ行くんだよ」
「しかし、今日はなんと幸運な日でしょう。人に会えただけでなく、私の念願まで叶うとは。ヨホホホホホッ!」
ピョンと飛んだブルックは、大きな弧を描いて、サニー号のピークヘッドの上に立った。
サンジが目を見開く。
「なんて身の軽さだ……」
「そうです! 死んで骨だけ! 軽いのです! ……あなた方は、今すぐ後方の門を破って、脱出して下さい。絶対に海岸で碇を降ろしてはいけません。……私は今日、あなたたちに出会えて本当に嬉しかった! 美味しい食事、一生忘れません! ではまた! ご縁があればどこかの海で!」
ブルックは何のためらいもなく、海へ飛び出していく。
「んなっ、アイツ能力者だろ!?」
「飛び込んでどうすんだよ!」
「ヨホホホホホッ!」
「「「「「「?」」」」」」
特徴的な笑い声が聞こえて、海を覗き込んでみれば、ブルックが海の上を走っていた。
「海の上を走ってやがる!」
「うおおっ、すっげ~!」
ブルックはそのまま、スリラーバークなる島へ走って行ってしまった。
その背中が見えなくなると、ナミが言う。
「と、とにかくルフィ、アイツの言う通りにしましょう? 何が起きてるのか分からないけど、完全にヤバイわ、この島!」
「んぇ~? 何か言ったか~?」
そう言って振り向いたルフィの顔は、満面の笑みを湛えていた。
「「「行く気満々だぁぁっ!!」」」
「おいおいヤベェって!」
「さっ、さっきのゴーストっ、どこ行ったんだ!?」
「島の方へ飛んでった。大方、あの島の住人なんだろ」
「この、しま、べつめい、『ゴースト・アイランド』。ゆうれいの、1ぴきや、2ひき、いても、おかしくない」
「なに冷静に言ってんだよティオーっ!!」
周囲を見渡していたロビンが言う。
「ねぇ、あのガイコツさん、クチのようなものは門だと言っていたわよね。あの門の両端には、壁のようなものが続いているわ。おそらく、島を取り囲む壁の役割も果たしているのね。……私たちは今、島を取り囲む壁の中に閉じ込められたんだと思うわ」
ウソップがポンと手を叩いた。
「そうか! だからあのガイコツ、すぐにここから脱出しろって言ったんだ!」
「えっ、じゃあ、この島は人工的に海を彷徨ってるってことなの? 何のために?」
「さぁ。そこは分からないけど……」
ロビンはティオを見た。
察したティオは、情報を語る。
「ここに、いるの、『王下七武海、ゲッコー・モリア』」
「……え、えええええっ!?」
「こんなとこに七武海がいんのか!?」
「(コクン)」
「コクンじゃねぇよ! あっさり何言ってんだテメェは! つーかもっと早く言えよ! オメェならずっと前から島が近づいてること分かってただろ!? そしたら全力で避けて通れたのに!」
「るふぃ、ぶるっく、なかまにする、いったじてん、で、もりあ、と、たたかうの、きまってた。どっちにしろ、ここ、きた」
「……。……はぁ、それもそうか……」
「それで、その七武海はこんなところで何やってるっていうの?」
「さぁ。かいぐん、の、しょうしゅうにも、いつも、かお、ださなかったから。じょうほう、すくない。……けど、よそうは、できる。もりあ、しんせかいで、まけて、もどってきた。きっと、もっかい、ちょうせん、するため、へいりょく、あつめてる」
「兵力? こんなところで?」
「さっき、いった、かげ、うばう、のうりょく。あれ、もりあ、の、のうりょく」
「あぁ、ブルックの影奪った奴、ここにいるって言ってたな。それがその七武海だったわけか……」
「(コクン)」
「でも、影なんか奪ってどうするの?」
「かげ、したい、いれると、うごきだす。しかも、しなない。ぞんび、の、できあがり」
「なるほど、それで不死の兵士を量産して、もう一度新世界へ挑もうというわけね?」
「(コクン) …おそらく」
話を聞いていたフランキーが、腕を組んで言った。
「なるほどなァ。……しかし、ここは海のド真ん中。碇を降ろすことは出来なさそうだな」
ウソップが目を剥く。
「ってオイ! なに停泊する気でいんだよ! 今すぐ脱出に決まってんだろうが!」
ナミとチョッパーが震えながら言った。
「聞いてみんな……あたし、島に入ってはいけない病になったみたい……」
「俺も、俺もそれ……」
座り込んで膝を抱える2人。
その隣に……
「よーしっ、さぁ船つけろ~!」
虫取り網とカゴを持ったルフィが立った。
「冒険準備万端病かぁお前はぁぁっ!! 考え直せルフィ! ここには王下七武海がいるんだぞ!」
「ンなの、クロコダイルと同じだろ?」
「オメェあんとき死に目に遭ったのもう忘れたのかァァ!」
「だぁいじょうぶだって。俺あんときよりつえーし」
「あのなぁ!」
「るふぃ」
「んぁ? どした、ティオ」
「くろこだいる、と、おなじ、おもわないほうが、いい。もとの、けんしょうきん、くろこだいる、8100まんべりー。けど、もりあ、3おく2000まんべりー」
ウソップは青ざめた。
「3憶2000万てっ、ルフィより上じゃねぇかよ!」
「しかも、もと、だから。さらに、じつりょく、あがってる、はず。きを、つけて」
「ん、分かった」
「おっ、そうかそうか分かってくれたか~。よーし引き返そう!」
「よーし行くぞ~!」
「だから何でだよ!」
「早くしねぇとさっきのゴースト、どっか行っちまうかもしれねぇだろ? 俺はあれを飼いてぇんだ!」
「テメェ悪霊もナメすぎだこの野郎!」
「それに、仲間も早く取り戻さねぇとな!」
「んなっ、俺は認めねぇぞ! ガイコツなんて仲間にした日にゃ、俺ァ怖くて夜もオチオチ眠れねぇよ!」
「サンジ~! 海賊弁当!」
「って聞いちゃいねぇし……」
「ふふっ、お弁当なら受け取ったわよ、ルフィ?」
「おっ、ロビンも来るのか!」
「えぇ。ついでに言うと、ティオも行きたいそうよ」
「そっか! いいぞ! あとでゴーストの飼い方教えてくれよ!」
ウソップが目を剥く。
「うおぉいちょっと待てティオ! お前さっきルフィに気をつけろって言ってたじゃねぇか!」
ティオは首をかしげた。
「いった、よ?」
「なのに何でお前まで上陸しようとしてんだよ!」
「たのしそう、だから。あの、しま、ぶるっく、みたいに、はんのう、うすい、ひと、うじゃうじゃ、いる。でも、め、には、みえない。いって、みて、みたい」
「さっき言ってた七武海と遭っちまったらどうすんだよ!」
「たたかう、だけ」
「んなっ、ルフィより強ぇんだろ!?」
「そんなこと、いってない」
「……へ?」
「くろこだいる、より、もとの、けんしょうきん、うえ、と、いっただけ。だれが、だれより、つよい、なんて、たたかって、みないと、わから、ない」
「なっ……。……。……はぁ」
ついに、ウソップは折れた。
「んじゃ、俺もついてくぜ~?」
フランキーがノリノリでお決まりのポーズを取る。
サンジが新しいタバコに火をつけながら言った。
「ルフィ、フランキー、お前ら、ロビンちゃんとティオちゃんのこと、ちゃんと守るんだぞ?」
「おう! 任しとけ!」
「よーし、ちょうど4人になったな…。碇が降ろせねぇ以上、小舟であの島へ行くわけだが、ここでオメェらに、まだ見せてねぇこの船のとっておきを紹介してやる。ソルジャードックシステム、チャンネル2だ」
フランキーのサングラスが、怪しく光った。
「「「チャンネル2……?」」」
「0のパドルと、1のウェイバー、3の潜水艇は見せて貰ったけど……」
「確か2と4はまだカラだって……」
「驚かせるためにそう言っといたのさ。上陸する気のねぇ奴はついてきな。先に試し乗りさせてやる」
……というわけで、ウソップ、ナミ、チョッパーは、フランキーに連れられて、ドックへと降りていった。
甲板では、残されたクルーたちが待つ。
"ガチャ、ウィーン……"
チャンネルが回され、2番が船体の側面に来た。
ドックの扉が開き、シュッシュッと煙の音を響かせながら、小舟が出てくる。
「ん、うおおおっ!?」
小舟の外観を見るなり、全員、表情を綻ばせた。
「どうだ? あれがソルジャードックシステムチャンネル2、4人乗り蒸気機関、買い出し船、ミニメリー2号だ!」
試し乗りしている3人がはしゃいでいる。
「メリーだ! メリーが小舟で蘇ったぁぁ!」
「またメリーに乗れるぞぉぉ!」
操縦しているのはナミで、さすがに敏腕航海士なだけあって、ちょっとした高波も上手いこと越える。
エンジン付きでスピードも自在なため、ウェイバーのような楽しさがあった。
「こんな素敵なプレゼントが隠れていたなんて…。ありがとう! フランキー!」
フランキーはグーサインをしてみせた。
ルフィは早く乗りたいらしく、ピョンピョン飛んでいる。
「早く俺にも乗らしてくれよ~ぉ!」
「まぁ待て麦わら。俺たちはすぐに乗れるんだ。まずはアイツらに堪能させてやろうぜ」
ゾロが口角を上げて言った。
「最高の心遣いだな」
「はっはっはっ、俺は今週も最高な男だぜ、スーパ~!」
お決まりのポーズが炸裂する。
……と、次の瞬間。
「きゃあああっ!!」
ナミの悲鳴が、耳をついた。
「ナミさん!?」
サンジが慌てて欄干に駆け寄った。
……辺りを見渡すが、ミニメリーは見えない。
「ナミさんが消えた!? いったい何が……」
隣に、ティオがやって来る。
「たぶん、しま、の、ほり、おちた」
「堀?」
「(コクン) …ちょっと、みてくる」
"ボンッ"
ティオは鳥に変身した。
「頼んだぜ! ティオちゃん!」
サンジの声を背に受け、ティオは真っ直ぐ、3人が感知される場所へ飛んでいった。
「~~~っ、イテテテテ……」
「痛いはずだわ。あんなところから落ちてきたんだもの」
ナミが見上げる先には、曇り空。
目の前に3m以上の高い壁がある。
「ここはどこなんだ?」
「もうゴースト・アイランドの中よ……」
「「ゴースト!? ひいいいいっ!!」」
「ちょっとやめてよ! 余計に怖くなるじゃない! ……とりあえず、上に出て助けを呼ばないと」
「つっても、どうやって上に出るんだ?」
「……さぁ」
ティオの予想通り、3人は見事に島の堀の中に落ちていた。
"バサッ…"
「あ、ティオ!」
見知った紺色の鳥が、旋回してナミの肩へ降りてくる。
「やっぱり、おちてた、ね」
「さっすがティオ! よくここに落ちたって分かったな~! 頼りになるぜ~!」
「みんなを呼んできてくれる?」
「ん。……とりあえず、あっち、むかって、すすんで。ちじょう、でられる」
「分かったわ」
「それと」
「「「?」」」
「ぎゃく、は、ぜったい、いかないで、ね」
「え……な、何でよ……」
「いるから」
「な、何が?」
"バサッ"
ティオはサニー号へ戻るべく、空へ舞い上がった。
「ちょっと! いるって何がよ!」
「おーいちょっと待てってティオ~!」
「ちゃんと教えてくれよ怖ぇよぉぉぉ!!」
……しかし、ティオは振り向かない。
そのまま、真っ直ぐサニー号へ戻ってしまった……