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26. 生きたガイコツ
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"ギーコ、ギーコ、ギーコ……"
夏の気候に近い、青空の中。
サニー号の甲板では、木に結ばれたブランコが、勢いよく揺れていた。
「1番ウソップ~! 飛びま~す!」
「おう! 行け行け~!」
「そぉれ~ぃっ!」
「ぅおっ、すげーぞ! 新記録だ!」
「次は俺が飛ぶぞぉ!」
「よーし行け行けチョッパー!」
どうやら、誰が一番遠くまで飛べるか競走中らしい。
賞金稼ぎの一家、アッチーノファミリーとの戦いを終えてから、数日。
サニー号は午後の晴れ空の下、ログに従って順調な航海をしていた。
"ガチャ"
「おーい、お前ら」
「んぉ? 何だ~、サンジ~」
「遊んでんなら、昨日大量に釣ったタコ共、生け簀から持ってきてくれねぇか?」
「「「タコ~ぉ?」」」
「あぁ。タコ飯にタコしゃぶ。それから、柔らかく煮込んだポモドーロに、色とりどりのサルピコン。夕飯はタコ尽くしにしようと思ってな」
ルフィが想像だけでヨダレを垂らす。
「うはははっ! ウマほ~ぉっ! サンジ~! たこ焼きも作ってくれよ~!」
「「たこ焼きサイコ~!」」
「分かった分かった。んじゃ頼んだぞ」
「「「よっしゃああああっ!!」」」
3人の雄叫びを聞きながら、ロビンがアクアリウムバーへやって来る。
釣られた魚たちが、いずれ食べられるとも知らず、水槽の中を泳ぎ回っていた。
「あの3人はいつも賑やかね」
「あ、ロビン」
部屋には、ナミとティオがいた。
「ちょうどよかった。今サンジ君からおやつの差し入れが来たの」
部屋の中央の柱には、上階のキッチンと繋がるリフトが設置されている。
ナミが、パフェ3つとスープ1つが乗ったトレーを、リフト内部から取り出した。
パフェは3つとも、中身が違う。
「彼、相変わらず気が利くわね。……あら、ティオがここにいるなんて珍しいわね。お昼寝はいいの?」
ティオはソファにぺたんとアヒル座りして、水槽を覗き込んでいる。
近くには魚が集まっていた。
「まだ、ねむく、ない。あと、おなか、すいたから」
ナミが呆れ顔で言う。
「さっき起きて来たんだから、そりゃ眠くないわよね」
ナミはティオの傍に、スープとパフェを置いた。
スープは、ベーコンと野菜がたっぷりのコンソメスープで、パンを浸し、チーズを掛けてグラタン風に仕上げてある。
パフェは、フルーツ多めで、生クリームとチョコレートはアクセント程度だ。
朝も昼も食べていないティオのため、少量でもきちんと栄養を摂れるように計算されている。
「後でサンジ君にお礼言っときなさいよ?」
「(コクン)」
ナミはロビンにもパフェを渡した。
「はい、きっとこっちがロビンね」
「えぇ。ありがとう」
ロビンの手に渡ったのは、グラノーラにコーヒーゼリーとカフェオレアイスがトッピングされた、大人な味のパフェ。
そしてナミに渡ったのは、バニラアイスを基盤に、生のミカンやオレンジソースをトッピングした、ミカン尽くしパフェだ。
「何だか、メリー号の頃より凝った食べ物が多くなったわね」
「まぁ、キッチンの性能が上がったし、この水槽も含め、食材の保存が利くようになったからでしょうね。コックとしては張り切っちゃうんじゃない?」
「水槽といえば、ティオの周りにお魚がみんな集まってるのはどうして?」
スープをすすっていたティオが顔を上げる。
「はなし、かければ、くる」
「えっ、魚とも話せるの!?」
「(コクン) …こえ、とどくの、2めーとる、くらいが、げんかい、だけど」
「は~、ホント万能ねぇ」
「サニー号とは、お話ししたの?」
「(コクン) …めりー、と、ちょっと、にてるよ」
「へぇ、そうなの」
"ザバーンッ"
「「「?」」」
突然、水槽に何かが入ってきた。
「あら」
「ウソップ? 何してんのよ」
「たぶん、たこ、とりにきた」
「あ~、昨日馬鹿みたいにたくさん釣ってたアレ?」
「(コクン)」
確かに、ウソップの背にはタコを入れるためと思しき巨大な壺。
両手にはタコを掻き集めるための大きなヘラを持っている。
ウソップはニヤリと口角を上げると、水槽の壁に貼りついたタコたちを、一気に狩り始めた。
……しかし。
「ちょ、ちょっと! ウソップの奴、タコに絡みつかれてるわよ!?」
タコも負けじと逆襲する。
「あらあら」
ロビンが腕を交差させ、ウソップを助けようとした。
……が。
"ブシューッ"
タコたちが一気に墨を吹き、水槽が真っ黒になってしまう。
「ダメだわ。見えなければ助けようがない」
ナミは部屋の出入り口へと走り、扉を開けて甲板に向かって叫んだ。
「大変よ! ウソップがタコに絡みつかれちゃったわ!」
「「なにっ!?」」
生け簀の傍に居たルフィが、慌てて水槽の中へ手を伸ばす。
「ウソップ! 掴まれ~!」
チョッパーも心配そうに叫んだ。
「ウソップ~! 大丈夫か~!」
甲板の大騒ぎにため息をついたサンジは、夕食の準備をしていた手を一旦止めて、キッチンを出た。
「ったく、タコごときで大騒ぎだなァ」
水槽から救出されたウソップが詰め寄る。
「オメェがタコ取って来いっつったんだろーがよぉ!」
「うるせぇなぁ、耳元でギャンギャン」
話していると、マストの頂上のトレーニングルームに設置されたスピーカーから、ゾロの声が聞こえた。
『おい、海に何か浮いてるぞ』
「「「?」」」
ルフィ、ウソップ、チョッパー、サンジは、欄干へ走り寄る。
「何だ? 何が浮いてんだ?」
「どこだ?」
「アレじゃねぇか?」
「ん~……樽、か……?」
波に揺られて漂う、小さな帆のついた樽。
ウソップが目を細めた。
「んー……宝、って書いてねぇか?」
ルフィがワクワクで目を輝かせる。
「何っ!? もしかしてっ、宝船の落としものじゃねぇのか!?」
「うほほ~い! 早く引き上げようぜ!」
「おう!」
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