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番外. Gの侵略
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「んも~、うるさいわねぇ」
ナミとロビンが図書室から顔を出す。
フランキーも屋上から甲板を見下ろした。
「なァに騒いでんだ?」
「アンタたち一体……きゃああっ!」
「あら、虫だらけ」
3人の目に映ったのは、サニー号の床や壁や柱を埋め尽くす黒いモノと、それに慌てふためくクルーたち。
「おいグル眉! 何なんだこの虫どもは!」
「ぁあ!? 誰がグル眉だマリモ! 知らねぇよこんな虫! キッチンの倉庫開けたら湧いてきやがったんだ!」
「うははっ! すっげ~!」
「うああんっ気持ち悪りぃよぉ!」
「うわっ、服ん中入ったァ! 何なんだコイツらは! 見た目はゴキ●リみてぇだが……なぁおいティオ……って、気絶してるし……」
ティオはゾロの肩に担がれ、口から魂のようなものを出していた。
虫嫌いのティオにとって、現状はおそらく、世界で最も恐ろしい光景だろう。
「ちょっとアンタたち! 何やってんの!」
「いっ、いや、別に何かしたわけじゃなくてだな……」
「何でもいいから早く何とかして!」
ナミはクリマ・タクトで何度も風を起こし、近寄ってくる黒い奴らを吹き飛ばす。
「つっても、こう数が多くちゃどうにも……」
「ティオ~っ頼む起きてくれぇ!」
「対処法知ってんのはティオくらいだ!」
各々、持てる技を駆使してゴキ●リたちを排除していくが、
「この虫の出どころはどこよ!」
ナミの叫びにウソップが答える。
「キッチンだ! 倉庫開けたら湧いてきたらしい!」
「キッチンて……サンジ君?」
「め、面目ねぇ……」
フランキーが眉を顰めた。
「けどよ、この数は異常だろ。こんな増えるまで気づかねぇもんか?」
「そこは俺も疑問なんだ。倉庫は毎日開ける場所だから、こんなに湧いてたらすぐ気づくはずなんだが……」
ロビンが提案する。
「とりあえず、どこか落ち着いて対策を練られる場所に避難しましょう?」
「「「おう」」」
……というわけで、一味は全員、アクアリウムバーに避難した。
扉さえ閉めてしまえば、1匹たりとも入って来られない。
「はぁ……びっくりしたぁ……」
「まさか虫に船を占領されるたァ……」
「はははっ、凄かったな~アレ!」
「「「笑ってる場合か!」」」
ゾロが、抱えていたティオの頭を叩く。
「おい、起きろ」
ティオは悪夢でも見ているのか、眉間にしわを寄せて唸った。
「……ぅ…っ、むし…っ、むしぃ…っ」
「ここにゃいねぇよ。さっさと目ぇ覚ませ」
続けざまに額も叩かれると、ティオはようやく目を開けた。
「……?」
辺りを見渡せば、そこは見慣れたアクアリウムバーで、確かに虫はおらず、仲間たちが自分を覗き込んでいる。
ナミが早速訊いた。
「ねぇティオ、あの虫の大群は何なの?」
ティオは、げっそりと青ざめた顔で呟く。
「……かがらに、ごき●り……あの、しまの、こゆうしゅ」
「やっぱゴキ●リだったんだ……」
「おそらく、さんらん、まえの、めす、1ぴき、はいりこんで、ぐうぜん、そうこ、はいって、たまご、うんだ」
チョッパーが青ざめる。
「ってことは、1日であんなに増えたってことか!?」
「(コクン) …あれ、は、せかいでも、とっぷくらす、の、はんしょくりょく、ほこる」
フランキーが呆れ顔で言った。
「ンなモンいるなら、上陸する前に言っとけよ」
「ふつう、すなはま、でてこない。ひと、にも、ちかづかない。たぶん、きのう、たいりょう、とってきた、むし、なかに、いた」
「虫捕りそのものが間違いだったのね……」
ナミはジトっとした目でルフィを見たが、本人はきょとんとするばかり。
「ん? なんだ? どした?」
「何でもないわよ……」
ゾロが腕を組んで訊く。
「んで、どうすんだ? 駆除して回ったところでキリねぇぞ」
「かんぜん、くじょ、するなら、もやす、とか……」
フランキーが目を剥いた。
「ダメに決まってるだろ!」
「わか、てる。あとは、おびきだす、とか」
「「「おびき出す?」」」
ティオはサンジの方を向いた。
「さんじくん、きのう、わたした、りすと、ある?」
「ん? あぁ、キッチンにあるが……」
「3ばんめ、かがらにおれがの、3ぐらむ、7ばんめ、かがらにせーじ、2ぐらむ、8ばんめ、かがらにぜらにうむ、5ぐらむ。ごうけい、10ぐらむ、せんじて、おちゃ、つくって」
「ハーブティーってことかい?」
「(コクン) …いま、いった、はいごう、の、におい、あいつら、の、だいこうぶつ、の、じゅえきに、ちかい、におい、なる」
ウソップがポンと手を叩いた。
「なるほど、その茶の匂いで釣って、船から追い出そうってんだな?」
「(コクン) …いま、このふね、えさ、なるもの、ないから、ぜったい、1ぴきのこらず、ついてくる」
「よっしゃぁ! 活路が見えたぜ!」
「でも、」
「「「「?」」」」
全員が、ロビンの方を振り返った。
「誰が、そのおびき寄せる役を?」
「「「……。……あー……」」」
おびき出すには、餌となるお茶を持って、船から遠く離れなければならない。
しかし、ここは海の真ん中。
必然的に、空を飛べる者にしかその役は務まらない……
「「「「「………」」」」」
全員の視線が、静かにティオへと集中した。
ティオは青ざめ、首をブンブン横に振る。
「やだっ」
何故よりにもよって、一味の中で最も虫が嫌いな自分が……
「つっても、他に方法ねぇんだろ?」
ウソップが言うと、チョッパーも頷く。
「島に着けば誰でも出来るけど、それまでこのままってわけにもいかないよな……」
ルフィは底抜けに明るく笑った。
「別にこのままでもいんじゃねぇか? 面白れぇし!」
「馬鹿言ってんじゃないわよ!」
"ゴチンッ!"
航海士の鉄拳が頭頂部に決まる。
「……スンマセン」
「どっちにしろ、選択肢は2つしかねぇんだろ?」
ゾロがティオの前に立った。
「少しの間、虫に追っかけられるか、島に着くまで、虫と昼夜を共にするか。どっちか選べ」
「……っ」
想像しただけで、どちらもゾっとする。
……しかし、より精神的負担の軽い選択肢は、最初から決まっていた。
「……わか、た……っ」
今にも泣きそうな顔で、ティオは虫に追いかけられる決意をした。
「よし。……おいグル眉、さっさと茶ァ入れて来やがれ」
「ぁあ!? 何で俺がテメェに指図されなきゃなんねんだよ!」
ナミがため息混じりに間に入る。
「サンジ君、お願い」
「はいっ、喜んでぇ!」
「おちゃ、いれたら、ちいさい、ぬの、しみこませて、びん、いれて、みっぷうして、もってきて」
「あぁ、了解だ!」
「それと、うそっぷ」
「ん、どした?」
「このあたり、いわば、あるはず。そこに、つれてく、から、さがして」
先に目的地を見つけておけば、追いかけられる時間は最短で済む。
「よぉし分かった! このウソップ様に任せとけ! 行くぞ、ルフィ、チョッパー」
「おう!」
「えっ、俺も!?」
「探しものは、1人より2人、2人より3人だろ?」
「で、でもよぉ……」
「大丈夫だって。ルフィのゴムゴムで一気に展望室まで飛べば、ゴキ●リ共と接触するのはせいぜい2,3秒。……それに、ティオはこれからもっと恐ろしい目に遭うんだぜ? 俺たちがここで怯んでどうすんだよ」
「! ……そっか、そうだな! 俺頑張るよ!」
「ありが、と……」