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3. ノックアップストリーム
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しばらくして。
"ガチャッ!"
家の扉が勢いよく開いて、チョッパーが出てきた。
「ルフィ! 気がついたぞ!」
どうやら、例の男が目を覚ましたらしい。
麦わら一味は揃って家の中に入っていく。
「菱形のおっさん! 俺おっさんに訊きてぇことがあんだよ!」
家に入るなり、ルフィは男に詰め寄った。
男は煙草の煙を吐き出す。
「迷惑かけたな。オメェらをいつもの金塊狙いのアホどもだと思った」
「えっ? 金塊をお持ちなの~ぉ?」
「こらこらナミ~?」
ウソップがナミを諌める。
「……んで? 俺に訊きてぇことってのは?」
「おっさん、俺たち空島に行きてぇんだ! 行き方を教えてくれ!」
「空島? ……フフフフッアッハッハッハッ! オメェら空島を信じてんのか!」
「ティオがあるっつってんだよ! なぁおっさん、知らねぇか?」
「ほう? 俺はあると言ってた奴を1人だけ知ってるが、そいつは世間では伝説的な大嘘つき。その一族は永遠の笑いものだ」
「えーっ!?」
ルフィは目を見開いて、ウソップを見た。
「いや俺じゃねぇよ!」
「
「えーっ!?」
「だから俺じゃねぇっつってんだろルフィ! こっち見んな! 名前違うだろ!」
サンジのぐるぐる眉毛が、ぴくっと動いた。
「ん? 確かノーランドの本名はモンブラン・ノーランド。ひょっとしてあんた、ノーランドの……」
どうやらこの男が、モンブラン・クリケットだったようだ。
「フン……じいさんのじいさんの、そのまたじいさんの、俺の遠い先祖さ。……迷惑な話だ。奴の血なんざ、俺には蚊ほども通っちゃいないだろうに。当時モンブラン家は国を追われ、今もなお肩身狭く暮らしているが、人の罵倒は未だに続く。だが、一族には誰一人、奴を憎むものはいない」
「なぜ?」
「ノーランドは、類い稀なる正直者だったからだ」
「「「「!?」」」」
「でも、あの絵本じゃ……」
「絵本にあるノーランドの最後の言い訳はこうだ。『そうだ!山のような黄金は海に沈んだんだ!』……アホ面添えて描いてあるが、実際は、大粒の涙を流しながらの無念の死だったという」
「たしかに、そう、きろく、されてた」
ティオが、分厚い本を抱えて、クリケットの前に進み出る。
「かんしゅの、きろく、より。『10月5日。今日もノーランドは涙を流して嘘をつき続けている。あれは間違いなく、私が訪れたジャヤだった、きっと海底の地殻変動で、海の底に沈んでしまったんだ。……なんて、こんなにも往生際の悪い奴が、今までにいただろうか。吠えたくばいつまでも吠え続けるがいい。どれだけ吠えたところで、お前の死刑は変わらないのだから』……いじょう」
「あら、よく覚えてるわね」
ティオはロビンを見上げ、親指を立てる。
「いちど、みたもの、わすれない」
クリケットは口角を上げた。
「その嬢ちゃんの言ったとおりだ。何を言っても、もはや奴の言葉は苦し紛れの負け惜しみ。見物人が大笑いする中、ノーランドは処刑され、嘘つきの名だけが残った」
「そうか! だからおっさんは、モンブラン家の汚名返上のために海底の黄金都市を探してるのか!」
表情を明るくしてそう言ったウソップを、クリケットはキッと睨みつけた。
「馬鹿言うんじゃねぇ!」
"パァン!"
銃声が1発響く。
銃弾はウソップの頭上の壁を打ち抜いた。
「び、ビビッた~……」
「大昔の先祖がどんな正直者だろうが、どんな偉大な探検家だろうが、俺に関係あるか! そんな馬鹿野郎の血を引いてるってだけで、見ず知らずの他人から罵声を浴びるガキの気持ちが、お前らに分かるか! 俺はそうやって育ってきたんだ!」
クリケットの大声に、一味は静まり返る。
「……だが、そうさ。この400年の間には、一族の名誉のためにと海へ乗り出したものも数知れねぇ。その全員が消息不明になったがな。俺はそんな一族を恥じた。そして家を飛び出し、海賊になった」
「へぇ~! 菱形のおっさんも海賊なのか!」
「別になりたかったわけじゃねぇ。ノーランドの呪縛から逃げ出したかったんだ。……そしていつしか、
クリケットは窓の外の、ずっと遠くを見やった。
「ぐすっ……まさに男の中の、男っ」
感動するウソップの横で、ルフィは素っ頓狂な顔をする。
「んじゃアイツらは? 猿たちは何でここにいるんだ?」
「そりゃまた、海底にかける男たちの、拳で語る熱いドラマがあったんだろうなぁ……」
「あいつらは絵本のファンだ」
「ファンかよ! ずいぶん簡単な繋がりだなおい!」
「5~6年前になるか。俺の噂を聞いて押しかけてきた。『ノーランドの黄金は絶対あると思うんだ!』なんて言いやがってな。……ここらの海は深いんだ。暗く冷たい海底では、より一層の孤独がつきまとう。俺は、来る日も来る日もただ潜って探す日々。そんな生活の中にずかずか入り込んできて、勝手に俺の手下になってあばれまわりやがる。ああいう一途なバカには、正直救われるんだ。……分かるか?」
「ぐすっ……分かるぜ。本物の同志ってのはただそれだけで心強く……」
「あ~でも猿の話は置いといてよぉ」
「んじゃ訊くなルフィ!」
「だから、俺は空島に行きてぇんだよおっさん!」
「フン……せっかちな奴だな。だから話してやったろ? 空島の証言者はその嘘つきノーランド。こいつに関わりゃ、オメェらも俺と同じ笑いもんだ」
「えっ!? そいつ空島にも行ったことあんのか!?」
「行ったとは書いてねぇが……」
クリケットは近くにあった分厚い本を取り出した。
ナミが真っ先に反応する。
「航海日誌!? まさか、ノーランド本人のなんじゃ……」
「そうさ。……そのへん読んでみろ」
そう言ってナミに日誌を投げ渡した。
「『6月21日快晴。陽気な街ヴィラを出航。ログポースに従い港よりまっすぐ東北東へ進行中のはずである。日中、出会った物売り船から、珍しいものを手に入れた。ウェイバーというスキーのような一人乗りの船である。無風の日でも、自ら風を生み走る船だ。コツがいるらしく私には乗りこなせなかった。目下クルーたちの格好の遊びものになっている』うっそ~何コレ欲しい~!」
ルフィ、ウソップ、チョッパーが揃って声を荒らげた。
「「「いいから先を読め!」」」
「『この動力は空島に限る産物らしく、空にはそんな特有の産物が多く存在すると聞く。空島と言えば、探検家仲間から生きた空魚を見せてもらったことがある。奇妙な魚だと驚いたものだ』」
「空魚?」
「『我らの船にとっては未だ知らぬ領域だが、船乗りとしてはいつか空の海へも行ってみたいものだ』……空の海だって!」
「ロビンが言ってた通りだ!」
「それに、この時代には空島があって当たり前のように書いてあるぞ!」
「やっぱりティオの言う通り、空島はあるんだ!」
「ねぇティオ! このウェイバーとか空魚って本当にあるの!?」
「(コクン)…うぇいばー、とあるばしょ、てんじ、されてる。くうぎょ、ごくまれに、じょうそう、かいきゅうの、いちば、りゅうつうする。8ねんまえの、きろく、だけど、そらには、くものうみ、あって、くものしま、ある。せなかから、はね、はえた、ひと、たくさん、いる。いまでも、そらじま、いってるひと、わずかに、いる。むかしは、もっといっぱい、いってた」
「マジか!」
「よっしゃあ! 行くぞ空島ぁ!」
その後、猿山連合軍が、麦わら一味の空島への旅を、バックアップをしてくれることが決まった。