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番外. Gの侵略
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"ガチャ"
ロビンとティオがキッチンの扉を開けると、ふわりといい匂いが漂った。
「お、ちょうどいいところに」
ナミの言っていた通り、サンジはティオの朝食を用意してくれていた。
2人がテーブルにつくと、キリっとキメ顔をしたサンジが、ティオの前にサンドイッチとドリンクを置く。
「さぁ、召し上がれ。マドモアゼル」
青い瞳がサンジを見つめた。
「ありが、と」
「んふふ~っ、どういたしまして!」
サンジはいつも通り、くねくねくるくる。
サンドイッチの具は2種類で、こま切れ肉を炒めて特製ソースで和えたものと、千切りにした数種の根菜をマヨネーズで和えたものがある。
ドリンクは、葉物野菜とバナナと牛乳をミキサーにかけ、はちみつで味を整えたスムージーだ。
毎日、1日の大半を寝て過ごしているティオは、食事も1日1~2食しか摂らない。
しかも、少しの量ですぐお腹いっぱいになってしまう。
それでも栄養をきちんと摂れるよう、サンジは常に心を砕いている。
「ロビンちゃんはコーヒーかな?」
「えぇ。お願い」
「もっちろん喜んで~!」
女子たちのために腕を振るっている間、サンジは何より楽しそうだ。
……ものの数分で、ロビンの前にコーヒーカップが置かれる。
「お待たせ、ロビンちゃん」
「ありがとう」
いつも通りの、深い香りとコク。
「ナミさんは?」
「図書室にいるわよ。天気が安定してる今のうちに、海図を描くんですって」
「おっと、これは飲み物の差し入れをしなくては!」
サンジは光の速さでキッチンに戻り、アイスティーとオレンジジュースを作って、氷を入れたグラスに2:1の割合で注いだ。
グラデーションの綺麗なオレンジティーが出来上がる。
それをお盆に乗せ、サンジは上機嫌でキッチンを出て行った。
ロビンとティオはそれを見送る。
「相変わらずね」
「(コクン)」
ティオは、サンドイッチをゆっくりモクモク頬張る。
それを横目に見降ろし、ロビンは頬杖をついて笑みを浮かべた。
「……ねぇ、ティオ」
「?」
「一度、訊いてみたかったのだけど」
ティオはサンドイッチを齧り、咀嚼しながら首を傾げる。
「ジャヤに行く前、あなたが左腕を撃たれてメリー号に落ちてきたとき、言ったわよね? 仕事に行く途中で、撃たれて落ちた場所が、偶然メリー号だったって」
「(コクン)」
「あれ、ウソよね?」
「……」
「だって、あまりに運が良すぎるもの。砂浜で特定の砂粒を見つけるようなものだわ」
ティオは表情を変えることなく、こくん、と喉を鳴らしてサンドイッチを飲みこみ、話し始めた。
「たしかに、あれ、は、うそ。ほんと、は、むぎわらいちみ、ちょうさ、するはずだった」
「調査?」
「(コクン) …ちょうほういん……というより、でんしょうしゃの、しごとの、ひとつ。あらゆる、れきし、みのがさない、ため、せかい、えいきょう、あたえそう、な、もの、すべて、みにいく」
「それで、急成長を始めた麦わら一味の調査に?」
「(コクン) …なまえ、あがりはじめた、かいぞくの、るーきー、ぜんぶ、ちょうさ、いってきた」
「その調査結果は報告していたの?」
「(コクン) …てぃおの、ほうこく、もとに、ちかくの、ちゅうとんきちで、そうおうの、ぶたい、へんせいされて、しゅつどう、する。だから、つかまって、おわる、るーきー、が、ほとんど。……けど、ことしは、いつもより、いきのこった、るーきー、おおい。みんな、おくごえ、なった」
「確か、今のところ億越えのルーキーは、この麦わら一味を含めて11人だったかしら。彼らはみんな、その海軍の襲撃をくぐり抜けてきたということなの?」
「(コクン)」
「なら、私たちは運が良かったのね。ティオがこうして仲間になって、報告が入らなかったから、強大な部隊を送られることもなかった」
「かもしれない。……あのとき、むぎわらいちみ、ちょうさ、きたとき、てぃお、いつもどおり、みて、かえる、はずだった。……けど、かえりたく、なくなった」
あの不慮の怪我が、全てを変えた。
当時は、なんて運の悪さ、と思ったけれど、今となっては、任務が成功していた未来を思い浮かべる方が怖い。
滞りなく任務を終えていたら、きっと今も政府の人形として、世界各地と海軍本部を往復していただろう。
クザンに守られながら。
「この船での冒険、楽しい?」
「(コクン) …てぃおの、あたまの、なかの、けしき、じぶんのめで、みてみたい」
先代、先々代、何百年も前の伝承者たちから受け継がれて来た、世界の記録。
それを1つ1つ、仲間たちと見ることが出来たなら、そのとき、自分は何を思うのか。
考えただけで、お腹の辺りがぞくぞくする。
「……」
ロビンはしばらく、横目にティオを見つめていた。
そして、好奇心の向くままに尋ねる。
「ティオは……この世界の歴史をどこまで知っているの?」
「……」
どこか遠くを見ていた青い瞳が、じろりと横目にロビンを捉えた。
ロビンは目を逸らすことなく、ティオを見つめ返す。
「あなたは、私の求める答えを、全て知っているわよね」
ティオは視線を、目の前の皿に戻した。
スムージーをひとくち飲みこむ。
「しってる、よ。ぜんぶ。なにもかも」
「……」
「けど、ろびん、べつに、てぃおから、れきし、ききたいわけじゃ、ない、でしょ?」
「えぇ。自分の目で見てこそだと思うから。……ただ、ティオがどこまで知っているのか確認してみたかったの」
ティオはスムージーを飲み干した。
「いきづまった、ら、ひんと、は、あげる」
「ふふっ、そのときはお願いするわ」
「(コクン)」
……と、そこへ。
「サンジ~! 腹減った! おやつおやつ~!」
「俺も俺も~!」
「ったくウルセェなぁ。分ぁったから少し待ってろ」
"ガチャ"
ルフィたちからおやつの注文を受けて、サンジがキッチンに戻ってきた。
「さんじ、くん、ごちそう、さま」
「ごちそうさま」
ルフィには舌打ちまでしていたサンジだが、2人には満面の笑みを向ける。
「あぁ、お粗末さま」
サンジとすれ違いで、ロビンとティオはキッチンを出て行った。