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番外. Gの侵略
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グランドラインの天候は変わりやすい。
「船体2時の方向へ!」
「「「おう!」」」
土砂降りの雨と、吹き荒れる暴風。
サニー号は、荒れ狂う波を巧みに掻き分けていた。
「ふう……やっと落ち着いたわね」
数分後。
晴れ空の下に出ると、ナミは額を拭う。
芝生の甲板に、ルフィ・ウソップ・チョッパーが寝転んだ。
「はぁ~~疲れた~……」
「毎度のことながら、サイクロンには手を焼くなぁ……」
「おれ、しばらく動きたくねぇ……」
3人を見降ろしたナミは、くすっと笑う。
「しばらくは晴天が続くから大丈夫よ。今のうちに休むことね」
「「「はぁ~い……」」」
ゾロは既にトレーニングルームに向かっており、フランキーはエンジンルームへ、サンジは着替えに男部屋へ行く。
「さてと」
ナミは着ていたTシャツの端を絞った。
「お風呂入ろうかしら……」
ボタボタと水が滴り落ちる。
そこへ、船尾の方からロビンとティオがやってきた。
2人とも、ナミ同様にずぶ濡れだ。
「……むぅ……かみ、おもい……」
頬を膨らませたティオは、羽ペンを抜いて髪を解き、絞る。
日に照らされて乾きかけていた床板が、再び濡れた。
ロビンが笑みを浮かべて言う。
「お風呂に入りましょ? そのままだと風邪を引いてしまうわ」
「(コクン)」
「あぁ、ちょうどよかった。あたしも入ろうと思ってたの。行きましょ」
「えぇ」
「(コクン)」
女子3人は、揃って風呂場へ上っていった。
「ん~っ、生き返る~!」
「お風呂、大きくなって良かったわね。メリー号の頃は、交代で入るしかなかったもの」
「そうね~。フランキーってば、イイ仕事してくれたわ~」
3人が一緒に入っても、サニー号の大浴場はまだまだ余裕がある。
「……ぶくぶく……」
「あっ、ちょっとティオ、寝ちゃダメよ?」
「ふふ、溺れてしまうわ」
「んぶ……」
湯に沈みかけていたティオを、ロビンが後ろから抱きかかえてやる。
もう沈まないと分かると、ティオは完全に寝てしまい、こっくりこっくり首を揺らした。
「ほんと、よく寝るわね。昼も夜も」
「そのうち、目蓋がくっついて開かなくなったりして」
「えっ、そんなことあるの?」
「ふふっ、どうかしら」
「ちょっと~」
十分に温まると、3人は風呂から上がった。
「ティオ、もうちょっと起きてて?」
「……うぅ……」
ナミとロビンが、フランキー作のドライヤーを2つ同時に使って、ティオの長~い髪を乾かしていく。
濡れたままにしておくと、すぐに風邪を引いてしまうからだ。
「いーい? このあと寝るなら、湯冷めしないように気をつけるのよ?」
「……ん……」
返事なのか、否か……
「はぁ……分かってんのかしら」
「ふふ、きっと大丈夫よ。寝るならゾロのところでしょう? 何だかんだ、いつもティオのこと気遣ってくれてるもの」
「まぁ確かに。アイツどういうわけかティオには甘いし」
ティオの髪が乾くと、ナミがいつもの羽ペンで結い始める。
「そういえば、どうして羽ペンなんて使ってるの?」
ティオは、こっくりこっくり舟を漕ぎながら呟いた。
「……もらった、の」
「貰った? 貰って、かんざし代わりにしちゃったの?」
ティオはゆっくり首を横に振る。
「その、ひと……かみ、やって……くれた」
「へ~。羽ペンで髪まとめるなんて、変わった人なのねぇ」
「(コクン) ……へん、じん」
……そのとき、海軍本部でクザンがくしゃみをしたのは、偶然ではない。
「大事にしてるのね」
「「?」」
ロビンが自分の髪を乾かしながら、続ける。
「日に焼けて、無数の傷がついてる。少なくとも2年は使ってるんじゃない?」
さすが考古学者なだけあって、ほぼドンピシャだ。
この羽ペンは2年前、ちょうど伝承者の役を引き継いだときに使い始めた。
「(コクン) …だいじ、な、もの」
「よし、できた。……けど、いつか壊れちゃいそうよね。本来の用途で使ってるわけじゃないし、大量生産品みたいだから、丈夫でもない」
「(コクン) …かたち、ある、あいだは、だいじ、する」
ティオの人差し指が、羽ペンの羽部分をなぞった。
ナミは笑みを浮かべて、ティオの両肩にポンと両手を置く。
「さ、昼寝でも何でも行っていいわよ」
「ん、ありがと。……でも、そのまえ、に」
"ぐ~きゅるるる……"
「おなか、すい、た」
「あぁそっか。アンタ朝起きるの遅かったから、まだご飯食べてないのよね」
「(コクン) …たべようと、したら、あらし、くるし……」
「きっとサンジ君が用意してくれてるわ」
「(コクン)」
ロビンがティオの手を取る。
「一緒にキッチンへ行きましょうか。私もコーヒーが飲みたいの」
「(コクン)」
「ナミも一緒に行く?」
「ううん、あたしはいいわ。天候が落ち着いてるうちに海図描きたいし」
「そう。頑張って」
「ん、ありがと」
ロビンとティオはキッチンへ、ナミは測量室兼図書室へと向かった。
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