夢主の名前を決めて下さい。
24. 水の都、出港
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「拳・骨……
"ヒュッ、ヒュッ―――ズドォンッ"
砲弾を投げ続けるガープに、コビーとヘルメッポは唖然としていた。
「ル、ルフィさん……っ」
「実の孫に容赦ねぇなァ……」
「……ぁん?」
突然、ガープが砲弾を投げるのを止めた。
「何じゃ?」
麦わら一味の船が突然、帆をたたみ始めたのだ。
帆をたたんでしまっては、風を受けることも出来ず、船は進めない。
軍艦のリクライニングチェアに寝そべっていたクザンは、アイマスクを引き上げた。
「……」
ガープの近くにいた海兵が、首をかしげる。
「観念、したのでしょうか……」
ガープはフンと鼻を鳴らした。
「観念じゃと? ぶわっはっはっはっ、観念などするまいが、何をする気じゃ、ルフィ」
「急げ~! 帆をたため~!」
「そうだ~! 帆をたため~!」
フランキーとルフィがハイテンションで拳を突き上げる。
それを見下ろし、帆をたたんでいたゾロは眉間にしわを寄せた。
「おいフランキー、本当にいいのか?」
「あぁん? 本当にいいのかだと? 馬鹿野郎、この船を信じろィ!」
フランキーの後ろで、ルフィ、ウソップ、チョッパーが肩を組んで踊っている。
「そうだそうだ~!」
「信じろ馬鹿野郎~!」
「ばかやろ~ぅ!」
久々の三馬鹿トリオのアホさ加減を、ナミは半目で見つめた。
「ウソップ、アンタほんの1分前まで……まぁいいけど」
マストを降りてきたゾロが怒鳴る。
「テメェらも手伝え! ……はぁ。おいフランキー、テメェの言う通り、帆はたたんだぞ? 何する気か知らねぇが、早くしねぇと軍艦に追いつかれるぞ」
「まぁ待て、まだだ」
「あ?」
「まだこの船に、名前を付けてねぇ」
サンジが目を剥いた。
「名前!? こんなクソ忙しいときに何言ってんだテメェは!」
「名前が決まらねぇと出港に勢いがつかねぇだろーが」
「ンだそりゃ……何とかライオン号みてぇな感じか?」
すると、真っ先にルフィが手を挙げた。
「よーっし、強そーな名前っ、俺考えた~! 【クマ・シロクマ・ライオン号】!」
ウソップがルフィの頭をベシッと叩く。
「そんな変な名前の船あるか!」
「じゃ【トラ・オオカミ・ライオン号】!」
「その動物の羅列をやめろ! 何の呪いだ!」
「【イカ・タコ・チンパンジー】!」
「ってライオンいねぇじゃねぇか!」
フランキーはニヤリと口角を上げた。
「まぁ、ライオンってのはイイ線だよな。なのにガレーラの連中と来たら……」
それは、パウリ―とタイルストンの会話……
「このピークヘッドはいいなぁ」
「ああ! いいヒマワリだ!」
「違うわ馬鹿共!」
そこに、アイスバーグが笑いながらやって来る。
「はっはっはっ、まぁ、お前らが間違うのは無理もねぇ。……だが、未来の海賊王が乗る船だ。そういう願いを込めたんだろ?」
「……フン、そうさ。猛獣だらけのこの海に乗り出し、その頂点を極めるにふさわしい……」
「いい太陽だ」
「違うわ馬鹿!」
「過酷なる千の海……サウザンド・オーシャンを、太陽のように陽気に越えていく船……。アイツらにピッタリだ」
「違うっつってんだろ馬鹿バーグ!」
「こういう船の名はどうだ、フランキー。海賊船【サウザンド・サニー号】」
フランキーの口からその名を聞き、ルフィたちは目を輝かせた。
「おぉ~っ!」
「いいなぁソレ!」
「俺が今考えてた【ダンゴ・ゴリラ・ライオン号】よりイイ!」
「しりとりか!」
「俺の頭をよぎった【ライオネル親方】よりいいな」
「私の【暗黒丸】より……」
「俺の【ムッシュひまわり】より……」
「気は確かかテメェらぁぁ!」
「千の海を越える船って、素敵ね。サニー、太陽も」
「まぁ待て、今のは序の口。俺の考えたこの名前こそが本命だ。聞け、この船の名は!」
「アイスのおっさんのヤツでいこう!」
「【ニューバトルフランキー"ライオンギャングチャンピオン号"】!」
「サウザンド・サニー、いいな!」
「ニューバトル……
「「賛成~!」」
「よろしくな! サニー!」
「フランキー"ライオン……
「名前が決まると出港の気が引き締まるな」
「ふふっ、そうね」
「(コクン)」
「ギャングチャンピオン……
一味全員から総スカンをくらって、フランキーはしゃがみ込んだ。
「ぶー、ぶー……」
「おいフランキー、そこで何ブーブー言ってる。早く秘密兵器とやらで振り切れよ」
「もう軍艦はすぐそこだからな」
「分ぁったようっせぇな! 今のうちに、この美しい水の都を見納めておけ? あっという間に島の影も見えなくなるぞ」
フランキーはニヤリと口角を上げて、船内の動力室へ歩いて行った。
「そっか、んじゃ」
ルフィは欄干に立って息を吸い込み、軍艦に向かって思い切り叫んだ。
「じ~ぃちゃぁぁぁん!!」
「ぁん? 何じゃ?」
「それからコビーとぉ……。久しぶりに会えて良かったぞォォ!」
「ヘルメッポだっつの! いい加減覚えろよ! 俺の名前!」
「何じゃいルフィ、まだ
ルフィはガープに向かってニヤリと挑戦的な笑みを向けた。
「こっから俺たち本気で逃げるからな! またどっかで会おう!」
「おのれっ、わしの子供の子供のくせに生意気な!!」
「ガ、ガープ中将っ、ちょっと冷静に!」
額に血管を浮かび上がらせたガープは、甲板の端に飛び出ていた、長く巨大な鎖を引っ張った。
その鎖に引っ張られ、船内から巨大な鉄球が姿を現す。
コビーは、顎が外れそうなほどあんぐりと口を開けた。
「とっ、特大鉄球!?」
ガープはそれを、サニー号に投げつけようと構える。
「何だありゃ」
「ぎゃあああああっ! やべぇぇぇっ!」
「お前、わしをナメとったらいかんぞ? そいやァっ!」
特大鉄球がサニー号の真上へと飛んでくる。
「いやああぁぁっ! ちょっとティオ! アレなんとかなんないの!? 弱点とかあるでしょぉぉっ!」
「……なみちゃん、てぃお、ばんのう、じゃ、ない」
「冷静に言わないでぇぇぇっ!」
……迫りくる鉄球。
ルフィは船内の動力室へと叫んだ。
「急げ! フランキー!」
「行くぞ! しっかり掴まっとけェェっ!
"ボヒュンッ!!"
サニー号の後方から発射された、超高密度の空気砲。
サニー号は一気に空へと舞い上がる。
「んな……っ」
「うそ、だろ……っ」
海兵たちは皆、開いた口が塞がらなかった。
クザンもアイマスクを引き上げ、見開いた目で上空のサニー号を見つめる。
ガープはニヤリと口角を上げた。
「フン、やりよるわい」
上空のサニー号では、ウソップが既視感を覚えていた。
「この感覚……空島の……。……メリー……」
空島へ行くため、ノックアップストリームに乗ったときと同じ感覚だ。
背後にフランキーがやってくる。
「コーラ樽3つも消費しちまうが、1km飛べる。オメェらの乗ってきたゴーイング・メリー号に出来て、この船に出来ねぇことは何1つねぇ。全てにおいて上回る。……だが、あの船の勇敢な魂は、このサウザンド・サニー号が継いでいく。壊れたら、俺が完璧に直してやる! 船や兵器のことなら何でも俺を頼れ? 今日からコイツが、お前らの船だ!」
"ザパァンッ!"
飛び上がった場所から約1km。
サニー号は無事に着水し、進み始めた。
「こりゃぁまいったのう、逃げられたわい、ぶわっはっはっはっはっ! さすがはわしの孫じゃ!」
豪快に笑ったガープは、特大鉄球を引き戻し始めた。
「……?」
鎖を引っ張った感じが、いつもと違う。
見れば、鎖のあちこちに小さな氷がついていた。
これでは、投げたときに鉄球が失速してしまい、サニー号までは届かない。
ガープはチラリとクザンを振り返った。
「……」
「……」
クザンはアイマスクを掛け、寝たフリを決め込んでいる。
特大鉄球を回収すると、ガープはフンと鼻を鳴らし、呟いた。
「……お前はティオに甘いな、クザン」
「……孫に甘々なアンタほどじゃないっスよ。……その鉄球、いざとなれば引っ張り戻せるくらい手加減して投げてたんでしょう?」
「……黙っとれ青二才が」
「へーへー」
2人の話を唯一聞いていたボガードが、ため息混じりに言った。
「本部に連絡入れてきます……」
その頃、無事に軍艦から逃げ切ったサニー号では……
「みんなァ、持ったかァ~?」
芝生の甲板で宴会が開かれていた。
ひとりひとり、ジュースを注いだジョッキを持っている。
「そんじゃ改めて! 帰ってきたロビンとティオとウソップ! そして新しい仲間、フランキーと、海賊船、サウザンド・サニー号にぃ! かんぱ~いっ!!」
「「「かんぱ~いっ!」」」
ジョッキがぶつかり合い、ジュースが少し零れた。
「ほれほれウソップ~!」
「かんぱ~いっ!!」
「ぶぐぉっ! てンめぇ顔面にジョッキ叩きつけんなコラァ!」
「ふふふふっ」
「あっはっはっはっはっ!!」
「あははっ、馬鹿みたい!」
「よっしゃぁオメェら! 次は魚人島だァァ!」
「「「おおおおおっ!」」」
青い空、白い雲、穏やかな海。
しばらくの間、海のド真ん中で笑い声が響いていた。
一躍世界に知れ渡った麦わら一味の、高らかな笑い声が。
→ 第三章:25. バウンティ・ハンター
14/14ページ