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24. 水の都、出港
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その日から数日後の、今日。
結局ウソップは戻らず、麦わら一味は出港の時を迎えたのだ。
「あの部屋でずっと待ってたけど、結局来なかった。これが答えさ!」
頬を引きつらせながらも、笑って言い続けるルフィ。
「アイツだって楽しくやると思うぞ? 海賊はやめねぇだろうから、そのうち、海で会えるといいな~! あははははっ!」
無理しているのがバレバレだ。
見かねて、ナミが提案した。
「ねぇ、もう少し待ちましょうよ! 別に急ぐ旅でもないんだから、ねっ?」
すると、ティオが頭を押さえつつフラリと立ち上がった。
「そんな、ひま、たぶん、ない」
「え……?」
"ヒュウウゥゥ―――
ズドォンッ!"
「きゃあああっ!」
突然、船の傍で水柱が上がった。
「しまった! 見つかったぞ、海軍だ!」
ルフィが慌てて欄干へ走り寄る。
「げっ、じいちゃん!?」
キィィン……と、スピーカーのスイッチの入る音がした。
『あー、こちらじいちゃん、こちらじいちゃん、聞こえとるかー? 聞こえたら返事をしろ~!』
「おい何だよじいちゃん! 俺たちのことココじゃ捕まえねぇって言ってたじゃねぇか!」
『あー、まぁしかし色々あってな。すまんがやっぱり海の藻屑となれ!』
「ええええええええっ!?」
『詫びと言っちゃぁ何じゃが、わし1人でお前らの相手をしよう!』
一味は全員欄干に寄り、軍艦を見やった。
海兵たちが、ガープに砲弾を渡して行くのが見える。
「……何してんだ?」
サンジが呟くと、その隣でティオが淡々と言った。
「げんこつ、めてお。ほうだん、すでで、なげる、がーぷちゅうじょうの、とくいわざ」
「んなにぃぃっ!?」
本来、砲弾は非常に重く、両手で抱えてやっと運べるものだ。
それを、ガープは片手でボールのように扱っている。
ガープが腕を振り上げ、振り下ろした瞬間……
"ヒュッ―――ドゴォッ!"
船の傍でとんでもない爆風が起きた。
サンジとゾロの頬を汗が流れる。
「うおぉいっ、マジ素手で投げやがったぞ! まるで大砲じゃねぇか!」
「大砲よりよっぽど強く飛んできたぞ! 野球のボールじゃあるめぇし!」
『はっはっはっはっ! 最近パワーが落ちていかんわい』
ナミが青ざめる。
「どこがパワー落ちてるってのよ!」
「たしかに、だいぶ、おそい、かも」
「あれ以上って一体どんな怪力よ!」
そもそも本気で投げていないことが、ティオには分かっていた。
やはり、可愛いい孫を自らの手に掛けたくはないのだろう……
それに、軍艦にはクザンも乗っている。
おそらく、ガープが麦わら一味を追いかけることになったと知って、来てくれたのだ。
賭けにより、1回だけ見逃す手はずだから、もしガープがぶち切れて本気になったとしても、最後の最後には止めてくれる。
「~~~っ仕方ない! とにかく逃げるわよ! 新しい船が粉々にされちゃうわ!」
…もう、ウソップを待つ余裕はない。
『
ガープの元に、砲弾が無数に運ばれる。
「ヤバいぞっ、今の大砲以上の弾が雨のように飛んできやがる!」
「げんこつ、りゅうせいぐん」
「冷静に言ってないで知恵貸してティオ!」
「ちえ、も、なに、も、にげながら、ほうだん、はじく、しか、ない」
ルフィが叫んだ。
「ナミ! 全速前進! 他はみんな、砲弾を食い止めろ!」
「「「おう!」」」
そのとき、チョッパーの鼻が動いた。
「来たぁ~!」
ウソップの匂いを嗅ぎつけたのだ。
「みんな~! ウソップが来たぞ!」
チョッパーが欄干から身を乗り出し、ウォーターセブンの裏街を見つめる。
その隣にロビンが歩み寄った。
「本当?」
「うん! こっちへ近づいて来てるよ! なぁ、ティオ!」
「(コクン)」
本当はずっと前から気づいていた。
ウソップはこの数日、常にこちらの動きを気にして生活していたから。
ガレーラの仮設ルームへも毎日訪れ、こっそり中を覗いていた。
仲間の元に戻りたくて仕方ない感情が、ティオにはひしひし伝わっていた……
「お~い安心しろお前ら! 俺はちゃんと! 戻って来てやったぞ~!」
降り注ぐ砲弾の中、ウソップの叫びが小さく聞こえてくる。
チョッパーは慌てて仲間たちに訴えた。
「ウソップが来たぞルフィ!」
「船を守れぇぇぇ!」
"ヒュヒュッ―――ズドォンッ"
「おいっ、ルフィってば!」
「お~い喜べお前ら~! 俺が戻って来てやったんだぞ! チョッパ~! 今日はいい天気だな! 釣りでもしねぇか! って、そんな場合じゃねぇか、あっはっはっはっ! そういえば朗報があるぜ! なんと俺が帰った暁には! 副船長になってやってもいいぞ! どうだっ? お~い!」
叫び続けるウソップを見つめて、チョッパーはオロオロするばかり。
「なぁルフィ~! まさかお前、喧嘩したときのあのときのジョーク、信じてねぇよなぁ! 長げぇ付き合いだもんな! 俺があんなこと本気で言うわけねぇよ! 色々言い合いはしたけどよ、仲間だもんなっ、多少のことは水に流してやるよ! なぁっ、おい! 何とか言えよ!」
「ルフィ! ウソップが呼んでるよ!」
「聞こえねぇ」
「なぁゾロ!」
「何も聞こえねぇ」
「ウソつけ聞こえてるだろ!」
ガープの投げる砲弾に追われて、どんどん岸から離れていく船。
「……何だよ。お前ら、本気で俺と別れようってのか?」
ウソップの顔から、貼りついていた笑顔が消えていく。
「……だったらよ、1つだけ言わせてもらうぞ……っ」
ウソップは肩を震わせながら、岸のギリギリに膝をつく。
そして、思いっきり息を吸い込んで―――
「ごめぇぇぇんっ!」
力の限り叫んだ。
「……」
ルフィは思わず動きを止める。
見れば、ウソップが滝のような涙を流していた。
「意地張ってごめぇぇんっ! 俺が! 悪かったぁぁっ!」
……待ちに待った、謝罪の言葉。
麦わら一味はみんな、思わず口角を上げた。
「ひぐっ……ぐすっ、今さらみっともねぇんだけど……っ、俺一味をやめるって言ったけどっ、あれっ、取り消すわけにはいかねぇかなぁぁ!!……ダメかなァっ、頼むからよぉ……っ、お前らと一緒に! 居させてくれぇぇっ!! もう一度っ、俺を仲間に! 入れてくれぇぇっ!!」
……もう、それ以上の言葉はいらなかった。
ルフィは思いっきり手を伸ばす。
「ぐすっ……ル、フィ……?」
ウソップは、目の前に差し出された手とルフィとを交互に見つめた。
「馬鹿野郎ォォ! 早く掴まれぇぇ!!」
ウソップと同じように、ルフィも滝のような涙を流していた。
「うっ、うぅっ、うおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!」
ウソップが両手でルフィの手を掴むと、ルフィは腕を縮めた。
"シュルルル……ゴチンッ!"
勢い余って、2人の頭が激突する。
……けれど、2人はそんな痛みなど感じていないようで、号泣しながら笑っていた。
「「へっ、えへへっ、ぐすっ」」
ナミが目尻に涙をにじませながら、笑う。
「あははっ、カッコ悪いわね、アンタたち」
ルフィが涙をぬぐって、拳を振り上げた。
「やっと全員揃ったぁぁ! さっさとこんな砲撃抜けて、冒険に行くぞ! 野郎共ォォ!!」
「「「おおおおお!!」」」