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24. 水の都、出港
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麦わら一味の男たちは、ティオの指し示した方角へ走って行った。
残されたナミ、ロビン、ティオは、新しい船から裏街を見つめる。
"―――ドゴォッ……ドゴッ"
時折、至る所から煙が上がった。
「なーんか派手にやってるみたいねぇ……」
「おいかけっこ、おに、ふらんきーだから」
「ふふっ、また街の修復が必要かもしれないわね」
「(コクン)」
「はぁ……また1人、物を壊す男が仲間に加わるのね……」
ティオの覇気が感知した。
「ふらんきー、きた。るふぃ、たちも」
白い人さし指が、空を指す。
「ぅぉぉおおあああああ!」
"ドゴォッ!"
どこからか飛んできたフランキーは、頭から廃船島の瓦礫に刺さった。
それを見た瞬間ナミが……
「見ちゃダメよティオ!」
ティオの背後から手を回し、目を塞いだ。
「ぅ……?」
ティオはわけが分からず首を傾げる。
「ったくもう! 何やってんのよアイツら!」
叫びながら、ナミもフランキーから目を逸らす。
ロビンは動じることなく、寧ろ笑った。
「ふふふっ、なかなか面白い鬼ごっこをしてきたみたいね」
「面白くないわよ!」
……瓦礫に突き刺さったフランキー。
その下半身には、何もなかった。
本当に何も、パンツの1枚も―――
「たぁすけぇてぇ~!」
「え、なに、チョッパー?」
どこからか聞こえてきたチョッパーの声。
"ヒュッ……ドゴォッ!"
フランキーの次は、ルフィとチョッパーが空から降ってきた。
おそらく、ルフィのゴムゴムのロケットだろう……
哀れチョッパーは目を回して気絶していた。
ルフィの手には、フランキーのパンツ。
ナミがティオの目を塞いだまま、それを指さした。
「アンタ何でそんなの持ってんのよ!」
「にっしっしっ、フランキーをここまで連れてくるためだ!」
「他に方法あったでしょーが!」
"ボゴォッ"
フランキーが瓦礫から頭を引き抜いた。
「んぁ~……イテテっ」
ルフィが声を掛ける。
「フランキー!」
「ぁん?」
「船、ありがとな! 最っ高の船だ! 大切にする!」
「へっ……あぁ。オメェらの旅の、無事を祈ってる」
ルフィはニヤリと笑い、フランキーのパンツを高らかに掲げた。
「このパンツ、返してほしけりゃ、俺たちの仲間になれ!」
「……」
フランキーの表情が歪んだ。
「フン、パンツ1つ奪ったくれぇで、俺を仲間に出来ると思うなよ?」
フランキーは海を背に、ウォーターセブンの街へ向かって堂々と立つ。
「ア~ォ! なんのその、男は裸百貫の、波に向かって立つ、獅子であれ!」
騒ぎを聞いて集まっていた住民たち、その中でも主に女性たちが叫ぶ。
「いやぁ~!」
「変態~!」
「見ちゃダメよ!」
「アイツ最悪だぁ!」
一方、麦わら一味の方でも……
「なみちゃん、てぃお、なにも、みえない」
「見なくていいの! いいから目ぇ閉じてなさい!」
ナミが必死でティオの目を塞いでいた。
ルフィは驚きながらも、尊敬のまなざしをフランキーに向ける。
「あ、甘かった……っ、なんて気が強ぇんだ! アイツ、男の中の男だ!!」
"ベシッ"
「ただのド変態でしょーが!」
ナミがティオの目を塞いだまま、ルフィの頭を殴った。
状況を眺めていたロビンが、微笑を浮かべてルフィに訊く。
「手荒でよければ、手を貸しましょうか?」
「んぇ? ……あ~そういや、アイスのおっさんも、力づくで連れてくしか手は無ぇって言ってたな」
「でもロビン、どうする気なの?」
「ふふっ……
「「え……」」
突然、フランキーの太腿に、2本の手が生えた。
その手が狙っている先を察して、フランキーは青ざめる。
ロビンはキリっとした眼差しで、交差した手を握った。
「グラップ」
その瞬間―――
「のああああっ!」
切ない叫び声が響き渡った……
「んなっ、ちょっとロビン!」
ルフィとチョッパーが青ざめる。
「握ったぁぁっ!? 痛てえぇぇっ!」
「つぶれるぞぉロビン! 痛たたたっ!」
この苦しみは男にしか分からない……
目を塞がれているティオには、フランキーの切ない悲鳴の意味も、ルフィたちの叫びの意味も分からない。
「んぅ? なみちゃん、て、どけて?」
「ダメよ! 絶対見ちゃダメ!」
「ぅぅ……っ、ずがい、こつ、が……」
必死すぎるナミの手に圧迫され、ティオの頭蓋骨も悲鳴を挙げ始めた。
アイスバーグやガレーラの職長たちも唖然としている。
キウイとモズが叫んだ。
「もげるわいなぁぁぁ!」
「もぎり取れるわいなぁぁぁ!」
「「みかんのようにぃぃ!!」」
それを聞いたルフィがハっとして、ロビンに言う。
「おいロビン! 男のまま仲間にしてぇんだよ俺は! 取るなよ!?」
ロビンは微笑を浮かべたまま、フランキーに言った。
「宝を目前にした海賊に手を引けというのなら、相応の理由を言ってもらわないと、引き下がれないわよ?」
フランキーは痛みを堪えながら、絶え絶えに答えた。
「だっ、だからっ……この島に居てぇんだよ、俺ァっ……オメェらには感謝してるさ、したって、しきれねぇくれぇにな……。一緒に行ってやりてぇが、俺には、ここでやらなきゃならねぇことがある。だから船を送ったんだ! ……そもそも、俺は船大工を辞めた身だ。そいつは俺の造る、生涯最後の船になる! ……念願だったんだ、夢の船を造ることが!」
「待て、フランキー」
「?」
フランキーに、アイスバーグが歩み寄る。
「そいつはまだ、お前の言う『夢の船』にはなってねぇはずだ」
「っ、やりてぇことが変わったんだ!」
「やりてぇこと? それは違う。お前が今この島でやってることは全て、償いだ」
「……」
「あの日、トムさんが連行されていったことは自分のせいだと、お前はまだ悔いているんだ。……だがトムさんは、あの日すでにお前を許し、道を示していたはずだぞ」
「!」
「お前が裏街のチンピラ共をまとめ上げたことも、賞金稼ぎを名乗り、略奪者を排除していたことも、全てはトムさんの愛したこの水の都を守るための、せめてもの罪滅ぼしだ。……
「…見えねぇだろうよ。ハナからそんなつもりは、毛頭
「大好きな船作りもやめて、自分を押し殺して生きてきた。これからもずっとそうするのか? ……たとえトムさんが許してくれても、俺がお前を許してやっても、何も変わらねぇんだろうな」
「……」
「もういい加減に……」
「……っ」
「自分を許してやれよ、フランキー」
「……っ、ぐっ」
フランキーの目からは、涙が溢れていた。
「もう、テメェの夢に生きていいだろ」
"ヒュゥ―――ドサッ!"
「「!?」」
突然、フランキーとアイスバーグの足元に、何かが降ってきた。
「なっ、何だ!? ……バッグ!?」
それはフランキーが、遠出するときにいつも使っているもの。
それを飛ばしたであろう場所を見れば、ザンバイたちがいる。
「旅の荷物です、アニキ~!」
「……あぁん?」
「乱暴なマネしちまったことは、すいやせんでした! けど俺たちっ、
フランキーのこめかみに血管が浮き出る。
「
「もっ、申し訳ねぇ……けどっ、少しくらい考えたらダメっすか……俺たちみたいなのを拾ってくれた大恩人の、アンタの幸せを考えたら! ダメっすか!」
「んなっ」
アイスバーグとココロがニヤリと笑った。
「フン……」
「どっちが馬鹿らい、まったく」
フランキーはもう、溢れる涙を止められなかった。
「ひっ……ぐっ、うああぁぁぁっ、いででででででで!」
握られたところを押さえて転げまわるフランキーを見ていられず、ルフィとチョッパーはロビンに目を向けた。
「おいロビ~ン、加減してくれよ~! 女になっちまう!」
「泣いてるぞぉアイツぅぅ!」
しかし、ロビンは何も答えない。
「ひぐっ、うああぁぁぁっ! 痛くて涙が止まらねぇ! ヂギショーっ! ニコ・ロビン! 許さねぇぇぇぇ!」
「なぁおいロビン! もう勘弁してやってくれ……って、あり?」
ルフィがもう一度目を向ければ、ロビンはもう、腕を交差させていない。
「オメェ、何もしてねぇのか?」
「ふふふっ、私がやったのは、最初の1回だけよ? ずるいわね、涙を痛みのせいにして」
「え、1回だけ、なの……?」
「なみ、ちゃ……あた、ま、われ…る……」
相変わらず、頭蓋骨を圧迫され続けているティオ。
フランキーよりも、こっちの方が危機迫っているような……
と、そこに。
「急げ!」
「ヤベェことんなった!」
ゾロとサンジが、裏街の方から走ってきた。
「「ルフィ!」」
「んぁ? ゾロ、サンジ?」
「大変だ!」
「お前のじいさんが戻ってきたぞ!」
「向こうの海岸で、砲撃態勢で俺たちを探してる!」
「えぇっ!? 何でだよ! 捕まえねぇんじゃなかったのか!?」
「俺たちが知るかよ!」
「出港準備急げ!」
2人は船へ飛び乗る途中、フランキーを見かける。
「あぁ? フランキーてめぇ、まだパンツ履いてなかったのか」
「あ、ヤベ、忘れてた」
ルフィは握っていたパンツを投げた。
「返すぞ!」
パシッとフランキーの手にパンツが渡る。
「さぁ、乗れよ、フランキー!」
「……」
「俺の船に!」
船の欄干に立ち、腕を組んで仁王立ちしているルフィ。
「……へっ、へへへっ」
フランキーは苦笑しながらため息をついた。
「生意気言うんじゃねぇよ。ハリボテ修理しか出来ねぇド素人共め。これだけ立派な船だってのに、大工の1人もいねぇたァ船が不憫だ。……仕方ねぇ、世話してやるよ。テメェらの船の船大工、このフランキーが請け負ったァ!!」
「いやったぁ~!! 新しい仲間だ~!!」
「やった~~!!」
ルフィとチョッパーは大はしゃぎだった。