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24. 水の都、出港
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やがて、日も高く上ってきた頃。
「海賊にぃちゃんたち~!」
「ニャア! ニャア!」
「「麦わら~!」」
チムニーにゴンベ、フランキー一家のキウイとモズの声が聞こえてきた。
"バタンッ!"
転がり込むように3人と1匹が入ってくる。
「「「はぁっ、はぁっ」」」
「んぉ? 何か用か~?」
「はぁっ、はぁっ、ふ、フランキーのアニキが、みんなを呼んで来いって!」
「夢の船が、完成したんだわいな!」
「すっごいの出来てるよォ!」
「ニャァ~!」
それを聞いた途端、一味は全員、目を輝かせた。
「ホントか~!? もう出来たのかよ! 随分と早ぇなぁ!」
「超一流の船大工たちが、5人で夜通し造ってたんだわいな!」
「だわいな!」
「よぉし、すぐ行こうぜ!」
……と、そこへ。
「麦わらさ~ん!」
また誰かの呼ぶ声が響いた。
「んぉ?」
窓の外を見れば、フランキー一家のメンバーが全員で走って来る。
先頭はザンバイ。
キウイとモズは顔を見合わせて首を傾げた。
「アンタたちどうしたんだわいな」
「そんなに息切らせて」
仮設ルームの外へ出てくる麦わら一味。
その目の前で止まったフランキー一家は、その場に膝をついて荒い呼吸を整えた。
「はぁっ、はぁっ、じ、実は、ちょっと、無理聞いてもらおうと思って……。手配書、見ましたか!?」
「手配書?」
「麦わらさんアンタ、とんでもねぇ額ついてるぜ!? 他のメンバーも全員、追加手配されちまってる!」
一味のクルーは喜んだり青ざめたり。
「俺もか! ぅぉおおっやったぁ!」
「まさかっ、あたしもっ……?」
「お、俺もなのかぁ!?」
ザンバイは懐から紙の束を取り出した。
「まぁ話すより、見てくれ! アンタら8人全員の首に、賞金が!」
地面に広げられた手配書を、一味はそれぞれ覗き込んだ。
「麦わらのルフィ、懸賞金3憶ベリー」
「うははははっ! ほほ~い上がったぁ!」
「海賊狩りのゾロ、1億2000万ベリー」
「フン、まぁまぁだな」
「泥棒猫ナミ、懸賞金1600万ベリー」
「ちょ、ぉ……っ」
「綿あめ大好きチョッパー、一味のペット、懸賞金50ベリー」
「んがっ……ごじゅ?」
「悪魔の子、ニコ・ロビン、8000万ベリー」
「ふふっ」
「元・海軍本部二等兵、ティオ、9600万ベリー」
「……」
そして最後の手配書を見た瞬間……
「ダ……ダレ、ダ?」
サンジの頬がこれでもかと痩せこけた。
「黒足のサンジ、写真入手失敗、懸賞金7700万ベリー」
サンジの手配書だけ、写真部分が絵になっている。
ルフィは、残った1枚の手配書を指さして笑った。
「見ろよ、そげキングにもついてるぞ? あはははっ!」
狙撃の王様、そげキング、懸賞金3000万ベリー。
ザンバイは、喜んだり膝をついたりの一味を見渡し、もう一枚手配書を出した。
「ま、まぁ、心中お察しするというか……俺たちの頼みはこっちなんだ! 見てくれ!」
「んぉ、フランキーじゃねぇか」
「サイボーグ・フランキー、懸賞金4400万ベリー」
「大変だわいな!」
「アニキが賞金首になっちまったわいな!」
「そうなんだ。俺たちは何とか免れたが、アニキはダメだった……。このウォーターセブンにいちゃぁ、アニキの命が危ないんだ! 今度捕まったら、もう俺たちの力じゃ助け出せねぇ! きっとアニキは、俺たちが心配で島を出ようとしねぇからよぉ。……そんで、みんなで話し合ったんだ」
ザンバイは地面に手をつき、ルフィを真っ直ぐ見据えた。
「麦わらさん、頼む! 無理矢理にでもいい! アニキを海へ連れ出してくれ! あの人、元は海賊の子なんだよ!」
「「「お願いします!!」」」
フランキー一家の全員に頭を下げられると、ルフィは満面の笑みを浮かべた。
「言われるまでもねぇ。船大工はアイツしかいねぇと決めてた!」
一家は顔を上げた。
「まっ、マジっすか!? みっ、皆さんもそれでいいんで!?」
サンジ、ナミ、チョッパーは手配書の件で撃沈中のため、答える余裕がない様子。
「は、はは……いいんじゃない?」
「……ご、じゅぅ……」
「だ、だれ、なんだ……これ、は……」
しかし、他のメンバーは満面の笑みで頷く。
「ふふっ、もちろんよ」
「(コクン)」
「ま、そういうこった」
ザンバイは表情を綻ばせる。
「よ、よかった……っ、そうと決まれば長居は無用だ。オイ、行くぞ野郎共!」
「「「うおおおぉぉぉ!!」」」
去っていくメンバーたちに、キウイとモズが目を見開いた。
「んなっ、どこ行くんだわいな!」
「船のある廃船島は、こっちだわいな!」
「……悪いが、俺たちは見送りは無しだ。会うと分かれが辛くなる……モズ! キウイ! お前たちからよろしく伝えておいてくれ」
「「ザンバイ……」」
フランキー一家の背中は皆、覚悟を決めた男たちの背中だった。
……その後。
「お前ら、ウソップの件はちゃんと腹をくくったな?」
仮設ルームを出る前に、ゾロが最後の確認をした。
サンジ、ナミ、チョッパーはまだ撃沈しており、それどころではない様子。
ルフィが笑顔を浮かべたまま、答えた。
「ゾロ」
「……これが筋ってもんだ」
「あぁ、分かってる。……さてと、おい、いつまで落ち込んでんだよオメェら」
「うるせええぇぇっ! 何で俺だけ絵なんだよ!」
「最初からその額はすげぇぞ、ははっ」
「きっと、しゃしん、とったの、あたっち」
ルフィが眉間にしわを寄せる。
「アタッチ~? 何だそいつ」
「かいぐん、しゃしんぶ、ぶちょう。まれ、に、かめら、れんずの、きゃっぷ、はずし、わすれる。だから、とれなかった」
「クソ野郎がっ、そいついつか三枚におろしてやる!」
「そういや、ティオも最初から賞金額すげぇなぁ。もうちょっとで1億じゃねぇか」
「……おもってた、より、ひくかった」
この頭の中の秘密のことを思えば、数億、場合によっては十億を超えても不思議ではなかったのに。
……おそらく、ヘタに賞金額を上げすぎたら危険だと、世界政府が判断したのだ。
何故こんな子供にそれほど膨大な賞金が?
と疑問に思う輩が出れば、ティオは何か政府の秘密を握っているに違いないと考え、違う意味で狙い始める。
政府にとって最もマズイのは、政府の秘密を外部に知られること。
そうならないために、わざと賞金額を1億以内に抑えたのだろう……
さっさと出発したいらしいゾロが、未だウジウジしているサンジに言った。
「元々そんなもんだろ、お前の顔は」
「#$%&%&$#%&$~っ!」
「言葉にしろ、分からねぇ……」
ナミもチョッパーもまだまだ納得いかないようだ。
「はぁ~……騙された。街の雑誌の記者だって言ったから撮らせたのに……。可愛く撮れてるからそれはいいけど……あたしもとうとう賞金首かぁ……」
「なぁルフィーっ、 俺だって海賊だぞ!? ちゃんと男らしく戦ったんだ! それなのにっ、モノ申すぞ50ベリー!」
「まぁ、次頑張れよ、なっ? ニッシッシ!」
「麦わらたち~!」
「何やってるんだわいな~!」
「早く行こうよ~海賊にぃちゃんたち~!」
「ニャア!」
「んぉ?」
外から呼ぶ声がする。
「よぉしオメェら、忘れモンすんなよ? 船とフランキー貰って出港だ!」
「ルフィ~、サンジがまだ動かねぇ……」
「フン、ほっとけそんなグルグル」
「あぁん?」
もう青ざめるどころか、色が薄くなって背景と同化し始めているサンジの前に、ティオがちょこんとしゃがんだ。
「ティオちゃん……」
「とくめい、で、しゃしん、おくったら、さしかえ、られる、かも」
「ホントに!?」
「(コクン)…かのうせい、だけど」
「ぃよっしゃあああああっ! いいカメラ手に入れてやる!」
サンジは仮設ルームを飛び出していった。
ティオはゾロの隣へ歩み寄る。
「……アホだな、アイツ」
「(コクン)…あやつり、やすい」
……本当は頭がいいのに、勿体ない。
「もう行っちゃうの? 海賊ねぇちゃんたち」
ナミは、眉根を下げたチムニーと固く握手をする。
「チムニー、ゴンベ、いろいろありがとね」
「……うん」
チムニーは今にも泣きそうな顔をしながら、麦わら一味と別れた。