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24. 水の都、出港
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その頃。
マイケルたちと借金取りは、人目につきにくい屋根の上に来ていた。
「君たちぃ、この間はよくもコケにしてくれたなァ。お礼に今回は恐~いお兄さんたちを連れてきてやったからなァ? 腰抜かすんじゃねぇぞ! ……先生、こちらへ」
借金取りのボスが声を張り上げると、後ろの方から大柄な男が1人歩いてくる。
「こちらオオカブト海賊団船長、3600万ベリーの賞金首、ミカヅキさんだ」
オバハンは怯まず布団叩きを構えた。
「お前たち、退がってな。手ぇ出すんじゃないよ?」
船長ミカヅキは、持っていた刀を抜いた。
「フン、威勢がいいじゃねぇか。……だが、よく考えるんだな。金を払って生き延びるか、我が儘言ってコイツの餌食になるか。ぎゃははははっ!」
「必殺・バンバントルネード!」
「「いけぇ! 母ちゃん!」」
「はん、そんな技が効くか」
"ヒュッ―――ガキンッ"
「ぅぁあっ」
たった一撃で、布団叩きが2本とも吹き飛ばされた。
「「母ちゃん!」」
「はっはっはっはっ! 3600万の首をナメるんじゃねぇぞ!」
と、そこに……
「おまえ、こそ、なめる、な」
鈴を転がすような声が響いた。
「は……?」
"シュッ―――ズドドドドッ!"
それは文字通り、一瞬だった。
連続で打撃音が聞こえたかと思うと、借金取りのボスと、船長ミカヅキを残し、他の仲間が全員倒れた。
「なっ、何が……」
「どこ、みてる、の?」
「!」
後ろを振り返っていたミカヅキが、声を辿って前を向くと、目の前に少女が1人、片足で立っていた。
「んなっ、テメっ、いつから!」
ミカヅキは3歩ほど後退した。
言葉に出来ない恐怖を感じ、汗が一筋頬を流れる。
誰もが唖然とする中、オバハンが訊いた。
「アンタ、一体……」
ティオはゆっくり振り向いた。
「おたく、の、ちょうなん、の、なかま」
「……仲間?」
「テメェ! いきなり出てきやがって、何者だァ!」
ティオはゆるりと船長ミカヅキの方を向き直った。
大きく振り上げられる刀。
「死ねえぇぇっ!」
そのままなら、ティオは一刀両断される。
「あ、アンタ! 危ないよ! 逃げな!」
しかし、ティオは動かない。
「だいじょうぶ」
"ヒュッ―――
刀が空を切る音が、聞こえた―――
「七十二
"ガキンッ、ゴォッ!"
船長ミカヅキが吹き飛んだ。
「ぐあああぁぁぁぁっ!!」
見えなくなるほど遠くへ飛ばされていく。
「あー、走った走った」
「ぞろ、おそい。また、まよった?」
「誰が迷うか」
「いつも、まよってる、くせに」
「迷ってねぇよ!」
「いいかげん、じかく、もて。ばか」
勝手に口喧嘩を始めるゾロとティオに、唖然とする一家と、借金取りのボス。
やがて我に返ると、ボスは拳銃を構えた。
「くそっ、ガキの次はこの間の用心棒かよ……ぁっ、わっ、うわああぁぁっ!」
マヌケなことに、ボスは足を滑らせて屋根から落ちて行った。
「フン、アホだな」
「(コクン)」
ゾロは刀を仕舞う。
「「「兄貴!」」」
「すっげぇ!」
「さっすが兄貴!」
「よぉしよくやった! さすが長男だ!」
「まだ言うか。……いいかオバハン、俺の話をよく聞け? 俺は「お前の仲間ってのは、ウチの家族みたいにいいものなのかい?」
オバハンの目が、ティオに移る。
釣られるようにティオを見下ろしたゾロは、口角を上げてその小さな頭に手を乗せた。
「……そうだな。似たようなもんだ」
「だったら! 何でもっと早く言わないんだい!」
「何度も言っただろうが!」
「「「あはははははっ!」」」
……その後、結局家の前まで同行する羽目になった。
ティオは
「アンタは大事な家族だけど、まぁちょっと家出するくらいなら止めやしないよ」
「家出かよ……」
「元気で行っといで」
「兄貴、家出おめでとうっス!」
「母ちゃんの気が変わらないうちに行った方がいいっスよ?」
「「「いってらっしゃい!」」」
ゾロは最後にフッと笑った。
「じゃあな」
夕日を背に受け、ティオに部分洗脳されている方向意識に従って、ガレーラへと進み始める。
「またな~! 兄貴~!」
「じゃ~ね~!」
「元気でやるんだy……あっ、ちょっと待ったぁぁ!」
「んぎっ」
ゾロはまた戻って来いと言われると思い、一目散に逃げ出した。
「まったく、Tシャツ着替えんのも忘れて行っちまうなんざ、本当にしょうがない長男だねぇ……。コラァ! 待ちなァ!」
「勘弁しろォォ!」
再び始まった追いかけっこ。
ゾロの頭の上で揺られながら、ティオはため息をついた。
(このまま、かせつるーむ、もどって、わらわれれば、いい)
……結局、追いかけっこは日が沈むまで続いたそうな。