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24. 水の都、出港
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「……なんでこうなった……」
ゾロは赤ん坊たちの世話を頼まれた。
首から吊るしたベビーキャリアに3人を入れて、空いた両手には大量の買い物袋。
「ったく、何で俺がこんな目に……こんなとこ、アイツらに見られでもしたら……」
と、周囲を警戒していると、
「んぎっ」
向こうから、買いこんだ食材を乗せた荷車を引いて、サンジが歩いてくる。
一番会いたくない奴だ。
「ヤベェっ」
ゾロは一目散に逃げた。
そして細い路地を抜けると……
「げっ」
今度はココロが。
またしても逃げるように街中を走り回る。
「はぁっ、はぁっ、ここまで来れば……」
しかし……
「なにっ」
向かいの店にフランキー一家のメンバー。
「くそぉ!」
再び細い路地に入り、何度も曲がり角を曲がって別の通りに出た。
「はぁ……はぁ……さすがにこk…んなっ」
目の前にはルフィ。
……その後も、チョッパー、ウソップ、チムニー、パウリ―と、どこへ逃げようが、誰かしら知り合いがいた。
「はぁ……はぁ……くそっ、疲れちまった……」
街中を何周も走り回った気がする。
「大変そうね」
「あぁ、参ったぜ……なんで俺がこんな目に遭わなきゃ……ってなにぃっ!?」
ついに見つかってしまった。
目の前にいたのはロビン。
と、その肩には
「ふふふっ」
「ぷふっ」
ゾロは、他の誰かに見つかる前にと、ロビンを路地裏へ押しやる。
すると……
「ロビ~ン、ティオ~」
「!」
ナミの声がした。
「2人ともどこ行ったのかしら……」
建物の陰から覗けば、ナミは2人を探しながらどんどん遠ざかっていく。
ゾロはとりあえずホッとした。
その心情を察したロビンが微笑みかける。
「心配しなくてもいいわよ。誰にも言わないから」
「ぞろ、まいける、ほいける、に、つかまった?」
「お前、アイツら知ってんのか」
「(コクン)…うらまちの、ちんぴら、しょうねん。そこそこ、ゆうめい」
「何とかならねぇのか? アイツら俺のこと勝手に兄貴とか呼びやがって、誰も人の話聞きゃしねぇし……」
「ティオ、手伝ってあげたら? このままじゃ剣士さん、本当にそのおうちの子にされちゃうかもしれないし、ふふふっ」
「テメェ、おちょくってんのか」
「さぁ、どうかしら」
"バフッ"
「ぅお!?」
頭にのしかかった、よく知っている重み。
いつの間にか、ティオがゾロの頭の上に飛び移っていた。
「もし、かえれること、なったと、しても、どうせ、かせつるーむ、たどり、つけない。さがしに、いくの、どうせ、てぃお。……めんどい」
「んだとぉ?」
"ぺしっ"
「い"……っ」
もふもふの前足がゾロの額を叩いた。
「あんまり、もんく、いうと、みんなに、ばらす」
「……っ」
ゾロはしゅんと大人しくなった。
ロビンが笑って歩き出す。
「それじゃ、頼んだわよ? ティオ。ちゃんと連れて帰って来てね?」
「(コクン)」
「あぁそれと、剣士さん」
「ぁあ? ……ンだよ」
「似合ってるわよ? 子守りする姿。ふふっ」
「……っ」
ロビンはナミを追って行ってしまった。
ゾロは恥と悔しさで奥歯を噛み締める。
「はやく、もど、れ」
「分ぁってるよるっせぇなあ!」
ティオに八つ当たりしながら、ゾロはマイケルやホイケルたちの元へ戻って行った。
そしてオバハンに赤ん坊たちを押しつける。
「もう沢山だ! 俺はもう帰る!」
「おや、先に帰るのかい? んじゃ家の鍵を渡しておくからね。便所掃除でもやっときな」
「違げーよ、お前らの家に帰るんじゃねぇ! 俺は仲間のところへ帰るんだ!」
「はぁ? 寝ぼけたこと言うんじゃないよ!」
「寝ぼけてんのはテメェだろ!」
「親に向かってその口の利き方は何だい!」
「誰が親だ!」
「おだまり! このブロッコリーヘッド!」
「ブロッコリーじゃねぇ! マリモだ!」
「ぷ……っ」
ティオの微かな笑い声で我に返ったゾロは、なに自分からマリモと認めてるんだと自分に腹を立てた。
「ん? お前、その頭のは何だい?」
「あぁ?」
「まったくしょうがない子だねぇ、拾ってきちまったのかい? ちゃんと自分で世話するんだよ」
……どうやら、ティオはどこぞでゾロに拾われた動物と思われているらしい。
「ったく、つき合ってられっかよ。……じゃあな」
ゾロは強引に別れを済ませ、ガレーラにある仮設ルームを目指して歩き始めた。
その背中を見つめ、オバハンは苦笑しながらため息をつく。
「まったく困った子だよ。マイケル、ホイケル、後で迎えに行ってやんな?」
「「は~い!」」
「さて、そいじゃぁ帰るとしますかね!」
……と、後ろを振り返ったとき―――
「先程はどうも」
借金取りの男がいた。
今度は十人近い仲間を連れている。
「あの用心棒もいなくなったようですし、お話の続きをしようと思うのですが、ちょっと近くまで、お付き合い願えますか?」
マズイ、と思ったマイケルがホイケルにこっそり言う。
「……ホイケル、兄貴を呼んで来い。きっとあそこに連れてく気だ」
「うんっ」
ホイケルはそっとその場を離れ、ゾロの元へと駆け出した。
……その頃。
「ぞろ、どこ、いきたい、の?」
「あ? ガレーラんとこにあるあの部屋に決まってんだろ。帰るんだ」
「なら、ぎゃく」
「……っ」
「ばか」
「るっせぇ」
ティオは先日エニエス・ロビーでやったように、見聞色の覇気を器用に使い、ゾロの方向意識に仮設ルームまでの道筋を上書きした。
ゾロは、まるで最初から知っていたように、正しい方向へ歩き出す。
その頭の上で、ティオはやれやれとため息をついた。
……そのとき。
「?」
覇気が、近づいてくる気配を拾った。
「どうした?」
ティオの様子の変化に気づいてか、ゾロが声を掛ける。
「ほいける、くる」
「はぁ……またか、あのガキ」
「……たぶん、ちょっと、ちがう。すごく、あせってる」
「……何?」
その3秒後、後方の角からホイケルが走り出てきた。
「はっ、はぁっ、兄貴~っ! たっ、大変なんだ! 母ちゃんがあの借金取りたちに連れてかれちまって!」
「フン、
「ダメなんだ! 奴ら、今度は仲間をいっぱい連れてきて、マイケルも弟たちもみんな連れてかれちまったんだよ!」
「何だとっ」
「こっちっス! 早く!」
走り出したホイケルに続き、ゾロも走り出した。
「……ティオ、お前、闘れるか?」
「何言ってんスか? 兄貴」
「あいて、に、よる」
「ひぇっ!? イタチが喋ったァ!?」
「少し時間稼いでくれりゃぁいい! 先に行ってくれ!」
「りょーかい」
"ポンッ"
ゾロの頭の上で、ティオは鳥に変わった。
青空の中へ飛び立ち、そのまま真っ直ぐにマイケルたちの元へ向かう。
「ちょっ、兄貴っ、何なんスかアレ!」
「俺の仲間だ、心配すんな」
「あんな小動物1匹行かせてどーすんスか! 相手は人間っスよ!?」
「アイツも人間だ。いいから少し黙ってろ! 舌噛むぞ!」
「ぅえっ、ぇあっ!?」
ゾロはホイケルを背負うと、走る速度を上げた。