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23. 涙の別れと海軍の英雄
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やがて壁の修復を終えると、家の外でガープはルフィに向き直った。
「お前はわしの孫なので、この島で捕まえるのはやめた! ……と、軍に上手く言い訳しておくので、安心して滞在しろ!」
隣でボガードがため息をつく。
「……言い訳になってないんで、逃げられたことにしましょう」
「何よりわしは、2人の付き添いで来ただけなんでな。そいつらとはまぁゆっくり話せ。わしゃぁ帰る!」
「おう! じゃぁな"バキィッ"
「軽すぎるわぁぁ!」
「のああぁぁっ!」
ルフィは殴られて吹っ飛ぶ。
「惜しめ馬鹿者が! 久しぶりのじいちゃんだぞ!」
「どーしろってんだよ! 俺は殴られただけじゃねぇか!」
「それでもわしは、孫に愛されたいんじゃぁ! ティオみたく、抱きついてくるぐらいせんか!」
「ヤだよ!」
「何じゃとぉ!?」
……祖父と孫の喧嘩が始まった。
麦わら一味は家の中から唖然と眺める。
「あの身勝手さ、凄く血の繋がりを感じる」
「「うん、うん」」
……やっと落ち着いたところで、サンジはキッチンに立った。
ゾロ、ロビン、チョッパー、ティオは、テーブルを囲む。
「さぁ、ドーナツ揚がったぞ」
テーブルに、山盛りのドーナツの皿が置かれた。
その横にはミルクピッチャーが三つ並び、中にはそれぞれ、ハニ―シロップ、チョコレートソース、シナモンが入っている。
ティオとチョッパーが目を輝かせた。
「うまそ~っ!」
「(コクンコクンっ)」
それは他でもなく、やっと目を覚ましたティオのため、サンジが作ったものだ。
ついでに、ゾロとロビンとチョッパーのおやつも兼ねている。
「アールグレイでよかったかな、ロビンちゃん?」
「えぇ、ありがとう」
サンジは上機嫌でロビンの前に紅茶を出し、不本意そうな顔をしながらもゾロの前にも出した。
ティオとチョッパーが、ドーナツを1つずつ自分の皿に取る。
ロビンたち3人は、目を輝かせるおチビさんたちを眺めた。
ティオは迷わずチョコレートを選び、たっぷりかける。
チョッパーはハニーシロップを選んだ。
そうして、自分好みに仕上げたドーナツを両手で持った2人は、同時にかぶりついた。
「あっち、あふっ……んっ、うめぇ~!」
「はふ、はふっ」
熱がりながらも、かぶりつく口は止めない。
サンジはティオとチョッパーの皿のそばに、ミルクを注いだコップをを置き、自分も椅子に座った。
肘をついて、美味しそうに食べてくれる表情を眺める。
「……それにしても、ドラゴンの話には驚いたわね」
「ん、あぁ。ルフィは血筋からタダもんじゃなかったんだな」
「モゴモゴ……んで、そのルフィは?」
ゾロが顎で外を指した。
「表でコビーたちと話してる」
「お前はいいのか? ダチなんだろ」
「懐かしいけどな……コビーを救ったのは、ルフィだ」
「あれ、ナミもいないな……ゴクン。海兵の話、聞きたがってたのに。遠慮したのかな……」
「あぁ、プールへ行ったわよ? ここの裏にあるガレーラ・カンパニーの社員プール。ココロさんたちと一緒に」
「んなにぃ!? ナミさん水着ーっ!? 飲み物でも持ってこ!」
ドピューン、とサンジは飛び出して行った。
「……サンジって、いつまでたっても懲りないんだな」
「ふふふっ、そうね」
ロビンはドーナツを1つ手に取り、シナモンを振りかけた。
「ほっとけ、あんなバカコック」
ゾロは半目でティオの顔に手を伸ばす。
右のほっぺたに盛大に広がったチョコレートを、親指で拭った。
「んむ……」
ティオは反射で右目をつぶる。
「あんまりがっつくな。喉詰まるぞ」
言って、親指についたチョコレートをペロッと舐めた。
途端、眉間にしわを寄せる。
「……甘……」
「あたりまえ。や、なら、なんで、なめた。ばか」
「るっせぇ」
ティオは新しいドーナツを手に取り、またチョコレートをたっぷりかけて、かぶりついていた。
……数十分後。
「えぇっ!? もう帰んのか!? メシ食ってけよメシィ!」
ルフィの叫び声が聞こえて、一味は部屋の窓から身を乗り出した。
どうやら、コビーたちがもう帰ろうとしているようだ。
「ボクらは本来、敵同士です。慣れ合うわけにはいきませんから。……ルフィさんは、このグランドラインの後半の呼び名を、知っていますか?」
「ん、後半?」
ティオがドーナツを齧りながら、僅かに目を細める。
「レッドラインの向こうにある最後の海を、別名こう呼ぶんです。新世界」
……ザァっと、風が草地を吹き抜けた。
ルフィが嬉々として呟く。
「新世界……」
「はい。次の時代を築く者たちが集う海。世界中の猛者が犇めくその海を制した者こそが、海賊王です!」
ルフィの頭の中で、まだ見ぬ新世界の光景が想像された。
「ルフィさん! ボクたちまた、そこで会いましょう! 今度ボクはあなたを捕まえる! もっともっと強くなって、ボクはいつか……っ」
コビーは言葉に詰まった。
……言ってよいのだろうか。
悩んだ末に、思い切って口にする。
「海軍のっ、大将になってみせます!」
青空に、宣言が木霊した。
「……っ、あぇっと、ごっ、ごめんなさい! 調子に乗りすぎました! 恥ずかしいっ……穴があったら入りたい! あ、あなたに会って、ボク、ちょっとっ、気が大きくなってしまったようで……っ」
「コビー」
「!」
「俺と戦うんだろ? だったらそのくらいなれよ。当然だ!」
「えっ、だ、だって、大将、ですよ……?」
ルフィは笑顔で腕を組む。
「今度会ったら、俺たちはもっと強ぇぞ? もっとスゲェ」
「……っ」
コビーは唖然として、ルフィを見つめた。
……どうして、信じてくれるのだろう。
口にしただけでも震えてしまう程の大きすぎる夢なのに……
鼻がツンとする。
ゾロがニヤリと笑んで言った。
「何だ、泣き虫は変わってねぇな」
「!」
コビーは慌てて袖口で目元を拭い、ピシっと立つ。
「お2人にまた会えて本当に良かった! ボクたちっ、もっともっと強くなりますから! 次は、新世界で会いましょう!」
そして、くるりと踵を返し走り出した。
「行こう! ヘルメッポさん!」
「へ? あ、おい待てよ!」
2人はガレーラの敷地の外へと駆け抜けて行った。
その背中がゴマ粒ほどに小さくなると、ゾロがルフィに訊く。
「お前、またとんでもねぇ敵を生み出したんじゃねぇのか?」
「かもな。……コビーはやる男だ。俺ァ知ってんだ。にっしっしっしっ!」