夢主の名前を決めて下さい。
23. 涙の別れと海軍の英雄
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ところ変わって、仮説本社の隣の建物。
そこは、ガレーラが麦わら一味のために建てた、特別海賊ルームだ。
キッチン・バス・トイレ付きで、急ごしらえにしては住み心地がいい。
"カチャカチャ……"
ベッドルーム兼リビングダイニングルームで食器のぶつかる音が響く。
「んぐんぐ……」
テーブルで食べ物を頬張るルフィの前に、サンジが次々と料理を運んでいた。
"コンコン、ガチャ"
「んががががっ、入るよ~オメェら」
「入るよ~!」
「ニャァ!」
「おぉ、ココロの婆さんにチビ共。よく来たな」
「ゲロゲロォ」
「ヨコヅナもか」
"ドスッ、ドスッ、バキッ"
「ゲッゲロォッ!?」
ヨコヅナは扉に引っ掛かり、中に入れない様子。
ココロが呆れ顔で言った。
「……オメェは外にいなァ」
「ゲロォ……」
ヨコヅナはシュンとして外へ出ると、窓から中を覗き込んだ。
「んがががっ、全員、やっと目覚めたようらねぇ。2日間寝通しだったんらろ? よっぽど疲れてたんだねぇ。当然だが」
カラになった皿と料理の乗った皿を入れ替えながら、サンジは視線で、連なったベッドのうちの1つを指す。
「まだ全員起きたわけじゃねぇんだ。ティオちゃんが寝てる」
「おや、そうかい。そんな酷い傷でもなかった気がしたけどねぇ」
「元から体が弱ぇのさ。傷の治りは人一倍遅せぇし、常日頃から1日の大半は寝てる」
「ほ~、若けぇのに大変らねぇ。それに引き換え、海賊王は元気なようじゃぁねぇかい。1番の重傷だったってのに、んががが」
「あーいや、これも違うんだ……」
「違うって何がだい?」
「コイツは戦いのたびにぶっ倒れるんだが、その都度メシを食い損なうのが嫌で、寝たままメシを食う技を身につけたらしい」
「ぷが~……すこ~……んぐんぐ……」
「寝てんのかいこりゃぁ!」
「あははっ! 海賊にぃちゃんすご~い!」
「ニャァ! ニャァ!」
「器用な男らねぇ、んががががっ! そりゃそうと、ログポースのログはあと2~3日で溜まるらろ?」
……と言いつつ振り返ると、地獄のようなオーラの中で、ナミが机に突っ伏していた。
「何だいこっちは!」
「はぁ……たとえログが溜まっても、あたしたち当分先へは進めないの……新しい船を買うための全財産1億ベリーも、服も、家具も、そしてベルメールさんのミカンの樹も、みんなアクアラグナに持ってかれちゃってた……。もう身動き取れないわ……はぁ……」
「暗いねぇ」
「裏街の宿に全部預けてたもんでよ」
「ほ~。んじゃ、表の客はそれかねぇ?」
「「表の客?」」
ココロは、何て言って入ろうかと家の前で悩んでいた男2人を呼び入れた。
その男たちの持ち物を見るなり、ナミが復活する。
「ミカンの樹ーっ!」
それだけではない。
1億ベリーのキャッシュケースも、服も、家具も、全て揃っている。
「いやぁ悪かった。アンタらをアイスバーグさんの暗殺犯として追い回していたとき、お宅の持ち物だってことで、全部没収してたんだよ」
「とんでもない! ありがとーっ!」
ナミはしばらく、ミカンの樹に抱きついていた。
「んががががっ、よかったねぇ」
と、そこへ。
「お~い、今帰ったぞ」
「ただいま」
チョッパーとロビンが返ってきた。
手にはビニール袋。
生活必要品や食材などだ。
サンジが颯爽とロビンの荷物を受け取る。
「おかえりロビンちゅわん! 重かったでしょう、さぁ、お手を……」
「ふふっ、ありがとう」
「フランキー一家の怪我、診てきた! あと、ロビンから目を離さなかったぞ!」
「おう、ご苦労だった、チョッパー隊員」
サンジとチョッパーが敬礼をかわす。
「ふふふっ、もうどこにも行かないったら」
「約束だぞ!」
「えぇ、約束」
「ねぇ見て2人とも! ミカンの樹もお金も荷物も全部戻ってきたの! これで旅を続けられるわ!」
「ホントか! やったぁ!」
溢れる笑顔と活気。
サンジは口角を上げてそれを眺めていた。
しばらくすると……
"タッタッ……バタンッ"
「ア~ォ! スーパーかお前ら!」
キウイとモズを引きつれて、フランキーがやって来た。
「全員揃って……はねぇが、まぁいいか」
「フランキーか。何だテメェはいきなり」
「るっせぇ、聞けぇ! 大事な話がある」
フランキーはその場に腰を降ろした。
「ある、戦争を繰り返す島に「何だ突然」
「うるせぇ、黙って聞け。……たとえ、島に住む人間が、砲弾の降り注ぐ戦争を始めようが、島の人間が絶え、街が廃墟と化そうが、ものともせず立ち続ける巨大な樹。何が起きても倒れねぇ。人はまたその樹に寄り添い街を築き、国を造る。世界にたった数本の、その樹の名は、宝樹・アダム!」
「樹?」
「樹が、何だ?」
「その樹の一部が、ごく稀に裏のルートで売りに出されることがある。俺はそれが欲しかったんだが、2億近くもするってんで、手が出せずにいた。…と、そこに現れたのが大金を抱えた海賊たち、つまり、オメェらだ」
「てンめぇ! 俺たちの金でそんなもん買いやがったんじゃねぇだろうな!」
「まだ聞け話を!」
ドンッ、とフランキーは床に両手をつき、真顔で言う。
「俺は昔、もう二度と船は作らねぇと決めたことがある。……だが、やはり目標とする人に追いつきたくて、気がつきゃ、船の図面を引いていた。……俺の夢は、その宝樹でもう一度だけ、どんな海でも超えていく、夢の船を作り上げることなんだ! ……宝樹は手に入れた。図面ももうある。これからその船を作るつもりだ。……だから、完成したらオメェらその船に、乗ってってくれねぇか!」
「「「え……」」」
一味は呆気に取られて固まった。
やがて状況が飲み込めてくると、もう一度確認する。
「えっ、えっ、じゃあ……」
「お前っ、その船俺たちにくれんのか!?」
フランキーはニヤリと笑った。
「そうだ。俺の気に入った奴らに乗ってもらえるんなら、こんな幸せなことはねぇ。金はオメェらから貰ったようなもんだしなァ。……この海で、唯一世界一周を果たしたオーロ・ジャクソン号も、その樹を使って作られた。必ず、すんげー船にしてみせる!」
ココロが嬉しそうに笑う。
「んがががっ、しょうがないねぇ。トムさんもお前も、結局は同じ職人なんだねぇ」
「フン……そうだな。今なら、胸張って死んでったトムさんの気持ちが分かるぜ」
麦わら一味は互いに目を見合わせた。
そして……
「「「やったぁ~!」」」
「フランキーお前いい奴だなぁ!」
「ルフィ! ティオ! 船が手に入るわよ!」
「くか~、くか~」
「すぅ……すぅ……」
一時はお先真っ暗だった麦わら一味だが、活路が見えてきた。