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23. 涙の別れと海軍の英雄
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ウミネコが鳴く昼下がり。
麦わら一味がエニエス・ロビーで事件を起こしてから、2日が経っていた。
ウォーターセブンは、アクアラグナの被害からの復興中。
大工だけでなく、住民一丸となって建築作業に勤しんでいた。
ノコギリや金槌の音が町中で響く。
……そんな音を聞きながら、ゾロはひとり、廃船島で座り込んでいた。
手には、錆びて朽ちた
「……」
僅かでも風が吹くと、錆びた刀身が粉塵となって海の彼方へ飛んでいく。
世界に50本しかない良業物の1本で、軽くて扱いやすいのが特徴だった。
せっかく家宝として大事にしていた一振りを譲ってくれたというのに、今となっては見る影もない。
「……まいったな」
ところ変わって、ガレーラ・カンパニー。
社長宅が火事になった今、アイスバーグは仮設本社で寝泊まりし、業務をこなしていた。
"シャッ……カリカリ……シャッ"
図面を引く音が響き渡る。
近くではフランキーが、巨大なコーラの瓶を仰いでいた。
「……そうか。設計図は燃えたか」
「あぁ。……だが、麦わらンとこの金髪の嬢ちゃんが恐ろしい記憶力の持ち主でな。俺がペラペラやったときに、全部覚えさせちまったらしい」
「俺たちの荷を、アイツらに背負わせちまったわけか……」
「……」
「ンマー、それがなくとも、あの子は狙われる運命にあっただろうがな」
「……何?」
「あの子供は古代兵器だけじゃなく、世界中の情報を知り尽くしているらしい。ニコ・ロビンより遥かに危ない存在だ」
「何でオメェ、ンなこと……」
「ルッチが言っていた。あの子は麦わら一味に入る前、政府で伝承者とかいう役目を負っていたってな。……それは、政府の機密事項を口伝で次世代へと伝えていく役目らしい」
「んなっ、だったらあの嬢ちゃんの頭の中には……」
「あぁ。俺たちじゃ想像もつかない、深い深い闇が記憶されてるんだろう」
「……麦わらたちは知ってんのか、それ」
「あぁ。……だが、それを知っても奴らは、あの子を取り返すことを諦めなかった。この先何があっても、あの子を守るだろう」
「……そうか」
「それより、お前はどうするんだ? 今回の一件で、麦わらたちと同じくらい政府の恨みを買っちまったぞ?」
「ははっ、まぁな。ところでオメェ、さっきからそりゃ何の図面引いてんだ?」
「ん? あぁ……。……今回のアクアラグナで、市民には不安がよぎったはずだ。この島自体が海に呑まれる日も、近いんじゃねぇかってな。……だから、この島ごと、海に浮かべる」
「なにィっ!? このウォーターセブンを丸ごと船にするってのか!?」
「あぁ」
「出来んのかよそんなこと!」
「忘れたのか。不可能を可能に変える偉大な男の背中を、俺たちはずっと見てきたはずだぞ」
「!」
"シャシャッ、カリッ"
「男なら、ドンとやれだ」
フランキーは視線を逸らし、師匠を思い出した。
「……男なら、ドンとやれ、か……」
"ぷるぷるぷるぷるぷる"
「ん?」
部屋に備え付けられた電伝虫が鳴る。
"ガチャ"
「もしもし」
『おっ、アニキですか?』
「おう、ザンバイ、どうした」
『へへっ、喜んでください! 例のアレが届きましたよ! 今海列車で到着したんです! 2億ベリーで買った品が!』
「ほう、来たか」
"ガチャ"
「急用が出来ちまったんで、俺ァこれで失礼するぜ? アイスバーグ」
「急用?」
「あぁ。ちょっとな」
フランキーは上機嫌に、仮設社長室を出て行った。