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22. バスターコール
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ついに橋はなくなり、ルフィのいる第一支柱と、麦わら一味のいる第二支柱を残すのみとなってしまう。
「くそぉっ……もう何も出来ねぇぞ!」
「ここで、これ全部と戦うしか……」
「馬鹿言え! もっと強ぇのがゴロゴロ出てくるぞ!」
『第一支柱へ、一斉砲火用意』
「「「!?」」」
軍艦の全ての砲台が、第一支柱のルフィへ向く。
『海賊麦わらのルフィを、抹殺せよ』
ウソップが青ざめて叫んだ。
「ルフィィィ! 何とかならねぇのか!」
ルフィは眉をひそめ、歯を食いしばる。
やはり体が動かないようだ。
ロビンは手を咲かせて伸ばそうとしたが、眉間にしわを寄せる。
「……ダメだわ、遠すぎる。引っ張っても途中で海に落としてしまうわ」
ナミが涙を浮かべて叫んだ。
「ルフィ! 立って! お願い!」
……何か、何かないのか。
せめてこっちに来させることが出来れば、何とかなる。
ウソップは唇を噛み締めて頭をフル回転させていた。
すると……
「だいじょうぶ」
隣で、鈴が鳴るように、落ち着き払った声が響いた。
「……ティオ?」
爆風になびく、長い金髪。
ウソップは目を見開き、固まっていた。
その視線の中で、ティオは思いっきり息を吸い込む。
「したっ、みてっ!」
「「「……下?」」」
麦わら一味が全員、首をかしげると同時。
"――――――"
「「「 ! 」」」
一味全員の耳に、"声"が届いた。
"ボンッ"
変身したティオが飛び立つ。
小さな体は真っ直ぐにルフィの元へ飛んでいき、再び音をさせて人の姿に戻った。
「ティオ……」
ティオはルフィの傍に膝をつき、全く動かないその身を起こしてやった。
「こえ、きこえ、た?」
「……あぁ」
「なら、いこ」
「……あぁっ」
ルフィの腕を自分の肩に回し、担ぎ上げるようにして立ち上がる。
「……っ」
折れた左足に、鋭い痛みが走った。
「ティオ……お前……足が……」
「だい、じょぶ……るふぃ、のが、じゅうしょう」
身長差から、少々ルフィの足を引きずる形になってしまうが、致し方ない。
ティオは唇を噛み締めて、支柱の壁に開いた穴へと歩いて行った。
……途中、ポツリと零す。
「……るふぃ」
「ん、何だ?」
「ありがと……たすけ、きてくれ、て」
ルフィはティオの肩で揺られながら、ニシシッと笑う。
「礼なんかいらねぇよ。当たり前のことだからな?」
間近で弾ける笑顔。
釣られて、ティオの口角も少し上がった。
ティオがルフィを担いで歩き始めた頃、第二支柱の方では。
「そうか……っ、そういうことか……っ、だからティオは……っ」
ウソップが支柱の端で、海を見下ろして涙を流していた。
「……まったく、オメェって奴ァ……っ」
涙を拭い鼻水をすすり、ウソップは叫んだ。
「海へ飛べぇぇ!!」
「「「!?」」」
ゾロが眉間にしわを寄せて訴える。
「何言ってやがる! ヤケんなっても助かりゃしねぇぞ!」
「ぐすっ……いや、助かる! 助けに来てくれたんだ! まだっ、俺たちには仲間がいるじゃねぇか!」
半信半疑のまま、一味は海を見下ろす。
そして、見えたものに目を見開き、涙を溜め込んだ。
『第一支柱、一斉砲火、5秒前!』
ナミが嬉々としてチョッパーに訊く。
「下見た?」
「見だぁぁぁぁぁ!!」
支柱の端へ集まる一味。
それをチラリと見てから、ティオは辿り着いた壁の穴の縁を見つめた。
あとは目の前にある40cmほどの段差を乗り越えて、海へ落ちればいいだけ。
けれど、片足が折れた今のティオには、そのたった40cmが高い。
ルフィだけでも海へ投げ込んでしまえば、自分は鳥になって飛べるから問題ないが、担ぐのもやっとなのに、大の男を投げるなんて、出来るはずもなかった。
……どうしたものか。
最後の最後に悩んでいると……
"ふわ……っ"
「うおっ、何だ何だ?」
ティオとルフィの体が浮いた。
足元を見降ろせば、何本も咲いた手が2人を押し上げている。
ティオは第二支柱を見上げた。
「……ろびんっ」
腕を交差させたロビンが、こちらを見て微笑んでいる。
ティオもルフィも、40cmの段差を超え、海に投げ込まれた。
……それと同時。
第二支柱からも、次々と麦わら一味が飛び降りた。
「ルフィとティオに続け~!」
「海へ~!」
「それぇ!」
海兵たちは呆気にとられる。
「何やってんだアイツら……」
「馬鹿め、この海に飛び込んで、助かる見込みはないぞ!」
「血迷ったか! 海賊共!」
しかし、麦わら一味は1人残らず、勝利を確信した笑みを浮かべている。
何故なら……
"――――――"
……声が告げるから。
―――帰ろう、みんな。
―――また、冒険の海へ。
―――迎えに来たよ。
ルフィが満面の笑みで叫んだ。
「メリーっ!!」
→ 23. 涙の別れと海軍の英雄
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