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2. 麦わらの一味
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"カン…カン…カン……"
青空の中に、釘を打ち付ける音が響く。
「板」
「ヘイ!」
ウソップが板を船に打ちつける係で、チョッパーがそのウソップに板を渡す係。
2人ともねじり鉢巻を巻いて、気合十分だ。
「……」
ティオはといえば、メリー号の修理箇所を見て回っていた。
お世辞にも上手いとは言えない直し方に、小さくため息が漏れる。
"カンカンカンカン……"
「板」
「ヘイ!」
"カンカンカンカン……"
「釘」
「ヘイ!」
"カンカンカンカン……"
「板」
「ヘイ!」
"カン…ガンッ!"
「痛っ!」
「ヘイ!」
チョッパーが板を渡すが、ウソップは"板"が欲しかったのではなくて、"痛"かったのだ。
金づちで叩いてしまった人さし指が、大きく腫れる。
「まったくよ~、何度も言うが、俺は船大工じゃねぇんだぞ?」
「だけどウソップは器用だな!」
「へへん! だろぉ? そこなんだよ俺様のスゲェところは!」
「いっそ買い直したらいいんだよ」
いつの間にか皿洗いを終えたサンジが、甲板から覗いていた。
「馬鹿言え! お前この船が一体どういう経緯で手に入ったのか知ってんのか!」
「あーあー聞いたよ何べんも。お前のいた島の麗しい少女からもらったんだろ?」
「かや」
「え?」
「そのひと、なまえ、かや?」
ティオの言葉にウソップは目を見開いた。
「なんでお前それを……」
ティオはメリー号の船体に手を当てて目をつぶる。
「めりー、おしえて、くれた。いーすとぶるーから、みんなと、ここまで、きたこと。うそっぷ、しゅうり、へた」
「なっ」
「でも、だいじ、してくれて、ありがとう、って。ぼくは、いいくるーに、のってもらえて、しあわせだ、って」
「……っ」
ウソップは声が出なかった。
チョッパーは首を傾げてティオを見上げる。
「物って喋るのか?」
「(コクン)」
「へぇ~! 俺には聞こえねぇぞ?」
「しゅぎょう、ひつよう」
「それって悪魔の実の能力なのか?」
「ちがう。こえ、きくちから。もののこえ、きこえる。……ほかにも、このしま、ひと、なんにんいるか、とか、なみちゃんたちの、ばしょ、とか、いろいろ、きこえてる。さわれば、ちょぱーの、きおく、と、かんがえてること、みえちゃう、きこえちゃう」
そう言って、両掌をひらひらさせた。
「なんかエスパーみたいだな!」
「あくまのみ、こっち」
"ボンッ"
ティオは猫に変身した。
「うはぁ~!!」
チョッパーが目をキラキラさせる。
「5しゅるいの、どうぶつ、へんしんできる」
「そうなのかぁ!?」
「(コクン)」
「他のも見せてくれよ!」
チョッパーは無駄に感動していた。
どこに感動する要素があるのかはよく分からない。
「つかれる、から、また、こんど」
ボンッと音を立てて、ティオは人間に戻った。
「……そっか、メリーが喜んでくれてるなら本望だぜ……チョッパー、板くれ!」
「あ、おう! ……じゃなくて、ヘイ!」
メリーの気持ちを知ることができたウソップは、さらにやる気を燃やして再び釘打ちを始めた。
「だからってこんな状態で航海を続けんのは危険だぜ」
サンジがタバコの煙を吹きながら言うと、ウソップがムッとする。
「だぁから修理してんだろうが! つかお前も手伝え!」
「修理? これが? ツギハギだろ」
「うるへーっ!!」
ボロクソ言うサンジに、ウソップが変顔をしてみせた。
「それ面白いぞウソップ!」
「お、そうか? くるくるくる~~、うるへーっ!」
「アハハハハッ!」
口と目を尖らせるというその意味の分からない表情と仕草に、チョッパーが一人で大爆笑する。
それを冷めた目で見下ろしていたサンジが、思い出したように尋ねた。
「あ、そうだお前ら、今日の晩飯だが……」
「「うるへーっ!!」」
ウソップとチョッパーは揃って唇を尖らせて見せる。
「あ、いらねぇんだな」
「「ぬぁっ!?」」
ただふざけたつもりだったのに……
「んじゃあティオちゃん、そいつらは抜きにして、晩飯は豪勢にやろうな~」
「(コクン)」
「ぅぇえっ!? ティオまで!?」
「そんな~! 待ってよサンジく~ん! ティオ~!」
サンジは聞く耳持たずと言いたげに船室に戻ってしまった。
ティオも船の上に行ってしまう。
ウソップとチョッパーは寂しく取り残されていた……